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マーケット > レポート > 投資戦略を極める! > テスラの指数組み入れイベントを投資に活かす

テスラの指数組み入れイベントを投資に活かす

2020/12/11

11月17日、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはS&P 500指数に米電気自動車(EV)大手テスラを新規採用すると発表しました。12月21日の取引開始前に組み入れられることになります。S&P500は米国を代表とする株価指数であり、米国株式市場に投資するファンドなどにおいて、ベンチマークとして幅広く活用されています。テスラの時価総額はS&P500の新規採用銘柄としては過去最大のものとなりますので、銘柄入替えに伴って各ファンドで持ち高の調整に伴う売買が発生するものと思われます。国内でも直近に日経平均株価の構成銘柄入替えがありましたが、その事例と比較してテスラの入替えに伴う影響について考えてみたいと思います。

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日経平均はシャープを新規採用

NTTドコモ(9437)がNTT(9432)によるTOB(株式公開買い付け)成立により将来的な上場廃止の可能性が極めて高いと判断されたことを受けて、日本経済新聞社は11月18日に日経平均株価の構成銘柄からNTTドコモを除外し、シャープ(6753)を追加することを発表しました。12月2日より適用されています。NTTドコモは11月27日には整理銘柄に指定され、12月25日には上場廃止となることが決まっています。

NTTドコモの指数除外を受けて、日経平均に連動する指数連動(パッシブ)ファンドはポジションを調整する必要がありました。この時、額面換算株価で指数を算出する日経平均においては、NTTドコモの額面換算株価よりもシャープの方が大きかったことから、日経平均連動型ファンドの多くで他の日経平均構成銘柄を売って、シャープの買い入れに充てるという投資行動が目立ちました。

当然、このような需給イベントがあること自体は構成銘柄の入れ替えが発生した(又は発生する確率が高まった)時点で予想はされていますが、指数連動型ファンドはその特性上、大きく動くこともできず、組み入れ日に一括して対応します。ただし、この需給要因による変動を想定した個人や投機主体の物色も当然市場では出てくるため、これによって織り込み度合いが変わり、価格変動に差が生まれることが多々あります。実際にシャープのケースでは組み入れ発表翌日の11月19日から株価は大きく上昇しましたが、27日に一旦ピークをつけ、組み入れ当日の12月2日からは横ばいの展開が続いています。

テスラの場合はどうなる?

そして今回注目されているのが21日にS&P500に採用されるテスラとなるわけですが、テスラの株価動向と同様に、除外される銘柄の動向や他のS&P500採用銘柄全体への影響が注目されています。

というのも、テスラはS&P500新規採用銘柄で最大の時価総額になるため、組み入れ方法も当初は2回に分けるなどの意見もあったようです。ただ、結局は一括で採用することが決まりましたので、組み入れによるインパクトがマーケット全体に影響を与えてくる可能性があります。テスラは組み入れによる買い需要への思惑から高値を更新し続けており、12月7日時点の時価総額は6000億ドル(約62兆4000億円)を上回ってきています。テスラは採用日に向けてさらに上昇基調が強まることが見込まれています。

一方で、時価総額の大きなテスラを組み入れるための資金は、当然ながらS&P500に採用されている他の銘柄を売却してこれに充てる必要があります。特に今回のテスラについては新興企業としての位置づけもあってファンドの多くは、これまで同社株を保有していないとみられています。

そのため、これらのファンドが指数のベンチマークにウエイトを合わせてテスラ株を取得した場合には、大量の需給要因が発生するものと考えられます。一部報道によると、80億ドル〜100億ドル(約8320億円〜1兆400億円)程度の売り需要がS&P500構成銘柄に出てくるとの試算もあるようです。史上最高値を更新しているS&P500ですが、過去のフェイスブック株の組み入れ時にみられたような10%を超える下落を予想する見方も聞かれます。

基本的に指数入れ替えは機械的に行われるため、マーケットの影響は一時的とみられますが、規模の大きさから間接的には東京市場へも影響が波及する可能性には注意しておきたいところでしょう。

投資に活かすなら

この需給要因から目先的にはS&P500指数の弱含みが想定されるため、指数構成銘柄、特に景気敏感株などは手掛けにくくなると考えられます。一方で、アップルやアマゾン・ドット・コム、ネットフリックスといった高成長が続くクオリティ株には回避的に資金が向かいやすいと考えられます。いまのうちにこれらのクオリティ株を買い付けておくのも一手です。上記クオリティ株を対象とするコール型eワラントを買い付けてみるのもよいかもしれません。

また、経済や株式市場がグローバル化している今日においては、米国市場の流れが波及する相場展開が想定されますので、日経平均を対象とするプット型eワラントを買いつけておくのも一手です。一方で、上記クオリティ株と相関性が高い銘柄には物色が入る可能性があります。東京エレクトロン(8035)、SUMCO(3436)、アドバンテスト(6857)などを対象とするコール型eワラントをあわせて買いつけておくのも一考でしょう。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)

eワラント証券 多田 幸大

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