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4Q(10-12月期)決算速報(現地1/24引け後発表)
世界をリードするEV大手。CEOはイーロン・マスク氏。事業は電気自動車を主として、自動車などに関連する事業を手掛ける「サービス/その他」と「エネルギー/バッテリー」事業がある。自動運転、人型ロボットの「オプティマス」開発やAIシステム「Dojo」なども手掛ける。
●決算発表後の時間外取引(日本時間9:00時点):195.45ドル(-5.96%)
●売上高:251.7億ドル、前年同期比+3.5%(予想258.7億ドル)×市場予想を下回った
●調整後EPS:0.71ドル、前年同期比-40.3%(予想0.73ドル)×市場予想を下回った
●フリーキャッシュフロー:20.6億ドル、前四半期は8.48億ドル、前年同期比+45.4%(予想14.5億ドル)〇市場予想を大幅に上回った
●粗利益率:17.6%、前四半期は17.9%(予想18.1%)×市場予想を下回った
●CAPEX(資本的支出):23.1億ドル(予想23.2億ドル)市場予想とほぼ一致した
●2024/12月期通期自動車生産見通しを発表せず
売上高や調整後EPSなど4Qの実績値は市場予想を下回りました。またいままで発表していた通期の自動車生産見通しも発表せず、失望感から引け後の取引で株価は約6%の下落となりました
引け後の時間外取引のチャート
決算のポイント
◆自動車事業
●自動車事業売上高:215.6億ドル、前四半期は196.3億ドル(予想216.9億ドル)×市場予想を下回った
●モデルS/X生産台数:18,212台(予想18,440台)×市場予想を下回った
●モデル3/Y生産台数:476,777台(予想471,919台)〇市場予想を上回った
●世界生産台数:494,989台(予想484,191台)〇市場予想を上回った
●23/12月通期ではモデルYを120万台以上納入。世界中で最も売れた自動車となった。長期間、多数の人々がEVに懐疑的だったが、現在、地球上で最も売れている乗り物はEVである
●12月下旬にFSD(フル・セルフ・ドライビング:自動運転補助)ベータ版・バージョン12の展開を開始。100万台を超える車両からのデータを得てトレーニングされており様々な運転動作をAIを使用して車両制御を試みる
●スーパーチャージャー・ステーションは前年同期比+27%の5,952ヶ所
◆サービス・その他事業
●同事業売上高:21.7億ドル、前四半期は21.7億ドル(予想22.3億ドル)×市場予想を下回った
●23/12月期通期では過去最高の売上高、粗利益を達成した。テスラ車は販売が拡大しているため、今後、メンテナンスなど需要増が見込め、収益牽引のエンジンとなろう
◆エネルギー事業(Energy Generation & Storage)
●同事業売上高:14.4億ドル、前四半期は15.6億ドル(予想17.7億ドル)×市場予想を下回った
●ストレージは前四半期の4.0GWh(過去最高)に対して3.2GWhにとどまった
●太陽光発電需要は金利高止まりなどが重しとなった
◆財務
●現金・現金同等物:290.9億ドル(予想220.4億ドル)〇市場予想を大きく上回った
経営陣の主なコメント
●当社は23年、約180万台を生産。米フリーモントでは56万台を生産し過去最高だった
●エネルギー事業(ストレージ)は前年の6.5GWhに対して23年は15GWhを納入。同事業は自動車事業を上回るスピードで成長すると予想したが、実際、そうなっている
●フリーキャッシュフローは約44億ドル創出。現金同等物は約290億ドル(約4.3兆円)ある。半年の設備投資や研究開発費用が過去最高水準にあるなか、堅調に推移している
●24年の自動車販売数量は鈍化しよう。次世代自動車の開発に注力している
●テスラは現在、二つの成長の谷間にある。次世代車両やオプティマス、FSDなど実行できるよう取り組んでおり、24年には大きな成果が期待できよう
●FSDのライセンス契約は現在、暫定的な段階。交渉先はFSDの実現可能性について、確信を持てないようだ。ただ年内には明らかに出来ると期待している
決算を受けたマーケットの反応
売上高や調整後EPSなど4Qの実績値は市場予想を下回りました。また、今まで発表していた通期の自動車生産見通しも発表せず、失望を招いたようです。カンファレンス・コールでも耳目をひく、新しい発表は無く話題豊富な同社としては大人しい印象の決算発表となりました。
テスラは現在、3つの経営課題に取り組んでいます。1)製造/開発コストの削減、2)AI、オプティマス、FSD、Dojoなどの先進プロジェクト開発、3)フリーキャッシュフローの創出、です。今回の決算発表では、それら課題に取組み、着実に実行/推進していることがうかがえます。この決算を「成長鈍化」とみるか「次の成長への準備段階」とみるかで評価は大きくわかれそうです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:235.59ドル
アナリスト・レーティングは5段階評価の3.38
最低投資金額:約30,800円(1/24終値、1ドル148円換算)