先週は再び金利低下期待が先行した一週間でした。5/1の米連邦公開市場委員会（FOMC）でパウエルFRB議長が追加利上げは想定していないと示唆したこと、5/3の雇用統計では労働市場の軟化傾向が示されたことなどが背景です。米国10年債利回りは4.49％と4月の4.7％台から低下、ナスダック総合指数は反転、3/21の史上最高値16,538ポイントが視界に入る16,349ポイントまで上昇しました（5/6終値時点）。

S&P500指数構成銘柄500社の動向は412社が決算を発表。売上高が市場予想を上回った企業が233社（56.7%）、調整後EPS（1株当たり利益）が市場予想を上回った企業は326社（79.5%）です（5/6時点、Bloombergのデータより、SBI証券調べ）。決算発表も終盤戦。今週はAI関連で注目を集めるアーム（ARM）の動向が注目を集めそうです。

アーム・ホールディング（ARM）　5/8　引け後

ソフトバンクグループの傘下で半導体設計の世界最大手企業。スマートフォン向け半導体設計では9割超のシェアを占めます。同社の売上高は主に半導体企業にライセンスを供与した際のライセンス収入、チップ出荷の際のロイヤルティー収入で構成されます。省電力設計に強味を有する同社。AI向けなど大量の電力を消費するチップ向けにシェア拡大が期待されます。

前回発表の3Q決算は売上高と調整後EPSは会社予想、市場予想を上回る着地となりました。また、24年3月期通期の売上高、調整後EPS見通しを上方修正、市場予想を大きく上回りました。AI向けが原動力となっているとみられ、好感した株価は翌日の通常取引で47.9％高と急騰しました。

今回の決算発表は上場後3回目。利益率の高いアーキテクチャ(設計基盤)である『Armv9』への移行がどの程度進んでいるか、マイクロソフトが自社向け半導体設計で採用した『Arm Neoverse CSS』の採用動向、AIスマホなど新たなデバイスへの展開の見通しなどが気になるところです。アームは予想PERが89倍とやや高く、上場一年未満で評価が振れやすい点にも留意が必要でしょう。決算発表当日の予想株価変動率は10.9%です。

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クリーンスパーク（CLSK）　5/9　引け後

同社はビットコインのマイニングを手がける企業です。ジョージア州でおよそ5か所のデータセンターを独自に所有・運営します。ビットコインとの価格連動性が高いと言える同社株価。また直近一年間の決算発表で、発表後の株価は-13.9％から+32.9％と振れ幅が大きい展開が続きました。今回の決算発表当日の予想株価変動率は8.57%です。

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マラソン・デジタル（MARA）　5/9　引け後

同社はブロックチェーンエコシステムとデジタル資産の生成に焦点を当てて暗号資産をマイニングする企業です。

前回発表の4Q決算は売上高、EPSとも市場予想を上回りました。また比較EBITDAは2.604億ドルと市場予想の0.734億ドルを大きく上回りました。しかし株価は好業績は織り込み済みだったようで決算発表を境に調整中。またビットコイン価格が軟化したことも重しとなっているようです。ただ5/6の取引では+17.98％と急騰。これはS&Pスモールキャップ600指数採用を材料視したものと思われます。決算発表とも相まってしばらくボラタイルな展開が続きそうです。