米国株の当社顧客保有人数上位30で、7/15(月)〜7/19(金)に4-6月期決算を発表したジョンソン & ジョンソン(JNJ)、ネットフリックス(NFLX)、IBM(IBM)、フィリップ モリス インターナショナル(PM)、マイクロソフト(MSFT)の決算速報です。
マイクロソフトとフィリップモリスインターナショナルが市場予想を大きく上回る決算となりました。ネットフリックスは、加入者純増がガイダンスを下回って株価が大幅に下落しました。
銘柄名(コード) 決算発表日、株価反応日 株価、前日比、今期予想EPS、アナリスト目標株価 |
直近 実績 |
前年 同期比 |
予想 乖離 |
前四半期の 前年同期比 |
|
ジョンソン エンド ジョンソン(JNJ) 7/16、7/16 | 売上(億ドル) | 206 | -1% | 1% | 0% |
132.50ドル、-1.6%、8.60ドル、149.78ドル | EPS(ドル) | 2.58 | 23% | 5% | 2% |
【医薬品部門の売上が減速】 ・4-6月期の基調売上(為替の影響を除く)は医薬品部門の伸び鈍化により前年同期比1.6%増へ1-3月期の同3.9%増から減速しています。ドル高による売上の押し下げや事業売却の影響などで報告ベースの売上は前年同期比1%減、EPSはASP事業の売却益で押し上げられています。19年12月期のガイダンスは、売上が804〜812億ドルから808〜816億ドルへ引き上げ、調整後EPSは8.53〜8.63ドルで維持されました。 ・4-6月期の部門別の調整後基調売上(為替とM&Aの影響を除く)は、医薬品部門が乾癬治療薬「ステラーラ」、多発性骨髄腫治療薬「DARZALEX」、B細胞性腫瘍の治療薬「IMBRUVICA」の増加などの貢献で前年同期比4.4%増(1-3月期は同7.9%増)、消費者部門はスキンケアのニュートリジーナなどビューティ分野が牽引して同2.3%増(同2.2%増)、医療用機器部門は電気生理分野が牽引して同3.2%増(同1.0%減)です。 ・医療品部門のパイプラインが充実しており中期的な成長期待は高いものの、今年はジェネリック薬の発売による関節リウマチ治療薬「REMICADE」の売上減少の影響が強く出る見込みです。また、ベビーパウダーにアスベストが混入していた件に関連する数千件の訴訟を抱え、賠償額が巨額となる可能性がある点には注意が必要です。 |
|||||
ネットフリックス(NFLX) 7/17、7/18 | 売上(億ドル) | 49.2 | 26% | 0% | 22% |
325.21ドル、-10.3%、3.88ドル、389.79ドル | EPS(ドル) | 0.60 | -29% | 6% | 19% |
【加入者純増がガイダンスを下回る、7-9月期は「ストレンジャー・シングス」に期待】 ・4-6月期の加入者純増(有料会員ベース)は2.70百万人(国内マイナス0.13百万人、海外2.83百万人)で、ガイダンスの5.0百万人(国内0.3百万人、海外4.7百万人)、前年同期の5.45百万人(国内0.87百万人、海外4.58百万人)を下回りました。1月に実施した値上げで解約が増えたことに加え、コンテンツに目立ったヒットがなかったことも低調となった要因と見られます。7-9月期の加入者純増ガイダンスは7.0百万人(国内0.8百万人、海外6.2百万人)で、前年同期比15%増相当です。人気シリーズ「ストレンジャー・シングス」のシーズン3の放送開始が貢献する見通しです。 ・4-6月期は値上げ効果で売上の伸び率が高まり、営業利益は前年同期比53%増でした。一方、利払い増、債券評価に係る評価損、税金の増加などでEPSは減益となっています。EPSが市場予想を上回ったのは、計画していたマーケティング費用の一部が年後半にずれ込んだことが主因と見られます。 ・4-6月期はHBO(AT&Tのワーナーメディア部門)制作の「ゲーム・オブ・スローンズ」が5月に最終シーズン8の放送を迎えて、世界的に盛り上がっていたことも同社の不振に影響を与えた可能性がありそうです。 |
|||||
IBM(IBM) 7/17、7/18 | 売上(億ドル) | 192 | -4% | 0% | -5% |
149.63ドル、+4.6%、13.91ドル、152.28ドル | EPS(ドル) | 3.17 | 3% | 3% | -8% |
