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2024-12-10 09:00:28

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中国株 ココがPOINT!  〜「たかがアリババ、されどアリババ」、予想EPSと目標株価が上方修正された銘柄〜

2022/7/8
投資情報部 李 燕

6/30-7/7の香港市場は反落しました。商品価格の低迷や中国での新型コロナの感染拡大が相場の重石となりました。エネルギーや素材が軟調でした。一方、ヘルスケアは出遅れ修正の動きが続きました。

今回は、中国株の代表銘柄であるアリババの最新動向と、アリババと同様に予想EPSと目標株価が上方修正された銘柄を確認したいと思います。

図表1 ハンセン指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

注:7/7(木)11:30までのチャートです。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成。

図表2 香港市場の業種別指数の推移(2021年12月31日=100として指数化)

注:業種別指数はハンセン総合指数のサブ指数です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

図表3 香港市場の個別銘柄の騰落率と関連ニュース等(7/7(木)までの騰落率)

ハンセン指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
02269 薬明生物 [ウーシー・バイオロジクス] 15.2% 27.9% 27.2% バイオ医薬品開発受託大手。米国の「未検証者リスト(UVL)」入りした同社の子会社2社について、少なくとも1社がリストから除外される可能性が高まり、買い材料となった。
00669 創科実業 [テクトロニック・インダストリーズ] 7.5% -13.0% -21.5% 大手電動工具メーカー。大手証券会社が投資判断を「中立」から「買い」へ引き上げた。RSIが売られ過ぎサインとされる30を下回った後、買われた。
01177 中国生物製薬 [シノ・バイオファーマ] 6.0% 30.1% 22.3% 大手医薬品メーカー。新開発の抗がん剤の上市(市販されること)申請が受理され、買い材料となった。ヘルスケア株に対する出遅れ修正の動きが続いたことも、買い安心感につながった模様。
00316 東方海外 4.8% -22.0% 14.1% 海上貨物輸送を手掛ける。好決算で買われた。4-6月期の売上高は前年同期比52%増で、四半期ベースで過去最高水準となった。
09988 アリババ・グループ 4.3% 18.1% 10.9% EC・フィンテック大手。大手証券会社数社が同社の予想EPS(1株当たり利益)と目標株価を上方修正した。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
02007 碧桂園 [カントリー・ガーデン] -8.0% -3.5% -30.3% 中国不動産大手。配当落ちの影響に加え、6月の住宅販売額が前年同月比35%減となり、売り材料となった。ただし、減少幅は前月より縮小した。
02628 中国人寿保険 [チャイナ・ライフ] -8.2% 2.5% 3.8% 大手保険会社。配当落ちの影響。配当落ち後、大手投資ファンドによる売り買いが交錯した。
01398 中国工商銀行(ICBC) -8.4% -7.4% -10.9% 4大銀行の一角。配当落ちの影響。配当落ち後、大手投資ファンドによる売り買いが交錯した。
06098 CG SERVICES -8.4% 5.3% -16.1% 不動産大手カントリーガーデン(02007)傘下の不動産サービス会社。親会社の住宅販売の鈍化が売り材料となった。(SBI証券取り扱いなし)
02382 舜宇光学 [サニーオプチカル] -12.0% -6.2% -2.5% 大手光学機器メーカー。大手証券会社がスマートフォンの需要鈍化を予想し、同社の業績見通しを下方修正した。

