

1Q(1-3月期)決算速報(現地5/8引け後発表)
米国を拠点に、グローバルに暗号資産取引所を運営する大手企業です。2021年、NASDAQ市場で暗号資産交換業を行う会社として初の上場を果たしました。同社取引所は100カ国以上で展開、8割以上の取引が米国外で行われています(24.12末時点)。
決算後の時間外取引(日本時間9:00時点):200.98ドル(-2.67%)
売上高:20.3億ドル、前年同期比+24%(予想21.1億ドル)×市場予想を下回った
調整後EPS:0.24ドル、前年同期は4.40ドル(予想2.09ドル)×市場予想を大きく下回った
比較EBITDA:9.30億ドル、前年同期は10.14億ドル(予想9.71億ドル)×市場予想を下回った
2Q会社見通し
セールス・マーケティング費用:2.15~3.15億ドル(予想2.58億ドル)×中間値が市場予想より多かった
テクノロジー・開発及び一般管理費:7.00~7.50億ドル億ドル
売上高、調整後EPSとも市場予想を下回りました。2Qの会社見通しも軟調で引け後の取引で株価は小幅安となりました
引け後の時間外取引のチャート

決算のポイント
◆事業動向
取引収入:12.6億ドル、前年同期比+17%(予想:13.3億ドル)×市場予想を下回った
サブスク&サービス:6.98億ドル、前年同期比+37%(予想:7.02億ドル)×市場予想を下回った
総取扱高:3,930億ドル、前年同期比+26%(予想:3,927億ドル)△市場予想とほぼ一致した
月間アクティブ・ユーザー数:970万人、前年同期比+21%(予想:906万人)〇市場予想を上回った
純利益は前年同期比94%減の6,600万ドルで調整後EPSは0.24ドル。保有する仮想通貨を時価に評価替えしたことが主な要因
2Q会社見通し
サブスク&サービス売上高:6.0~6.8億ドル(予想7.08億ドル)×市場予想を下回った
経営陣の主なコメント
1Qのトレーディング事業は好調。スポットおよびデリバティブ取引でシェアを拡大し続けている。グローバルなデリバティブ取引高は8,000億ドルを超えた。当社の国際取引所が拡大に貢献している
Deribit[注]の買収を発表した。同社は世界有数の暗号オプション取引所で、昨年、米国外で300億ドル以上の未決済建玉と1兆ドルの取引量を誇る。この買収により、当社は世界No.1の暗号資産デリバティブプラットフォームとなろう
米国議会では超党派が法案を協議。ステーブルコインと暗号資産市場構造の両方について、より明確な枠組みが構築された。また、当社に対するSECの訴訟が棄却された。当社が主張してきた、バランスが取れ、かつイノベーションに配慮した規制にとって大きな司法的勝利となった。これは、当社のみならず業界全体にとっても、また顧客の権利を守る上でも非常に重要な節目となろう
2Qは、グローバル貿易と関税政策によるマクロ経済の不透明感により、暗号資産市場の軟化に留意する。4月は、約2.4億ドルの取引収入だがスポット取引量は前月比約12%減だった。ただし、世界のスポット取引量も約13%減とほぼ同程度
[注]Deribit:Deribitは、仮想通貨先物・オプション取引所。オランダで設立、現在はアラブ首長国連邦ドバイに本社を置く。当社はBTC取引に特化したプラットフォームとしてスタートし、現在は暗号資産など関連する複数商品のサービスを提供する
決算を受けたマーケットの反応
暗号資産関連株として注目を集める同社。株価はビットコインとの連動性の高さが意識されます。ただ同社の経営は、取引手数料、サブスクリプション・サービス、カストディー費用など収益構造が分散されており比較的安定的と言えそうです。Deribitなど暗号資産取引所の買収や、海外展開にも積極的。米国SECは同社への訴訟を取下げ。トランプ政権は暗号資産を政策の優先課題に位置づけるなど、同社には追い風と意識されます。株価の先行きも明るいと言えそうです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:262.45ドル
同、アナリスト・レーティングは5段階評価の3.70
同、相関チャート上位の同業はブロック・インク(XYZ)、アファーム・ホールディングス(AFRM)、ペイパル(PYPL)
最低投資金額:30,000円(5/8終値、1ドル145円換算)