米国株の当社顧客保有人数上位50で、1/30(水)、1/31(木)に10-12月期決算を発表したクアルコム(QCOM)、ロイヤル ダッチ シェル ADR B(RDSB)、アルトリアグループ(MO)、ゼネラル エレクトリック(GE)、アマゾン ドットコム(AMZN)、マスターカード A(MA)の決算速報です。
ロイヤルダッチシェルは天然ガスの貢献で大幅増益、アマゾンは、1-3月期の弱いガイダンスが嫌気されて時間外で株価が下落しています。
銘柄名(コード) 決算発表日、株価反応日 株価、前日比、今期予想EPS、アナリスト目標株価 |
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直近実績 |
前年同期比 |
予想乖離 |
前四半期の 前年同期比 |
クアルコム(QCOM) 1/30、1/31 |
売上(億ドル) |
48.2 |
-20% |
-2% |
-2% |
49.52ドル、-1.3%、3.96ドル、65.69ドル |
EPS(ドル) |
1.2 |
22% |
13% |
-2% |
【アップルとの特許係争の行方が注目される】
- 10-12月の部門別業績は、QCT(半導体チップの製造)の売上が前年同期比20%減、営業利益が同37%減、QTL(特許料収入)の売上が同20%減、営業利益が同31%減と厳しい状況が続いています。一方、EPSが市場予想を上回ったのは、QCTの粗利率を13〜15%とガイダンスしていたところ、16%で着地したことが要因と見られます。
- 1-3月期のガイダンスは、売上が44〜52億ドル(市場予想は48億ドル)、調整後EPSが0.65〜0.75ドル(市場予想は0.69ドル)で、ほぼ市場予想に沿うものです。尚、この業績ガイダンスには、特許係争中のアップルとその契約生産業者からの特許料収入は織り込まれていません。クアルコムに有利な形での和解の場合は、業績の上ぶれ要因になります。
- 3G/4G/5G向けモデムチップの世界出荷数について同社は、暦年17年の17.55億個から、18年推定の18.00億個、19年予想の18.5〜19.5億個へ増加すると想定しており、事業環境は決して悪くないと言えるでしょう。
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ロイヤル ダッチ シェル ADR B(RDSB) 1/31、1/31 |
売上(億ドル) |
1,022 |
20% |
5% |
32% |
62.80ドル、+3.4%、2.84ドル、80.00ドル |
EPS(ドル) |
0.89 |
70% |
15% |
36% |
【天然ガス価格上昇の恩恵で大幅増益】
- 10-12月期は、天然ガスの販売価格が前年同期比30%、原油の販売価格が同8%上昇したことから大幅な増収増益で、市場予想も大きく上回りました。尚、同社は在庫評価の影響を除いた原価を用いるCCS(Current Cost of Supply)ベースの利益を算出しており、価格上昇局面では利益が大きく出る傾向があります。
- 10-12月期の純利益は、58.1億ドルで前年同期比32%増、うちインテグレーテッド・ガス部門が23.6億ドルで同44%増、上流部門が18.8億ドルで同14%増、下流部門が21.3億ドルで同53%増です。ガスの構成比が高いことが他のエネルギー大手よりも利益増の伸びが高くなっている要因と言えます。純利益は7-9月期との比較でも横ばいを確保しています。
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アルトリア グループ(MO) 1/31、1/31 |
売上(億ドル) |
47.9 |
2% |
0% |
3% |
49.35ドル、+3.2%、4.23ドル、58.13ドル |
EPS(ドル) |
0.95 |
4% |
0% |
20% |
【19年12月期は4〜7%の増益を想定】
- 10-12月期は市場予想通りの決算でした。紙巻たばこの出荷数量は、主力のマールボロが前年同期比3.0%減で全体も同4.4%減少しています。有煙たばこ部門は数量減を値上げで相殺して、売上・営業利益とも前年同期比2%増、無煙たばこ部門は売上が前年同期比横ばい、営業利益は同2%減でした。
- 19年12月期のガイダンスは、EPSが4.15〜4.27ドルで、18年12月期実績の3.99ドルに対して4〜7%の増加と想定されています。米国の紙巻きたばこの販売本数は前年比3.5〜5.0%減が前提となっています。
