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マーケット > レポート > 投資戦略を極める! > 新型iPhoneの発表は間もなくか?

新型iPhoneの発表は間もなくか?

2020/9/4

例年通りであれば、間もなくAppleの新商品発表が行われるものと考えられます。事前の観測報道では5Gに対応した新型iPhone(4モデル?)が最大の目玉となるものと見られています。その他にも、タブレット端末「iPad Air」やウェアラブル端末「Apple Watch」の新モデルも発表されるのではないかと見られています。

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Appleの売上推移

2007年に初代iPhoneが登場して既に13年以上が経過しました。その間、iPhoneを含むスマートフォンは世界的に大流行し、当たり前のように一人1台を保有する状況になっています。火付け役であるiPhoneもバージョンアップを繰り返しながら販売台数を増やし、ある調査では間もなく累計販売台数が20億台に届くのではないかと見られています。

下図は2016年第4四半期(2016年7〜9月)から直近の決算(2020年4〜6月)までのAppleの売上高の推移を表したものです。ご覧いただければわかるように、Appleは第1四半期に売上高のピークをつける季節性があることがわかります。これは例年9月中旬に発表されるiPhoneの新シリーズが9月下旬に販売開始され、第1四半期(10〜12月)にピークを迎える買換え需要が落ち着くと、春以降は次期シリーズの発表に向けて消費者が買換えを手控えるという傾向があることに起因します。

ただし、今年は新型コロナウイルスの流行に伴う工場の操業停止・縮小等の要因から部品の供給や製造に遅れが生じていると見られており、新型iPhoneの販売開始も10月にずれ込むのではないかと考えられています。

また、2020年4月に、Appleは比較的低価格なモデル「iPhone SE」(第二世代)を発売していますが、これが予想を上回る売れ行きを示しているようで、例年は1年で最も売上が低くなる第3四半期(4〜6月)に前四半期を超える売上を記録しています。一方でiPhone SEの好調な売れ行きは、例年秋に発生する乗り換え需要の一部を先食いしているとも考えられ、新型iPhoneへの需要に影響が出ないか気になるところでもあります。

さらに、売上のセグメントに注目してみると、緩やかながらiPhoneの売上に占める割合が徐々に低下していることがわかります。それに比して割合を高めているのがサービスセグメントです。サービスセグメントの売上には、アプリストア「App Store」での販売手数料や金融サービス「Apple Card」の決済手数料、音楽サービス「Apple Music」、ゲームサービス「Apple Arcade」、動画配信サービス「Apple TV+」などのサブスクリプション型利用料などが含まれています。スマートフォン市場が飽和する中、サービス部門が新たな収益の柱として台頭しつつあることを表すのかもしれません。

新型iPhone発表日前後のアップルの株価の動き

次に新型iPhoneの発表前後のアップルの株価の動きを見てみましょう。図は2015年以降の毎年8月から12月までの株価の推移を示したものです。各年の7月末を100として指数化しています。図中の日付は各年で新型iPhoneが発表されたアップルのイベントがあった日付を示しています。

過去の値動きを見ると、2016年の発表イベント日は短期的な相場の転換点となっていたと考えられますが、それ以外の年は明確に転換点になったとはいえなさそうです。新商品の発表イベントの開催告知は発表イベントよりも前に行われますし、観測報道でどのような製品になりそうかがある程度想定できるため、発表内容は事前にある程度株価に織り込まれていたのでしょう。

一方、今年のアップル株の状況を見てみると、新商品発表の有無はまだわかっていないにもかかわらず既に7月末比で2割以上上昇しています。8月に行った株式分割によって、少額投資家を中心にアップル株の需要が高まっていることが要因の1つと見られていますが、今後発表されるであろう新製品への期待も株価押上げの要因になっていると考えられます。

今年同様に新製品の発表前に株価が大きく上昇していたケースとしては2018年が挙げられますが、2018年は新製品の販売開始後に大きく下落しています。もしかすると今回も新製品の発表又は販売開始以後にアップル株が下落する可能性も否定できません。前述の通り、今年は新製品の販売開始が遅れるのではないかと想定されていますが、想定以上に販売開始が遅れる旨のアナウンスがあれば、トレンドの転換点となるかもしれません。

周知のとおり、iPhoneなどアップル社の製品には日本企業の部品も多く使われています。アップルの業績・新製品の販売見通しに大きな変更があるようであれば、これら企業の見通しも大きく変えざるを得ないかもしれません。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)

eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大

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