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決算速報(現地10/20引け後発表)
●決算発表後の時間外取引(日本時間9:00時点):851.80ドル(-1.62%)
●売上高:137.6億ドル(予想139.1億ドル)×市場予想を下回った
●調整後EPS:1.86ドル(予想1.67ドル)〇市場予想を上回った
●通期納入台数目標:「今後複数年、平均で前年比50%増のペースで納入台数が増加する」という予想を据え置いたものの、「2021年がそうであると予想するが、それ以上のペースで増加する年もある」という文言は削除された。
株価が史上最高値近辺まで上昇していたなか、サプライズがなかったこともあり株価は売りに押されました。
引け後の時間外取引のチャート
決算のポイント
●7-9月期の売上高が市場予想を下回った一方で、調整後EPSは市場予想を上回りました。
●自動車事業の粗利益率は温室効果ガスの排出権(クレジット)取引による利益を除いたベースで28.8%となり、市場予想の26.4%を上回りました。
●フリーキャッシュフローは+13.3億ドルとなり、市場予想の+13.8億ドルを下回りました。
●テキサスとベルリンに建設中の新工場では、引き続き年内の生産開始を見込んでいるとしました。
●米国道路交通安全局(NHTSA)など各国の規制当局とは密にやり取りをしているとしました。
●新型「4680」バッテリーセルについては現在のことろテスト状況は良好であるとしました。
●「スタンダードレンジ」のEVについては世界的にLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーへとシフトするとしました。
●エネルギー事業関連では「メガパック」の新工場は40GWhの製造能力を持ち、直近12ヵ月間の蓄電システムの出荷量(3GWh)に対して非常に大きな生産能力を持つとしました。
●イーロン・マスクCEOは前回の決算発表で「何か非常に重要な発表がない場合は、今後カンファレンスコールに参加しないと」発言しましたが、今回のカンファレンスコールに参加はせず、CFOのザック・カークホーン氏が主なスピーカーとして対応しました。
経営陣の主なコメント
●受注残は増加しており、顧客の納車までの待ち時間も伸びている。
●ベルリンとテキサスの新工場では年内の生産開始を見込んでいるが、納車は来年以降になるだろう。
●ベルリンとテキサスの新工場については不確定要素が多いため、生産ペースについては予測が難しく、生産の開始よりも量産フェーズの方がより難しいものとなる。
●ベルリンとテキサスの新工場については工場周辺に大きな土地があるところを意図的に選んでおり、将来的に工場を拡張することも視野に入れている。
●NHTSAとは常にやり取りをしている。
●サイバートラックの生産に向けて小さな改善を積み重ねているが、最終版も当初のものからそれほど変わらない。
●保険については当初計画していなかったが、顧客からの要望に応えて取り組んでいる。
●保険事業についてはとても熱意をもって取り組んでいる。
●コモディティではニッケルとアルミのエクスポージャーが大きい。
●EVへの需要は急速に高まっている。
決算を受けたマーケットの反応
決算発表直後は方向感のない動きとなったものの、徐々に売りが優勢となりました。
決算発表直後は売上高が市場予想を下回った一方で調整後EPSが市場予想を上回ったことを受け、マーケットは決算の評価に迷っている印象でした。しかしながらカンファレンスコールなどで特に目新しい「サプライズ」が出ないなか、直近株価が上昇していたこともあり、一旦は売りが優勢となったようです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:673.76ドル(10/20時点)