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マーケット > レポート > 特集レポート > 人工知能(AI)の普及でまず恩恵を受けるのは、証券取引所!?

人工知能(AI)の普及でまず恩恵を受けるのは、証券取引所!?

2017/09/06
投資調査部 榮 聡

8/30(水)の日本経済新聞で「世界の証取、情報で稼ぐ」という記事をご覧になられた方はいらっしゃるでしょうか。本当ならおもしろいと思い、調べてみました。その結果、いまのところはさほど大きな動きにはなっていないようです。ただ、資産運用に人工知能(AI)が使われるようになると、データの重要性が増すのは間違いないと思われますので、注目していく価値はありそうです。

図表1:当レポートで言及した銘柄

銘柄 株価(9/5) 52週高値 52週安値
インターコンチネンタル取引所(ICE) 64.95ドル 67.48ドル 52.27ドル
CME グループ A(CME) 125.46ドル 127.96ドル 96.29ドル
ナスダック(NDAQ) 74.38ドル 77.75ドル 63.30ドル
CBOE ホールディングス(CBOE) 102.20ドル 102.32ドル 61.58ドル
香港証券取引所(00388) 212.00香港ドル 233.20香港ドル 177.60香港ドル
日本取引所グループ(8697) 1,797円 2,068円 1,405円
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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「世界の証取、情報で稼ぐ」は本当か?

8/30(水)の日経新聞の7面に「世界の証取、情報で稼ぐ」という記事が出ていたのをご覧になられた方はいらっしゃるでしょうか。これが本当なら投資先としてもおもしろそうだと思い、今回はこれについて調べてみました。

同記事では、「世界の取引所が指数・情報サービス事業で稼ぐビジネスモデルへとシフトしている。米インターコンチネンタル取引所(ICE)や英ロンドン取引所グループ、日本取引所グループの同事業の売上高は今年上半期にそろって過去最高を記録した。人工知能(AI)を駆使した投資手法の普及で取引データへの需要が拡大するなど、市場構造の変化を映し出している。」としていました。

これが本当なら、証券取引所は人工知能の普及の恩恵をいち早く受けるビジネス分野で、株式の投資先としてもおもしろそうだということになるでしょう。そこで、まず世界の証券取引所の時価総額上位を確認し(図表2)、上位の取引所を中心にデータに関連する売上推移を調べてみました(図表3)。

これを見ると、ICE(16年上期の急増は買収によるもの)、ロンドン、ナスダック、香港などは15年上期から17年上期にかけて右肩上がりとなって、データ関連売上が増加傾向にあることがわかります。

一方、CME、ドイツ、日本、CBOE(17年上期の急増は買収によるもの)などは横ばい圏又はやや低下の傾向です。いまのところ、証券取引所すべてでデータ関連売上が増加する傾向があるわけではなく、そのような取り組みを行っている取引所に限られているようです。

また、データ関連売上の増加が目立つ取引所も、取引所で生成したデータの売上が伸びているというよりは、指数データの提供などが増加しているようです。世界的にアクティブファンドから指数に連動させるETF(上場投資信託)へ投資資金がシフトしている影響が大きいと見られ、筆者が調べる前に想像したような「AIを利用した運用の広がりで取引所のデータ売上が伸びている」という証拠は見られませんでした。

ただ、人工知能を利用する資産運用はまだ始まったばかりで、取引所の業績に表面化するほど、広がっているわけではないのかもしれません。人工知能(AI)を使うトレーディングや投資では、AIの「トレーニング」のために膨大なデータを処理すると言われ、また「トレーニング」は1回行えば良いというものではなく、市場の変化に対応するために継続的に行う必要があります。

このデータを独占的に生成して配信する権利をもつ取引所の関連収益が高まる可能性は十分考えられ、今後このような変化が表面化する可能性に注目していく価値はありそうです。

(2)では、データ売上の構成比が高い、ロンドン取引所グループとインターコンチネンタル取引所の取り組みを見てみます。また、(3)では、それら以外の主要取引所の概要をご紹介しています。

