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2019-12-11 10:31:59

マーケット > レポート > 投資戦略を極める! > 年末までのリスクイベントとシナリオ

年末までのリスクイベントとシナリオ

2019/11/22

今年も残り1カ月少々となりました。昨年末の急落を経て始まった2019年の株式相場は、米中通商問題をめぐる混乱はありましたが、それを懸念したFRBや各国中銀の金融緩和の甲斐もあり、ここまでのところは年初から大きく上昇しています。年末に向けて引き続き上昇傾向が続くことが期待されますが、12月には相場に影響を及ぼす可能性のあるイベントが多く予定されており、その内容次第で相場環境は大きく変わってしまうかもしれません。2019年を安心して締めくくるためにも、事前にそのイベントの内容を確認し、想定されるシナリオやその対策を考えておきましょう。

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12月に予定されている政治・経済イベント

下表は12月に予定されている政治・経済イベントのうち、筆者が重要と考えるイベントをピックアップしたものです。以下にて、それらのイベントの一部について概要とシナリオについてご紹介します。

OPEC総会(12月5日)、OPECプラス会合(12月6日)

OPEC(石油輸出国機構)はウィーンで定例総会を開催します。原油需要の減衰・過剰供給への懸念から原油価格が低迷する中で、2020年4月以降も継続して生産調整(減産)を講じる可能性について議論が交わされると見られています。また、OPEC総会の翌日には、ロシアなど非OPEC産油国を含めた会合を開催予定です。OPECは非OPEC産油国向けにも協調減産を求めるものと考えられます。

ただ、OPEC、OPECプラス内の思惑は一枚岩ではありません。OPECの中心で、協調減産を主導する立場にあるサウジアラビアは12月上旬にサウジアラビアの証券取引所に上場を予定しています。少なくとも売出価格が決まるまでは、同社の業績に大きく影響するであろう原油価格を下げられないという意向が働くものと考えられます。同国は引き続き協調減産を各国に求めていく可能性が高いと思われます。

一方で、産油国にとっては原油生産を調整することは自国の収入源を断つことにもつながります。多少割安になってしまっても、目先の売却収入を得たいと考える国もあるでしょう。既にOPEC加盟国のイラクやナイジェリア、非OPECのロシアは前回の会合で認められた上限を超過する原油生産を行っていることが確認されています。

メインシナリオとしては、OPEC、非OPEC産油国が4月以降の協調減産継続に合意することがあげられますが、現在のように実効性を欠く状態が続けば原油価格は緩やかに下落していくものと考えられます。 リスクシナリオとしては、協調減産を主導してきたサウジアラビアがこれまでの方針を放棄し、増産に転じることが考えられます。サウジアラムコの売出価格は総会と同じ5日に決まる予定のため、その決定を受けて方針を転じる可能性も否定はできません。とはいえ、同社は来年以降に海外の取引所への上場も検討していると言われており、投資家の批判を招きかねない行動は避けると思われます。

英国総選挙(12月12日)

英国では過去5年で3回目となる総選挙が行われます。EUからの速やかな離脱を掲げていたジョンソン首相は、EUとの間で離脱協定案合意にこぎつけましたが、議会の承認を得ることができず、やむをえず総選挙に打って出ることになりました。もちろん争点の中心は「ブレグジット」となっており、実質的に2回目の国民投票の様相を呈しています。

ジョンソン首相率いる与党保守党は単独過半数を獲得し、離脱協定案の議会承認を得ることが目標となります。立候補をする保守党議員は当選後にジョンソン首相の離脱協定案に賛成の制約を行っており、保守党が勝利した場合には比較的スムーズに離脱を迎えるものと考えられます。現在の支持率では、保守党が最大野党・労働党を大きく上回っていると報じられており、またブレグジットを唯一かつ最大の公約に掲げるブレグジット党も保守党との共闘姿勢を明らかにしています。もっとも可能性の高いシナリオと言えるでしょう。

逆に、労働党が勝利した場合は大きなリスク要因となりそうです。労働党のコービン党首は、勝利した場合に現在の離脱協定案を破棄しEUとの再交渉に臨むことや、その結果を踏まえて再度の国民投票を行うことなどを公約として掲げています。一方で、EUは再度の交渉や離脱期限の延長に応じない姿勢を示しており、公約が実現できるかには疑問が残ります。また、コービン党首は大企業や富裕者層に厳しい考え方を持っており、英国の経済成長をスローダウンさせる可能性も否定できません。ただ前述の通り、労働党は支持率で保守党に後れを取っていると報じられており、労働党政権誕生の可能性はあまり高くないと言えるかもしれません。

より現実的なリスクシナリオとしては、保守党、労働党を含めてどの政党も過半数を獲得することができず、ハングパーラメント(宙づり議会)となることでしょう。保守党が他党と協定案の承認で協調できなければ、議会の膠着が続くことになり、1月末に「合意なき離脱」を迎えてしまう可能性も0ではありません。

日銀金融政策決定会合(12月18日〜19日)

日銀は前回の同会合で現状の金融緩和策を維持したものの、フォワードガイダンスを変更し、必要に応じて追加緩和を行う方針を強調しました。前回の会合から1カ月半を経て、金融政策当局者の見方にどのような変化が表れているかに注目が集まるところです。

次回12月会合の見通しについては、物価安定目標(2%)には届いていないながらも、現在の市場環境(株価、金利動向など)を見る限りでは、今回も金融政策は現状を維持することがメインシナリオとなるでしょう。

より注目が集まると考えられるのは黒田日銀総裁の記者会見でしょう。日銀はETFの買い入れを行っていますが、その頻度が減衰していることが市場の注目を集めつつあります。記者からの質問に対し、黒田総裁の回答によっては、日銀の『ステルス・テーパリング』が意識されることにもなりかねません。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)

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