ハンセンテック指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
06618 京東健康(JD Health) 4.7% 25.2% 25.3% JDドットコム(09618)傘下のインターネットヘルス大手。親会社からペット関連事業を買収すると発表し、買い材料となった。同ペット関連事業の純利益はJDヘルスの純利益の6%に相当する(2021年)。
09988 アリババ・グループ 4.3% 18.1% 10.9% EC・フィンテック大手。大手証券会社数社が同社の予想EPS(1株当たり利益)と目標株価を上方修正した。
00241 阿里健康信息技術 [アリババ・ヘルス] 4.3% 30.0% 12.6% アリババ(09988)傘下のインターネットヘルス大手。大手証券会社が目標株価を引き上げた。インターネットヘルス関連株に対する出遅れ修正の動きが続いた。
09626 ビリビリ 2.5% 4.2% -11.4% 動画プラットフォーム大手。中国著名歌手の音楽配信権の取得やハンセン中国企業(H株)指数入りが買い材料となった。(SBI証券取り扱いなし。リンク先は米国上場のBILIとなっています。)
01833 平安健康医療 [ピンアン・ヘルスケア] 0.7% 13.3% 6.1% 平安保険(02318)傘下のインターネットヘルス大手。大手証券会社が目標株価を引き上げた。インターネットヘルス関連株に対する出遅れ修正の動きが続いた。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
02018 瑞声科技 [AACテクノロジーズ] -8.9% -4.6% -7.7% 音響部品メーカー。スマートフォンの需要鈍化に対する懸念が再燃し、スマートフォン関連株が売られた。大手投資ファンドによる持ち株比率の引き下げがみられた。
00909 Ming Yuan Cloud Group -10.5% 14.3% 4.1% 不動産会社向けソフトウェア大手。不動産販売の鈍化が売り材料となった。(SBI証券取り扱いなし)
01347 華虹半導体 [フアホン・セミコンダクター] -10.6% -13.6% -14.9% 半導体受託生産(ファウンドリー)大手。世界ファウンドリー最大手のTSMCに対し、アップルやインテル、AMDなど大口顧客が発注量を引き下げたと報じられ、売り材料となった。
02382 舜宇光学 [サニーオプチカル] -12.0% -6.2% -2.5% 大手光学機器メーカー。大手証券会社がスマートフォンの需要鈍化を予想し、同社の業績見通しを下方修正した。
00020 SenseTime Group Inc -16.9% -54.9% -56.7% AIソフトウェア大手。ロックアップ解除に伴う売り圧力で、上場来安値を更新した。

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergをもとにSBI証券が作成。

今週の中国株市況

6/30-7/7の香港市場は、ハンセン指数が1.0%下落、ハンセンテック指数は1.9%下落しました。米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC指数)は、1.5%上昇しました。商品価格の低迷や中国での新型コロナの感染拡大が相場の重石となりました。HXC指数も高値警戒感から売られましたが、7/7の上昇でプラスの騰落率となりました。7/7の上昇要因については、後に触れます。

香港市場は業種別で、エネルギーや素材、金融が軟調でした。

エネルギーと素材は、商品価格の低迷を嫌気しました。米国の大幅利上げによる世界的なリセッション懸念が根強いなか、中国安徽省の一部都市が新型コロナ感染拡大でロックダウンを実施し、需要鈍化懸念で原油や銅の先物価格が下落しました。石油・天然ガス大手のペトロチャイナ(00857)やCNOOC(00883)、銅大手のコウセイコパー(00358)が調整しました。

金融は、主に銀行や保険大手の配当落ちの押し下げ効果によるものです。中国工商銀行(01398)や中国銀行(03988)、チャイナライフ(02628)などの配当落ちが7-6-7/7に集中しました。

一方、ヘルスケアは出遅れ修正の動きが続き、逆行高となりました。バイオ医薬品開発受託大手の薬明生物(02269)や大手医薬品メーカーの中国生物製薬(01177)が上昇をけん引しました。薬明生物は、米国の「未検証者リスト(UVL)」入りした同社の子会社2社について、少なくとも1社がリストから除外される可能性が高まり、買われました。中国生物製薬は、新開発の抗がん剤の上市(市販されること)申請が受理され、買い材料となりました。

なお、7/7のHXC指数の上昇要因は、主に以下3点です。

1)中国商務部が自動車の販売促進策の一環として、新エネルギー車を対象にした免税措置の延長を検討していることが明らかになりました。新興EV(電気自動車)メーカーのニオADR(NIO)やシャオペンADR(XPEV)、リーオートADR(LI)が買われました。

2)中国財政省が景気支援策の一環として、地方政府に対して下期に1.5兆元相当の特別債発行を許可することを検討していると、報じられました。一段の景気拡大に向けた動きとして受け止められ、中国ADR全般に対する買いにつながりました。

3)香港当局が新型コロナに感染した乗客を香港へのフライトで輸送した航空会社に一定期間にわたり運航禁止を命じる制度(サーキットブレーカー制度)を停止すると発表しました。足元で中国本土の一部都市で新型コロナ感染者数が拡大していることを受け、大規模なロックダウンに対する警戒が強まっていましたが、中国当局の意向を反映したとみられる香港当局の動きでその懸念は和らぎました。オンライン旅行大手のトリップドットコムADR(TCOM)やホテル大手のフアジュグループADR(HTHT)が上昇しました。