- 昨年12月に電子たばこのJUULに128億ドルを投資、カナダの医療用大麻企業のクロノスグループ(CRON)の株式18億ドルを取得と、主力の紙巻たばこの市場縮小を補うための投資を加速しています。
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ゼネラル エレクトリック(GE) 1/31、1/31 |
売上(億ドル) |
333 |
6% |
3% |
-12% |
10.16ドル、+11.7%、0.81ドル、10.83ドル |
EPS(ドル) |
0.17 |
-37% |
-25% |
-52% |
【ダナハーから転身したカルプCEOの手腕に期待】
- 10-12月期決算はEPSが予想をショートする一方、売上は前年同期比増収で予想も上回りました。電力、再生エネルギー、運輸の減益が航空、ヘルスケア、オイル&ガスの増益を上回る構図です。決算と同時に減損損失の計上に関して司法省から調査を受けていた件は決着したとして、市場の懸念が解消されました。
- 主要部門別の受注と売上の前年同期比はそれぞれ、電力が19%減、25%減、航空が12%増、21%増、再生エネルギーが19%増、28%増、ヘルスケアが2%減、2%増、オイル&ガスが21%増、8%増、運輸が48%減、24%増です。
- ダナハーからCEOに就任したカルプ氏は決算リリースで、「戦略は明確だ。負債を減らし、事業を強化する。まず電力部門から始める。これを実行するために、業務のやり方、顧客重視、社内の優先順位の付け方などの改革に取り組んでいる。」とました。
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アマゾン ドット コム(AMZN) 1/31、1/31(時間外) |
売上(億ドル) |
724 |
20% |
1% |
29% |
1,639.00ドル、-4.6%、36.19ドル、2,146.71ドル |
EPS(ドル) |
6.04 |
181% |
9% |
1006% |
【10-12月期は好調、1-3月期ガイダンスの予想ショートが嫌気される】
- 10-12月期決算は、売上・EPSとも市場予想を上回って好調でした。一方、1-3月期のガイダンスは、売上が500〜600億ドル、営業利益が23〜33億ドルで、それぞれ市場予想の609億ドル、31億ドルを下回って嫌気されたと見られます。
- 部門別には、ネット通販の北米売上が前年同期比18%増、営業利益が同33%増と好調でした。海外売上は前年同期比15%増(為替の影響を除いて同19%増)で、7-9月期の前年同期比13%増(為替の影響を除いて同15%増)から改善しています。クラウドのAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)売上は前年同期比45%増(7-9月期は同46%増)、営業利益は同61%増(同77%増)と引き続き好調です。
- 10-12月期は米国の好調な年末商戦の恩恵を受けましたが、米株式市場の下落や消費者信頼感の低下で今後は消費が鈍化する可能性が市場では気になっていると見られます。
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マスターカード A(MA) 1/31、1/31(時間外) |
売上(億ドル) |
38.1 |
15% |
0% |
15% |
187.73ドル、-1.7%、7.53ドル、232.21ドル |
EPS(ドル) |
1.55 |
36% |
2% |
33% |
【大幅増収増益】
- 10-12月期は市場予想並みながら、前年同期との比較で大幅な増収増益です。売上は為替の影響を除いたベースで同17%増、会計基準変更の影響を除いたオーガニックベースで同12%増でした。法務費用の引き当て7.6億ドルを除いた営業費用は前年同期比1%増ににとどめ、同じベースの営業利益は同31%増加しています。
- 総取引高は世界が前年同期比14%増(7-9月期は同13%増)、米国が同10%増(7-9月期は同9%増)、現地通貨ベースの海外が同16%増(7-9月期は同16%増)と、米国・海外とも好調が続いています。
- 19年から21年にかけての業績目標として、売上の年平均成長率として1桁台前半、営業利益率は少なくとも50%、EPSの年平均成長率は1桁台後半を掲げています。
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※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
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