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日本の統合型リゾート導入で活躍が期待される世界のカジノ大手

2017/03/08
投資調査部 榮 聡

カジノを含む統合型リゾートの導入が推進されつつあり、カジノが身近な存在になろうとしています。実はマカオやラスベガスのカジノの多くが上場企業によって運営され、米国市場や香港市場に上場しています。これらの企業は日本への進出で活躍が期待されるほか、その他の観点からも現在投資対象として注目できるセクターと考えられます。検討してみましょう。

図表1:世界のカジノセクターの注目銘柄

銘柄 株価 (3/7) 52週高値 52週安値
ラスベガス サンズ(LVS) 54.30ドル 63.38ドル 41.45ドル
MGMリゾート インタナショナル(MGM) 25.74ドル 30.62ドル 19.28ドル
メルコ クラウン エンターテインメント ADR(MPEL) 16.76ドル 18.51ドル 11.02ドル
金沙中国[サンズチャイナ](01928) 33.30香港ドル 39.30香港ドル 24.60香港ドル
銀河娯楽[ギャラクシーエンタテインメント](00027) 38.45香港ドル 40.10香港ドル 21.87香港ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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カジノセクターに注目できる理由

現在カジノセクターが投資対象として注目できるのは、以下の理由によります。

【1】世界的な景気回復、株高を受けてレジャー需要が刺激される可能性
【2】日本のカジノ導入は世界のカジノ大手にとって重要な事業機会と捉えられている
【3】マカオのカジノ売上は足もとで改善傾向にあり、さらに香港と橋で結ばれることによる拡大期待

【1】については、トランプ大統領の登場によって米国経済の成長期待が高まり、また、タイミングを同じくして世界景気の改善が観察されています。これを受けて米国を中心に世界の株式市場は最高値を更新しつつあり、「選択的な消費」の拡大が想定されます。

そして「選択的な消費」で景気感応度が最も高いセクターと考えられるのが、カジノ、クルーズ、ホテルといったサブセクターです。その理由はいずれも施設を用意して顧客を迎える「装置産業」であるため、固定費の比率が高く、稼働率による利益の変動が非常に大きいことです。

カジノ株は08年〜09年の金融危機の時には、破産してしまうのではないかというくらいに株価が下がりましたが、逆に景気が良くなって稼働率が上昇すると、売上の変化率を上回って利益が改善するため、株価の上昇が期待できるというわけです(図表2)。

【2】については、世界第3位の経済規模をもつ日本でカジノを含む統合型リゾートが導入されれば、中国のマカオ、米国のラスベガスに次ぐ市場規模となることが期待されます。

統合型リゾートは、カジノとともに国際会議場、展示施設、ホテル、ショッピングモール、レストラン、劇場・映画館、アミューズメントパークなどと一体になった複合観光集客施設です。マカオやシンガポールなど近年統合型リゾートを設置した都市が多数の観光客を集める中で、訪日外国人を集めるプロジェクトの一つとして、日本国内への設置が注目されてきました。

日本では2002年の自由民主党「カジノと国際観光産業を考える議員連盟」以来、10年以上の期間をかけて立法府での検討、議論が重ねられた結果、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(「IR推進法」)が16年12月15日成立、12月26日に施行されました。

「IR推進法」は、理念や方針、手続きといった大枠を規定するものですが、施行から3ヵ月以内に安倍首相を本部長としたIR推進本部を設置、1年以内にIRの詳細な内容を規定した「IR実施法」が国会に提出される予定です。

東京、横浜、千葉、大阪、長崎などが誘致候補地として名乗りをあげており、今後具体化するごとにカジノセクターの株価を刺激すると期待されます。

【3】については、次節で検討します。

図表2:カジノ企業の株価の動きは激しい

  • 注:ブルームバーグカジノ指数は、米国市場および香港市場に上場するカジノを主力とする7銘柄による株価指数です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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マカオのカジノ売上は来年にかけて回復が期待される

マカオは2006年にラスベガスを凌ぐ世界最大のカジノ市場となり、その後も拡大が続いたことから、いまや主要上場企業の売上の70%超を占める最重要市場です。カジノ企業の業績は基本マカオの動向で決まると言っても過言ではありません。

そのマカオ市場ですが、中国の習近平国家主席による「綱紀粛正」の煽りを受けて14年から15年にかけて大幅に落ち込み、カジノ各社の業績を直撃しました。しかし、政策によるマイナスの影響が薄らぐ中、16年半ば以降は徐々に改善しつつあります(図表3)。

3/1(水)に発表されたマカオのカジノ売上高は前年比18%増となって、この傾向が確認されました。高額なベットが行われる「VIPゲーム」の売上は依然として戻っていませんが、マカオの来訪者の増加とともに一般向けの「大衆市場ゲーム」の回復が全体を牽引しています。利益率は大衆市場ゲームが圧倒的に高いため、カジノ各社の収益は安定感を増しています。

さらに、マカオ市場の先行きが注目される要因として、香港、珠海(マカオに隣接する本土の都市)、マカオを結ぶ「港珠澳大橋」(ホンコン・ジュハイ・マカオ・ブリッジ)」が17年中に開通見通しであることがあげられます。同橋は09年に着工した全長35キロの世界最長クラスの海上橋です。

