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決算速報(現地5/22寄り前発表)
●決算発表当日の終値:199.70ドル(-5.87%)
●売上高:1,143.1億人民元(予想1,070.4億人民元)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:9.20人民元(予想5.88人民元)〇市場予想を上回った
1-3月期の業績は市場予想を上回り、通期業績見通しも概ね市場予想通りとなりました。しかしながら、米国での上場廃止につながり得る法案を巡る不透明感や、新型コロナに関する不透明感などを受け、株価は大幅安となりました。
決算発表当日を含む、過去1年間のチャート
※出所:トムソン・ロイター(現地5月22日までの過去1年間、移動平均線は52週)
決算のポイント
●1-3月期の売上高と調整後EPSは市場予想を上回りました。
●2021/3通期売上高は6,500億人民元以上になるとの見通しを示し、概ね市場予想(6,574.6億人民元)通りとなりました。
●1-3月期のモバイルユーザーのMAU(月間アクティブユーザー数)は8.5億人となり、2019年12月から2,200万人増加しました。
●1-3月期のクラウド関連の売上高は前年同期比58%増の122.2億人民元となりました。
経営陣の主なコメント
●通期GMV(流通総額)は1兆米ドルを超えるなど、アリババは歴史的マイルストーンを達成した。
●オンラインショッピングの動向は3月から改善し始めたが、食料品などの注文の増加が多く、アパレルなどの回復は比較的鈍い。
●「米証券取引所から外国政府の管理下にある企業の排除を目指す米国の法案」については注視しているが、新たな規制を順守できると考えている。
●当社はこれまでも米国の会計基準に則っており、大手会計事務所PwCの香港部門の監査を受けている。
決算を受けたマーケットの反応
1-3月期の業績は市場予想を上回り、通期売上高見通しも概ね市場予想通りとなったものの、株価は大きく売りに押されました。
決算発表当初は取引時間前の時間外取引で上昇する場面も見られましたが、徐々に売りに押され、結局大幅安で決算発表当日の取引を終えています。その理由については決算発表資料のなかで新型コロナに関連した不透明感が続くことが言及されていたことなども要因の1つとして挙げられるかもしれませんが、それ以上に米国が中国企業に対する締め付けを厳しくするなかで、中国が香港版「国家安全法」の導入を進め米中関係の緊張が高まっていたことなどが懸念された可能性があります。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:258.58ドル(5/24時点)