図表2:証券取引所の時価総額上位10社

  • 注:9/1(金)のデータによります。「※」は当社で株式を取り扱う銘柄です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3:主要取引所のデータ関連売上の推移

  • ※BloombergデータよりSBI証券が作成
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データ関連売上が伸びているロンドン、ICEの取り組み

データ関連売上が伸びていて、また、その売上構成比も高い、ロンドン取引所グループとインターコンチネンタル取引所について、企業概要とデータ関連事業への取り組みをご紹介いたします(図表4)。

◯ロンドン証券取引所グループ(LSE)(株式の取り扱いはありません)
ロンドン証券取引所、イタリア証券取引所、清算機関のLHC、指数情報のFTSEなどを傘下に置く企業グループです。16年3月にドイツ証券取引所との合併で合意しましたが、債券清算システムで独占となることが懸念され、欧州委員会によって阻止されています。

同社の市場データビジネスは、2011年末に当時FT(フィナンシャル・タイムズ)紙の親会社であったピアソンが売却したFTSE社を子会社とし、さらに、米国のFrank Russell社を2014年に買収して、「FTSE Russell」のブランドで、株価指数の情報提供を行っています。同社が提供する指数をベンチマークとする運用資産は15兆ドルとされ、世界最大の株価指数提供業者となり、主力ビジネスの一つとして発展しています。

同社の指数データ提供ビジネスは17-19年にかけて2桁の増収が続くと予想、同社の成長を牽引する事業と位置付けています。

インターコンチネンタル取引所(ICE)
2000年にエネルギーの電子取引所として創業、2005年にニューヨーク・ボード・オブ・トレード、2013年にNYSEユーロネクストの買収などで規模を拡大してきました。商品先物・オプション取引所のICE、米国株式を扱うニューヨーク証券取引所(NYSE)、ETF取引を扱うNYSEArca、欧州株のNYSEユーロネクスト等の市場を運営しています。

同社の「市場データビジネス」は、15年末に金融市場データサービスのInteractive Data Corporation(IDC)を買収したことにより、16年12月の売上の33%を占める主要部門の一つとなっています。17年4-6月期の同部門売上は、46%が「プライシングおよび分析」、27%が「取引所データ」、26%が「デスクトップおよび接続」となっています。

17年4-6月期決算は売上が4%増、調整後EPSが9%増でした。主力の市場データビジネス部門、取引および清算部門とも売上が6%増と堅調に伸びています。

同社の説明会資料では、データ需要が伸びる構造的な要因として、リアルタイム情報や分析の必要の高まり、指数連動やパッシブ運用資産の増加、自動取引の増加などがあげられています。

図表4:主要取引所の売上構成比

取引所

売上構成比(直近年度)

ロンドン証券取引所グループ

情報サービス36%、資本市場23%、清算22%、清算事業の派生収入8%、取引後サービス6%、テクノロジーサービス5%

インターコンチネンタル取引所(ICE) ※

取引および清算57%、市場データビジネス33%、上場費用7%、その他3%

ナスダック ※

市場サービス36%、企業サービス28%、情報サービス24%、マーケットテクノロジー12%

日本取引所グループ ※

参加者料金42%、証券決済関係収入20%、機器・情報提供料17%、上場賦課金12%、その他9%

ドイツ証券取引所

Eurex40%、クリアストリーム35%、市場データ&分析15%、Xetra7%、バンキングビジネス3%

CMEグループ ※

清算・取引フィー85%、市場データ・情報サービス11%、アクセス・コミュニケーションフィー3%、その他2%

香港証券取引所 ※

取引フィー43%、清算・決済フィー23%、上場フィー11%、信託などのフィー8%、その他8%、市場データ8%

CBOEホールディングス ※

取引フィー71%、アクセスフィー8%、規制フィー7%、取引所サービスその他7%、市場データフィー5%、その他2%

  • 注:取引所名の「※」は当社で株式の取り扱いがあるものです。ドイツ証券取引所の「Eurex」はデリバティブの電子取引所、「Xetra」は現物株式の電子取引所です。
  • ※会社資料よりSBI証券が作成
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その他主要取引所の概要

