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マーケット > レポート > 特集レポート > ビデオ会議ソフトウェアのズームビデオコミュニケーションズが上場(4/18(木)予定)

ビデオ会議ソフトウェアのズームビデオコミュニケーションズが上場(4/18(木)予定)

2019/4/16
投資情報部 榮 聡

当社では上場初日4/18(木)から取扱いの予定です!!

〇IPOの注目点
(1)成長するビデオ会議システム市場のリーダー企業の1社。
(2)最近のテクノロジー企業のIPOには珍しく、既に黒字化している。
(3)創業者はシスコシステムズの元エンジニアで長年同業界に携わっている。

図表1:IPOの概要

企業名(コード)

ズームビデオコミュニケーションズ(ZM)

上場市場

NASDAQ

公表日

19年3/22(金)

上場日(予定)

19年4/18(木)

公募価格(ドル)

28.0〜32.0ドル

募集・売出し株数(百万株)

20.8

公募規模(百万ドル)

668

時価総額概算(億ドル)

82.2

  • 注:公募規模は、「募集・売り出し株数×公募価格のレンジ上限」で計算しています。時価総額概算は「IPO後の発行済株式数(オーバーアロットメントを含まない)×公募価格レンジ上限」で計算しています。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※SBI証券では米国株式のIPOの申込み等の受付は行っておりません。当社では上場後に取扱銘柄へ追加を予定しております。

〇企業概要
2011年4月にシスコシステムズのエンジニアであった現CEOのエリック・ユアン(Eric Yuan)氏が創業した会社です。同氏は中国生まれで1997年に渡米してウェブ会議システムのWebExへ入社、シスコシステムズが同社を買収したことでシスコシステムズのエンジニア担当バイスプレジデントまで昇進しています。優秀なエンジニアであるとともにマネジメントの経験も豊富と見られます。

今回のIPOでは新株発行が10.9百万株、既存株主の売出しが10.0百万株の内訳で、調達資金は主に事業の運転資金として使われる予定です。

〇事業内容
企業向けにクラウドプラットフォームを使用した、「ビデオ会議」、「音声会議」、「コラボレーション(共同で作業できる場を提供する)」、「チャット」、「ウェブセミナー」などのサービスを提供しています。

デスクトップ、モバイルデバイス、電話、ルームシステムなど、デバイスと場所を問わず会議に参加できることが特長で、サービスのプラットフォームには、「Zoom Meeting」「Zoom Rooms」「Zoom Vido Webinars」「Zoom Phone」などがあります。世界中にある13ヵ所のデータセンター(コロケーションによる)からサービスを提供しています。

同社サービスの基本的な機能は無料で試すことができ、上位の機能が必要になった場合に有料プランに移行することができます(図表2)。個人的に無料ユーザーであった従業員から、企業全体に広がるといった事例が、年間売上10万ドル以上の344顧客のうち55%で見られるとしています。無料プランの提供は新規開拓の重要な武器になっているようです。

海外展開は最近始めたばかりで、オーストラリア、英国を手始めに、カナダ、フランス、日本、オランダ、シンガポールなどへ広げています。19年1月期の海外売上は18%を占めています。

同社の製品・サービスについて詳しくは、同社の日本語ウェブサイトをご参照ください。

〇ビデオ会議業界と同社の位置づけ
ビジネスシーンでのビデオ会議の利用は、ブロードバンド網の整備を受けて拡大を続けています。

調査会社IDCはこの市場を「統合コミュニケーション&コラボレーション」と定義、そのうち同社が対象市場とする「ホステッド/クラウドによるボイスおよび統合コミュニケーション、コラボアプリケーション、IP電話」分野は、2022年までに431億ドルに拡大すると見込まれています。

このような成長市場であるためビデオ会議システムの業界には多くの競合企業がありますが、調査会社ガートナーによる「ミーティング・ソリューション」分野の2018年マジック・クアドラント(※)で、同社は「リーダー」のポジションにあると評価されています。

※マジック・クアドラント:テクノロジー市場に多く存在するプレイヤーを、「ビジョンの完全性」と「実行力の高さ」の2軸で相対的に位置付け、業界のリーダーを明確にする、ガートナー社の評価方法です。

ガートナーの評価で同じく「リーダー」のポジションにあると評価されている競合企業としては、創業者のユアン氏が所属していたシスコ システムズ(CSCO)傘下のWebex、マイクロソフト(MSFT)傘下のスカイプ、アルファベット(GOOGL)傘下のグーグルが提供するビデオ会議サービスのほか、独立企業のログミーイン(LOGM)などがあります。

