長らく市場の最大の懸念事項であった米中貿易問題が一定の合意に近づいているとのニュースを受けて、リスクオンムードから株式市場は大きく上昇しています。特に、ダウ平均が初めて28,000米ドルを突破、主要3指数(ダウ平均、S&P500、ナスダック総合)が揃って史上最高値を更新するなど、米国株式市場の強さは顕著です。引き続き米国の経済が拡大を続けるようであれば、株式投資には追い風となりそうです。本稿では2019年11月26日時点の米国経済の現状を3つの図で確認するとともに、今後の取引戦略について紹介しています。
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失業率
図1は米国の失業率、失業率の5ヵ月の移動平均、NYダウ平均株価の月次データです。失業率と株価の関係を見ると、失業率が低下傾向にあるときは株価は上昇傾向にありますが、過去には失業率の低下傾向が止まる(移動平均が横ばいになる)とその後に米国株が下落しています。失業率の動向は米国株下落の前兆として役に立ちそうです。
2019年前半に失業率は一時低下傾向が止まり、先行きが懸念されていましたが、4月以降再び下落基調が強まり、9月の失業率は3.5%と史上最低水準の値を付けました。直近10月も3.6%と依然低い水準にはありますが、やや下げ止まったようにも見えます。失業率の低下傾向が止まったとは言えませんが、今後も毎月発表される失業率には注目です。
在庫循環
景気のサイクル、つまり景気循環には長期から短期にわたるものまでいくつかの種類がありますが、その中で短期の景気循環として、企業の在庫に注目した在庫循環があります。景気が良いときはモノが売れるので企業が生産や出荷を増やしても在庫は積み上がることはありません。景気が後退してくるとモノが売れなくなるので在庫が徐々に積み上がっていき、企業は生産や出荷を減らしていくことになります。そして景気が再び回復傾向になれば在庫が足りなくなってきて、企業は再び生産や出荷を増やしていくという循環です。
図2は米国の在庫と出荷の関係を表したものです。この図では縦軸に在庫の前年同月比を、横軸に出荷の前年同月比を表示しています。図中の上半分は在庫の増加、下半分は在庫の減少、右半分は出荷の増加、左半分は出荷の減少となり、右上は景気拡大期、左上は景気後退期、左下は景気停滞期、右下は景気回復期に分けることができます。
この在庫循環図で見ると米国は2017年から2018年にかけて景気拡大を続けていたことがわかります。ただ、2019年に入り景気拡大期も終盤を迎え、8月には遂に出荷が前年同月割れとなり、このモデル上では景気後退期に突入していることがわかります。しかし、2015年は4月から7月の在庫がプラスとマイナスを行き来するなど、在庫循環で見ると数カ月のうちに急激に景況感が変わることがあります。これだけをもって米国が景気後退期入りしたと判断するのは早計かもしれません。ただ、少なくとも景気後退が迫っている証左の一つとは言えそうです。
長短スプレッド
「長短スプレッド」は長期金利と短期金利の差のことです。長期金利は短期金利を上回るのが一般的ですが、短期金利が長期金利を上回る、いわゆる「逆イールド」の状況になると注意が必要です。米国では過去に「逆イールド」の状況が発生し、その後に株価がピークを迎えることが発生していました。図3は米国の「長短スプレッド」とNYダウ平均株価の関係を見たものです。長期金利として米国10年国債利回り、短期金利として米国2年国債利回りを用いており、データは2019年11月26日までです。
興味深いのは、「逆イールド」が発生した数ヵ月後には株価がピークを迎えていることが分かります。そのため、「逆イールド」は景気後退のシグナルとも認識されています。月単位で表されているため図上では表示されていませんが、2019年8月中旬にも数日間「逆イールド」が発生しています。過去のケースを参考にするのであれば、近く株価がピークアウトする可能性を考慮に入れておいたほうがいいかもしれません。
3指標は何を表す?
これら3つの指標を見る限り、米国経済はピークに近い又はピークを過ぎてしまった可能性があります。米国株式市場は依然強さを見せてはいますが、ふとしたきっかけで大きく崩れてしまう可能性も否定できません。
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(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
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