米ドル対円相場の値動きが年々乏しくなってきている印象を受けます。実際にその値幅(高値と安値の差)を見てみると、2016年が約21.6円、2017年が約11.3円、2018年が約10.1円と徐々に小さくなってきており、昨年2019年は約8円弱と10円を切る値動きに留まっています。2020年も、米‐イラン関係の悪化や新型コロナウイルスの流行などの波乱要因があったにもかかわらず、現時点(2月12日15時時点)の値幅は約2.5円とかなり小さな値動きに留まっています。
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米ドル対円相場の値動きは膠着
図1は直近1年の米ドル対円相場の推移です。過去1年間の推移を見てみると、4月頃に米ドルは112円台の高値をつけましたが、米中貿易摩擦の激化懸念から下落し、8月には104円台の安値を付けています。とはいえ、その間の値幅は8円程度で、例年に比べると小幅に留まっています。10月に入ると値幅はさらに小さくなり、おおよそ108円から110円のレンジの範囲内での値動きを繰り返しています。今もその傾向は続いているように見えます。
さらに図2では、同期間における米ドル対円相場のヒストリカルボラティリティを示しています。ヒストリカルボラティリティとは、過去の相場の変動率から計算した変動の大きさを示す指標で、図2では標準偏差と呼ばれる統計値を用いて表しています。なお、図中の標準偏差は過去10営業日、過去60営業日、過去90営業日の標準偏差をそれぞれ簡便的な方法で年率換算しています。
数値の見方ですが、例えば、米ドル対円相場の標準偏差が10%なら、年間変動率はだいたいプラス10%からマイナス10%に収まるくらいの値動きだった、という解釈になります(もし、将来も標準偏差10%と予想しているという人がいた場合、その年の年間変動率は現在の水準から上下10%の範囲に収まる確率がおよそ7割、という前提を置いているということになります)。
図を見てみると、米ドル対円相場のヒストリカルボラティリティはおおむね3%〜6%とかなり低い値を推移していることがわかります。ちなみに同期間の日経平均のヒストリカルボラティリティは10%〜20%くらいでしたので、米ドル対円相場のボラティリティがいかに小さかったのかがお分かりいただけるでしょう。
さらに、より長期間の推移(図3、2016年から)を見てみると、米ドル対円相場のボラティリティは低下傾向にあることがわかります。どうして低下しているのかには色々な要因があるとは思いますが、日米中銀の量的緩和の影響で市場に資金が多量に供給されていること、投機的な資金が暗号資産などのよりボラティリティの高い資産に移ったことなども要因として挙げられるでしょう。
値動きの乏しい為替相場でも収益を目指す
前述のとおり、米ドル対円相場の値動きは乏しくなってきています。為替相場に投資をする手段としてはFXが代表的ですが、このように値動きの乏しい相場ではデイトレード(日計り)でもなければなかなか収益をあげるのは難しいと考えられます。とはいえ、四六時中相場に張り付いていることが難しい、という投資家の方も多いのではないでしょうか。
そこで、米ドル対円相場が今後も小幅な値動きに留まるという相場観を持つのであれば、敢えて相場が動かないことで収益を目指してみるのはいかがでしょうか。eワラントの一種であるニアピン型eワラントをうまく活用することで、動かない相場でも収益を得られる可能性があります。
ニアピン型eワラントは日経平均株価又は米ドル対円相場の満期日の水準を予想して、その予想に近いピン価格の銘柄を購入することで収益を狙うeワラントです。ピン価格とは各ニアピン型eワラントに予め決められている条件価格のことで、例えばニアピン米ドル第1255回(満期日:2020年3月11日)という銘柄はピン価格が109円となっています。
ニアピン型eワラントを満期日まで保有すると、ピン価格から一定のレンジ内にあれば受取金が発生し、満期日の相場がピン価格とぴったり一致すれば1ワラント当たり満額の100円を受け取ることができます。最小取引単位の1,000ワラントなら10万円となります。ぴったり一致しない場合は、ピン価格から外れた分だけ受取金が減る仕組みです。なお、レンジを外れると受取金は0円となります。一定のレンジとは、日経平均株価を対象とする銘柄はピン価格から上下250円、米ドル対円相場を対象とする銘柄はピン価格から上下2円です。
要するに先ほどのニアピン米ドル第1255回という銘柄を1,000ワラント保有していた時、3月11日午前9時時点の米ドル対円相場が109円ぴったりであれば10万円が、一致とまではいわなくとも107円から111円の範囲内に収まっていればピン価格からの乖離幅に応じた受取金が生じる仕組みになっています。前述の通り、2019年10月以降ここまでは108円から110円のレンジ相場が継続しているので、このままの相場環境が続けば受渡金発生の可能性は高いと考えられます。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大
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