競合サービスに対する強味として、同社の製品は当初からビデオ機能を中心に設計された会議システムであり、従来からある会議システムにビデオ機能を追加したものに比べて使い勝手が良いことがあげられています。

〇業績動向
売上は急速に伸びており、19年1月期は既に営業黒字となっています(図表3)。四半期の業績推移を見ると、売上が現在の5分の1であった18年度第1四半期にも利益を計上しており、比較的黒字化しやすい業態と考えられます(図表4)。

業界のリーダーのポジションを確保するために、機能の開発やマーケティングに投資を続ける必要があり、利益はそのバランスによって決まると見られます。このため大きな利益を出すのは、競合企業に対して優位を確保して安全なマージンができたと認識した後になると考えられます。

同社のサービスは月間契約もできますが、年間契約・複数年契約の売上が74%を占めており、また、上位10顧客の売上に占める割合は10%未満で、売上の安定性は高いと見られます(19年1月期)。

19年1月期の売上は前年比118%の増加となっています。売上増のうち、56%が既存顧客から、44%が新規顧客からで、バランスの取れた伸びと言えるでしょう。

顧客数は従業員10名以上の顧客数、年間売上10万ドル以上の顧客数とも急速に伸びており、新規開拓が非常に順調であることがうかがえます(図表3)。

〇類似会社比較
同種のサービスを提供して株価評価が比較できる独立企業としてログミーイン(LOGM)がありますが、同社の売上は19年12月期に4%の増加しか見込まれていないため、ここ2年は前年比各2倍以上に増加しているズームビデオとの比較は参考になりにくいと見られます。

利益水準が低いため株価評価で参考になるのはPSR(株価売上高倍率)と考えられますが、ズームビデオの実績PSRは図表5の通り24.9倍と高い水準にあります。

これがどれくらい高いかというと、成長ストーリーが広く認められて株価評価が高いことで知られるセールスフォースドットコムで9.3倍、アドビシステムズでも14.7倍です(いずれも4/12(金)時点)。

ただ、ズームビデオの場合は売上の増勢が強いため、例えば今期に売上が前期比2倍の6.6億ドルに増加すると想定すれば、PSRは12.5倍まで下がる計算です。このようなロジックでIPOのバリュエーションが決められていると見られます。

図表2:サービスプランと価格表(19年4月15日)

プラン

基本

プロ

ビジネス

企業

用途

パーソナルミーティング

小規模チームに最適

中小企業

大企業向け仕様

価格

無料

¥1,679/月/ホスト

¥2,239/月/ホスト

¥2,239/月/ホスト

主な機能

無制限の1対1ミーティング
グループミーティングは40分に制限

全ての基本機能を含む
100名超の参加者にも対応
全ミーティング規模時間制限無し

全てのプロ機能を含む
100名超の参加者にも対応

全てのビジネス機能を含む
最大1000名の参加者に対応

  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表3:業績動向と主要営業計数

17年1月期

18年1月期

19年1月期

売上(百万ドル)

60.8

151.5

330.5

営業利益(百万ドル)

0.0

-4.8

6.2

純利益(百万ドル)

0.0

-3.8

7.6

年間売上10万ドル以上の顧客数

54

143

344

従業員10名以上の顧客数

10,900

25,800

50,800

  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表4:四半期業績の推移

  • ※会社資料をもとにSBI証券が作成

図表5:類似会社比較

銘柄名(コード)

株価
(4/12)
(ドル)

予想
PER
(倍)

実績
PSR
(倍)

直近期
売上高
(百万ドル)

直近期
純利益
(百万ドル)

直近期
純利益率
(%)

時価総額
(億ドル)

ズームビデオコミュニケーションズ(ZM)

* 32.00

-

24.9

331

7.6

2.3

* 82.5

ログミーイン(LOGM)

80.38

16.3

3.4

1,204

74.4

6.2

40.9

  • *:ズームビデオコミュニケーションズの株価は、公募価格のレンジ上限を、時価総額は「IPO後の発行済株式数(オーバーアロットメントを含まない)×公募価格レンジ上限」を使用しています。
  • 注:PSRは株価売上高倍率で、時価総額を年間売上高で割ったものです。
  • ※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

免責事項・注意事項

  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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