CME グループ A(CME)
金利、株価指数、外国為替、エネルギー、農産物、金属などに関する先物やオプションなどデリバティブ商品の取引所を運営、上場する取引所では時価総額が世界最大です。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、シカゴ商品取引所(CBOT)、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)、ニューヨーク商品取引所(COMEX)などの取引所を傘下に置くほか、清算機関(CME Clearing)も運営しています。

17年1-6月期決算では、全体の収入が1%増となる中、市場データ・情報サービス売上は6%減と不振でした。取引所の会員企業の一部でコスト削減のため端末台数を削減する動きがあったことが影響しています。

ナスダック(NDAQ)
1971年に世界初の電子取引所として創業、マイクロソフト、アップル、シスコシステムズ、オラクルなど当時の新興企業の上場市場として選ばれたことで発展してきました。2007年には、北欧でデリバティブ取引所を運営するOM社と合併、2013年にはトムソンロイター社から投資家情報提供、広報事業を買収するなどして現在に至ります。

17年4-6月期の情報サービス部門売上は7%増と好調でした。主力の取引所データの売上は4%増でしたが、ナスダック指数をベンチマークとするETFの残高が増えたことで、指数ライセンス等の売上が22%増えて部門売上を押し上げています。テクノロジー相場が盛り上がると、やはり同社に恩恵が波及します。全社でも売上が8%増、純利益が12%増と堅調でした。

CBOE ホールディングス(CBOE)
1973年にシカゴ商品取引所(CBOT)によって設立されたオプション取引所が母体で、その後独立した会社となり、世界有数の取引量を誇るデリバティブ(金融派生商品)取引所に成長しています。17年2月には、米国と欧州で現物株式の電子取引所を運営するBATSグローバル・マーケッツを買収しています。

主力のシカゴ・オプション取引所(CBOE)には個別株、株価指数など様々なオプション商品が上場されています。株式市場の変動性が高まると、これを測る指標としてよく話題に上る「VIX指数」(恐怖指数)は、同取引所に上場するS&P500指数を対象とするオプションの取引から算出されています。データ関連売上の構成比は5%に過ぎず、さほど重視されていないようです。

香港証券取引所(00388)
香港の現物株式市場、先物市場、清算会社に加え、2012年に世界最大の非鉄金属取引所であるロンドン金属取引所(LME)を傘下に収めています。現物株式市場では、香港籍企業のほか、中国本土企業(H株)が取引されています。

また、14年より上海証券取引所と、16年末より深セン証券取引所と、株式の相互取引が行われており、中国本土株と世界の投資家を結ぶ役割を果たしています。6/20に指数情報提供事業者のMSCIが中国本土株をエマージング指数への組入れを決定したことから、この分野の成長が期待されています。

17年1-6月期の決算は、一時要因を除いた売上が9%増、純利益が15%増と好調です。売上は取引関係収入が前年同期比微減となったものの、データ関連収入や清算関連収入の増加が売上増加を牽引しています。

日本取引所グループ(8697)
東京証券取引所グループと大阪証券取引所が13年1月に経営統合して誕生した会社です。現物市場を担当する東京証券取引所、デリバティブ市場を担当する大阪取引所、清算業務を担当する日本証券クリアリング機構からなります。海外取引所との提携に注力しており、サウジ証券取引所と包括提携を締結しています。

市場データ関連の売上は、16年12月期に17%と海外の取引所と比べても比較的高くなっています。同社の「第二次中期経営計画」(16年度-18年度)では、重点的な取り組みの一つとして、「指数・情報ビジネス」の発展が取り上げられており、スマートベータ指数などの新指数の開発とETF・公募投信の組成促進が謳われています。

図表5:主要取引所の営業利益の推移(13年度を100として指数化)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

免責事項・注意事項

  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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