この橋によって香港・マカオ間はこれまで高速フェリーで1時間程度かかっていたところが、車で約30分で結ばれることになります。香港を訪れた観光客がマカオに足を延ばす利便性が増し、輸送力は桁違いとなるため、マカオのレジャー施設に恩恵が期待されます。

マカオへの来訪者は16年に3,095万人で、中国本土から66%、香港から21%、台湾・韓国・日本などその他の国が13%を占めています(図表5)。中国本土からの来訪者は従来より増加傾向が続いています。香港からの来訪者は漸減傾向ですが、橋の開通で増加が期待されます。

マカオ市場の底入れで来年に向けてカジノセクター全般に明るさが増すと期待され、株価の動向も注目されます。

図表3:大幅な落ち込みから回復しつつあるマカオのカジノ売上

  • 注:マカオ博彩監察協調局が発表するカジノ売上です。1ドルは、7.997パタカです。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4:香港とマカオを結ぶ橋が2017年中に開通予定

  • ©Kellykaneshiro
  • ※Wikipediaの「港珠澳大橋」から抜粋

図表5:マカオの訪問者数は中国本土からの観光客が牽引して回復傾向

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
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カジノ産業の主要プレーヤー

世界のカジノ産業の主要プレーヤーをご紹介いたします。マカオ市場の回復に注目するなら、マカオを中心に営業するサンズチャイナ、ギャラクシーエンタテインメント、日本での展開に注目するなら、統合型リゾートの運営に経験を積んでいるラスベガスサンズ、MGMリゾート インタナショナル、進出意欲を表明しているメルコ クラウン エンターテインメントに注目できるでしょう。

ラスベガスサンズ(LVS)
・現会長兼CEOのアデルソン氏がコンピュータの展示会事業「COMDEX」をソフトバンクに売却した資金で1988年に創業した会社で、カジノセクターでの時価総額は最大です。香港に上場するサンズチャイナ(01928)は同社が70.2%を保有するマカオ事業を担当する子会社です。

・ラスベガスをビジネス・コンベンションの街へ導いたのがアデルソン氏で、統合型リゾート(IR)の開発・運営で世界をリードしています。IRの典型として取り上げられるシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」(ビルの屋上にあるインフィニティプールで有名になりました)を開発したのが同社で、日本での展開も期待されています。

・主力のマカオでは「サンズ・マカオ」「ザ・ベネチアン・マカオ」など、ラスベガスでは「ベネチアン」「ザ・パラッツォ」などを運営しています。16年9月にはパリをテーマにした「ザ・パリジャン・マカオ」をオープンしています。

MGMリゾート インタナショナル(MGM)
・統合型リゾートの開発・運営を行う大手です。香港市場に上場するMGMチャイナ(02282)は同社が56.0%を保有するマカオ事業を担当する子会社です。

・ラスベガスで「ベラージオ」「MGMグランド」「マンダレイ・ベイ」「ザ・ミラージュ」「ルクソール」など、マカオで「MGMグランド・マカオ」などの施設を運営しています。シルク・ドゥ・ソレイユ、ボクシングの試合、ミュージシャン、コメディアンのショーなど、エンターテイメントに強いことが特徴です。また、ラスベガスのコンベンションでは、同社の会議スペースの割合は50%を超えるとされます。

ウィン リゾーツ(WYNN)
・同社CEOのスティーブン・ウィン氏は、ホテル前での火山の噴火や巨大な海賊船が沈没するショーを導入して、90年代にラスベガスを賭博の街から家族のレジャーの場所に変えた人物として知られます。

・運営していた「ミラージュ」がMGMリゾートインターナショナルに買収され、事業売却後にユニバーサルエンタテインメント(6425)の岡田氏を事業パートナーとして立ち上げたのが同社です(その後、岡田氏との関係は切れています)。ラスベガスで「ウィン・ラスベガス」、マカオで「ウィン・マカオ」「ウィン・パレス」などを運営しています。香港市場に上場するウィン マカオ(01128)は同社が72.2%を保有するマカオ事業を担当する子会社です。

ギャラクシー エンタテインメント(00027)
・元々は建築材料の会社でしたが、2002年にマカオのカジノライセンスを取得、2004年からカジノ事業に参入、積極的な拡大が目立ちます。マカオで「ギャラクシーマカオ」「スターワールドマカオ」「ブロードウェイマカオ」などの施設を運営しています。15年7-9月期にマカオのカジノ売上高でトップに立ち、その地位を維持し続けています。

メルコ クラウン エンターテインメント ADR(MPEL)
・マカオのカジノ利権を2002年まで独占してマカオをカジノの街に変えたと言われるスタンレー・ホー氏(現SJMホールディングスの会長)の息子、ローレンス・ホー氏がCEOを務める会社です。マカオの会社ですが、米国市場にADR(米国預託証券)で上場しています。マカオで「シティ・オブ・ドリームス」「アルティラ・マカオ」「スタジオ・シティ」などの施設を運営するほか、フィリピンのカジノにも進出しています。16年7-9月期のカジノ売上高は4位です。日本のカジノ市場に高い関心をもち、同社取締役が大阪府知事と面談し強い進出意欲を表明しています。

図表6:世界のカジノ大手(米国、香港上場の時価総額上位8社)

  • 注:時価総額は3/6(月)時点、地域別売上構成比は16年12月期(ウィンマカオは15年12月期)です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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