以上の動きからすると、EVや経済再開関連銘柄は引き続き、今年下期の注目テーマとなりそうです。

今回のトピックス

世界的なリセッション懸念で、世界株式市場では足元で業績下方修正への懸念が高まっています。一方、中国株の代表銘柄であるアリババに対し、予想外に上方修正がみられました。今回は、アリババの最新動向を確認したいと思います。なぜならば、アリババの動向は中国株に対する投資家センチメントを反映する重要な要素の一つになっているからです。中国株の動向を見通すうえで、「たかがアリババ、されどアリババ」と言っても過言ではありません。

アリババ(BABA)の年初来推移を確認してみると、3月中旬を「大底」に、5月中旬-下旬を「二番底」に、6月以降は上昇トレンドとなりました。7/7は2021年2月以来、初めて200日移動平均線を上回りました。中国当局による締め付け強化を受け、過去1-2年間で株価の軟調が続いたアリババにとっては節目の出来事となりました。

3月中旬からの上昇については、5/6の「中国株 ココがPOINT! 〜アリババやテンセントなどネット大手、二番底形成なるか〜」で確認したように、主な要因は以下3点です。

1)中国当局が一段の金融緩和を示唆
2)中国当局がネット大手に対する締め付けの「早期終了」を示唆
3)中国当局が中国ADRの上場廃止問題をめぐっては米当局と前向きに協議すると表明

他方、先週の上昇要因は、大手証券会社数社がアリババの予想EPS(1株当たり利益)と目標株価を上方修正したからです。上方修正の背景として、下記の2点が挙げられます。

1)足元でネット大手への締め付けの緩和に関するニュースフローが増えています。

2)景気支援策により、中国のマクロ経済見通しが改善しています。足元で中国当局は一段の景気支援も辞さない姿勢を示しています。

上記の2点はアリババだけでなく、中国株全般に対する見直しにつながりました。過去1週間でアリババ以外にも多くの中国株に予想EPSと目標株価の上昇修正がみられました。具体的な銘柄リストは、図表4の通りです。これらの銘柄の多くは株価上昇が続いたこともあり、短期的には高値警戒感から調整することも予想されます。他方、より中期的には業績改善の見通しを支えに、利益確定売りをこなしながら堅調な展開となりそうです。

図表4 過去1週間で予想EPSと目標株価がともに上方修正された銘柄(7/7時点)

上場先 銘柄 主要事業 株価(7/7) 52週高値 52週安値
香港 アリババ(09988) EC・クラウド大手 116.70香港ドル 214.20香港ドル 71.00香港ドル
華潤ビール(00291) ビール大手 54.35香港ドル 70.65香港ドル 38.40香港ドル
薬明生物(02269) バイオ医薬品開発受託大手 82.70香港ドル 143.00香港ドル 40.30香港ドル
テンセント(騰訊)(00700) ゲーム・フィンテック大手 351.60香港ドル 555.18香港ドル 297.00香港ドル
比亜迪 (Byd)(01211) 新エネルギー車大手 325.00香港ドル 333.00香港ドル 165.00香港ドル
グリーンタウン(03900) 不動産大手 17.02香港ドル 17.30香港ドル 8.16香港ドル
ピンアン保険(02318) 保険大手 52.50香港ドル 75.70香港ドル 45.80香港ドル
キャセイ航空(00293) 航空大手 8.55香港ドル 8.79香港ドル 6.10香港ドル
米国 アリババ ADR(BABA) EC・クラウド大手 119.10米ドル 216.60米ドル 73.28米ドル
トリップドットコム ADR(TCOM) オンライン旅行大手 24.90米ドル 34.56米ドル 14.29米ドル
JD ドットコム ADR(JD) EC・物流サービス 61.76米ドル 90.41米ドル 40.54米ドル
網易(ネットイーズ ADR(NTES) ゲーム大手 89.23米ドル 118.19米ドル 68.62米ドル
百度(バイドゥ)ADR(BIDU) 検索エンジン大手 149.20米ドル 189.31米ドル 101.62米ドル
ピン多多 ADR(PDD) EC大手 61.69米ドル 114.88米ドル 23.21米ドル
テンセント音楽 ADR(TME) 音楽配信大手 4.97米ドル 14.24米ドル 2.95米ドル

※BloombergをもとにSBI証券が作成。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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