米国企業の10-12月期決算発表が始まりました。米国株式市場は様々なマクロ関係の不安材料を背景に年初から大幅な下落となっていますが、この流れを止められるか注目度の高い決算発表と言えるでしょう。S&P500指数採用企業のEPSは、1/12時点で前年同期比0.7%減の予想となっています。ドル高による業績へのマイナスの影響が緩和するか、16年1-3月期に見込まれている増益転換への確度が高まるかなどが見所となるでしょう。
今回は7-9月期から10-12月期にかけて業績モメンタムの改善が見込まれている銘柄をスクリーニングで抽出しました(図表1)。市場全体の業績動向には依然として停滞感が強いため、注目が集まると考えられます。
図表1:注目銘柄リスト
銘柄 | 株価(1/12) | 52週高値 | 52週安値 |
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ジョンソン&ジョンソン(JNJ) | 98.24ドル | 106.33ドル | 81.79ドル |
ユナイテッド パーセル サービス (UPS) | 93.00ドル | 114.40ドル | 90.71ドル |
サザン(SO) | 46.45ドル | 53.16ドル | 41.40ドル |
マクドナルド(MCD) | 117.44ドル | 120.23ドル | 87.50ドル |
アルファベット(GOOG) | 726.07ドル | 779.98ドル | 486.22ドル |
※ブルームバーグデータをもとにSBI証券が作成
株安を止める決算となるか! |
米国企業の10-12月期決算発表が始まりました。11日(月)アルコアを皮切りに、14日(木)のJPモルガン チェース、インテルから発表が本格化します。米国株式市場は様々なマクロ関係の不安材料を背景に年初から大幅な下落となっており、この流れを止められるか注目度の高い決算発表と言えるでしょう。
図表2はS&P500指数採用企業のEPSの推移です。米国企業の四半期EPSは14年7-9月期にピークを付けた後、ドル高や新興国経済の減速を受けて停滞した状態が続いています。前年比増加率では15年7-9月期の-3.4%で底入れして、10-12月期には同-0.7%へ改善する見通しとなっています。
ただし、昨年10月初では10-12月期は前年同期比7%の増益に転じるとの予想になっていました。しかし、実際には7-9月期の実績が事前予想を若干下回って着地、また、その後原油価格が一段安となり、ドルに対して新興国通貨が下落したことなどを受けて10-12月期の予想EPSは下方修正されてきたと見られます。
結局、増益への転換見込みは16年1-3月期に先延ばしとなりましたが、また逃げ水のように遠のいていかないか、注意して見ていく必要がありそうです。
米企業業績が今後改善すると見込まれる重要な要因は、ドル高によるマイナスの影響が緩和することです。図表3はドル指数の前年同期比を四半期ごとに計算しています。これによると米国ドル高による企業業績の押し下げは、15年7-9月期がピークであったはずであり、10-12月期には若干マイナスの影響が緩和されていると見込まれています。
今回の決算発表で業績動向にそのような動きが見られるか、経営者からそのような発言が出てくるか注目されるでしょう。
図表2:S&P500指数企業のEPS(白抜きは予想です)
- 注:予想はブルームバーグ集計によるコンセンサス予想です。
- ※ブルームバーグデータをもとにSBI証券が作成
図表3:ドル高による業績の押し下げは15年7-9月期がピークのはずです
- 注:米連邦制度準備理事会(FRB)が発表している貿易加重のドル指数の月次終値を四半期で平均して、前年同期比の変化率を計算しています。16年1Qと2Qは16年1/8の124.8711を使って計算しています。
- ※ブルームバーグデータをもとにSBI証券が作成
決算で注目の業績モメンタム改善銘柄はコレ!? |
市場全体として7-9月期から10-12月期にかけて減益率は縮小が見込まれているものの停滞感は残るため、引き続き業績モメンタムが改善する企業に注目できると考えます。
そこで、S&P100指数の採用銘柄について、7-9月期実績と10-12月期予想の業績に関して以下の条件でスクリーニングを行いました。
【スクリーニング条件】
1. 10-12月期予想の増収率が7-9月期実績よりも高い
2. 10-12月期予想のEPS増加率が7-9月期実績よりも高い
3. 過去3ヵ月間に15年12月期の予想EPSが下方修正されていない
4. S&P100指数採用銘柄
抽出された銘柄を「EPS増加率の差」によってランキングしたものが図表4です。この中から10-12月期予想のEPS増加率が前年同期比プラスである、5銘柄(赤字でハイライト)を注目銘柄として取り上げました。
ドル高による業績へのマイナスの影響緩和が期待されるジョンソン & ジョンソン、景気敏感と捉えられて株価が下落しているものの業績は改善が見込まれているユナイテッド パーセル サービス、買収で成長する公益事業のサザン、既存店売上の回復傾向が続いているマクドナルド、YouTubeの成長と費用管理強化が注目されるアルファベット(旧グーグル)です。
図表4:7-9月期から10-12月期にかけて業績モメンタム改善が予想されている企業
|
10-12月期予想 (A) |
7-9月期実績 (B) |
(A)−(B) |
EPS |
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増収率 |
EPS |
増収率 |
EPS |
増収率 |
EPS増加率 |
過去 |
|
E.Iデュポン(DD) |
-26.6% |
-62.5% |
-35.1% |
-75.9% |
8.5% |
13.4% |
0.1% |
ジョンソン &ジョンソン(JNJ) |
-2.1% |
11.9% |
-7.4% |
-0.7% |
5.3% |
12.5% |
0.0% |
ユナイテッド パーセルサービス (UPS) |
2.1% |
13.5% |
-0.4% |
5.3% |
2.5% |
8.2% |
0.2% |
サザン(SO) |
13.3% |
14.8% |
1.2% |
7.3% |
12.2% |
7.5% |
0.4% |
マクドナルド(MCD) |
-5.1% |
8.9% |
-5.3% |
3.7% |
0.2% |
5.2% |
3.5% |
ウォルマートストアーズ(WMT) |
-0.4% |
-9.1% |
-1.3% |
-13.9% |
1.0% |
4.8% |
1.6% |
ユナイテッドテクノロジーズ(UTX) |
-10.4% |
-6.0% |
-14.7% |
-8.2% |
4.3% |
2.2% |
0.6% |
アルファベットC(GOOG) |
18.0% |
17.7% |
14.7% |
15.8% |
3.2% |
2.0% |
0.6% |
ハネウェルインターナショナル(HON) |
-2.7% |
10.8% |
-4.9% |
8.8% |
2.2% |
1.9% |
0.0% |
テキサスインスツルメンツ(TXN) |
-1.9% |
0.4% |
-2.1% |
0.0% |
0.1% |
0.4% |
1.8% |
- ※ブルームバーグデータをもとにSBI証券が作成
注目銘柄のポイント |
銘柄名 | 株価 (1/12) |
98.24ドル | 予想PER (倍) |
15.4 | |
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※株価チャートは週足、2年で16年1/12時点です(当社のチャートツールを用いて作成)。 |
銘柄名 | 株価 (1/12) |
93.00ドル | 予想PER (倍) |
16.1 | |
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銘柄名 | 株価 (1/12) |
46.45ドル | 予想PER (倍) |
15.7 | |
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銘柄名 | 株価 (1/12) |
117.44ドル | 予想PER (倍) |
21.9 | |
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銘柄名 | 株価 (1/12) |
726.07ドル | 予想PER (倍) |
21.2 | |
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※注目銘柄(5銘柄)の株価週足チャートは、当社のチャートツールを用いて作成(2016/1/12時点)。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。