【レッドハットの買収でクラウド事業の拡大にはずみがつくか注目】 ・4-6月期の売上は前年同期比4%減、為替の影響を除いて同2%減で、税前利益は同横ばいでした。19年の業績ガイダンスは、調整後EPSが「少なくとも13.90ドル」(18年実績は13.81ドル)、キャッシュフローが約120億ドルで維持されました。完了したレッドハット買収の影響を含んだ通期のガイダンスは8/2(金)にアップデートの予定です。 ・主力部門の売上は、クラウド&コグニティブソフトウェアが56億ドルで前年同期比3%増、グローバル・ビジネス・サービスが41億ドルで同横ばい、グローバル・テクノロジー・サービスは事業切り離しの影響もあって68億ドルで同7%減、システムはメインフレーム「IBM Z」の販売サイクル一巡を受けて17億ドルで同19%減でした。クラウドの売上は、過去12ヵ月で195億ドル、前年比5%増(為替の影響を除いたベースで同8%増)です。 ・企業のITシステムがクラウドにシフトするなかで同社はシェアを失う部分があり、低落傾向からなかなか抜け出せていません。完了したレッドハットの買収がクラウド事業の強化につながり、売上モメンタムが上昇するか注目されます。 |
|||||
フィリップ モリス インターナショナル(PM) 7/18、7/18 | 売上(億ドル) | 77.0 | 0% | 4% | -2% |
87.71ドル、+8.2%、5.16ドル、94.37ドル | EPS(ドル) | 1.49 | 6% | 13% | 9% |
【為替の影響等を除く調整後の通年EPSは前年比9%増を見込む】 ・4-6月期の売上は前年同期比0.3%減となったものの、為替の影響を除いた売上は値上げ効果により同5.4%増、事業切り離しの影響も除くと9.0%増と実勢は堅調でした。営業利益は前年同期比3.0%増、為替の影響を除いて同8.4%増です。 ・たばこの出荷本数は前年同期比1.4%減で、紙巻たばこが前年同期比3.6%減、加熱式たばこが同37.0%増でした。紙巻たばこは、主力のマールボロが1.2%減で、パーラメント、ラーク、フォーチュンなどが10%を超える減少となっています。加熱式たばこは、日本に加えて、イタリアなど西欧、ロシア、ウクライナなど東欧での伸びが貢献しています。 ・19年12月期のガイダンスは、GAAPベースのEPSが4.94ドルで前年同期比3%減の見込みで、カナダ事業の切り離しなどの影響を除くNon-GAAPベースでは5.14ドルと前回の5.09ドルから引き上げられました。さらに為替の影響を除いたベースでは5.28ドルで前年同期比9%増です。 |
|||||
マイクロソフト(MSFT) 7/18、7/18(時間外) | 売上(億ドル) | 337 | 12% | 3% | 14% |
139.50ドル、+2.3%、5.11ドル、147.97ドル | EPS(ドル) | 1.37 | 21% | 13% | 19% |
【市場予想を上回る好決算】 ・4-6月期決算は、1-3月期に続いて市場予想を上回る好決算でした。引き続きインテリジェント・クラウド部門が牽引するほか、ゲームを除く主要事業がいずれも増収と好調で、営業利益は前年同期比20%増加しています。 ・部門別の売上は、プロダクティビティ・アンド・ビジネス・プロセス部門が企業向け「オフィス」、企業向け「オフィス365」、リンクトインなどの好調により前年同期比14%増(1-3月期は同14%増)、インテリジェント・クラウド部門が企業向けクラウドプラットフォーム「Azure」の前年同期比64%増(1-3月期は同73%増)などが牽引して同19%増(同22%増)、モア・パーソナル・コンピューティング部門はゲームの減収をOSの「Windows」、ノートPCのサーフェス、ネット検索の「Bing」などの伸びがカバーして4%増(1-3月期は同8%増)です。 ・クラウドの顧客企業を新規開拓するときに、同社はメールやビジネスソフトウェアの関係で企業のIT部門にコンタクトがあることが有利に働くと期待されています。クラウドの総合サービスを提供する大手では、最も注目できると考えられます。 |
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成