企業の自社株買いが急増していると各所で報じられています。2019年上期に設定された自社株取得枠は5兆円超となっており、通期では10兆円を突破する可能性が高いようです。2018年度が約6兆円と過去最高であったことからその規模がお分かりいただけるかと思います。本稿では、急増する自社株買いの背景と影響について調べてみました。
eワラントとは?
そもそもワラントってなに?3,000円程の少額から始められる「eワラントの魅力」をご紹介いたします。
自社株買いとは
自社株買いは企業が発行した株式を買い戻すことをいいます。その規模にもよりますが、市場に流通する発行済株式数が減るため、1株当たりの利益・資産が増加し、株主資本利益率(ROE)や株価収益率(PER)の改善につながります。
また、企業としても配当金を支払う株式が減るため、配当負担を削減することができます。そのほか、自社の株価が割安水準にあると市場に対して伝える効果などもあります。ソフトバンクグループ(9984)は2016年に5,000億円、2019年に6,000億円の自社株買いをそれぞれ実施していますが、同社の孫正義社長は自社の株価が割安な水準にあることを理由に挙げています。
2019年4月以降、300超の企業が自社株買いを発表しており、下記の13社は1,000億円を超える大規模な自社株取得枠を設定しました(自社株買い終了分も含む)。こうした企業が自社株買いを拡大する背景には、先行き不透明感から成長投資に資金を向けにくいことなどがあるようです。
自社株買い発表後の株価動向は?
それでは、大規模な自社株買いの例として、先ほど挙げたソフトバンクグループを見てみましょう。図は2018年12月3日から2019年5月31日までの同社株価の推移を示したものです。同社株価は米国株安を受けたファンドの収益悪化懸念などから18年9月末にピークを付けたあとは下落基調が続いていました。こうしたなか、同社は2月6日に6,000億円を上限とした自社株買いの実施を発表。発表を受けて株価は8,462円(2月6日終値、分割後4,231円)から1週間で10,765円(2月13日終値、同5,382.5円)まで30%近く上昇しました。
需給に注目
次に需給に注目してみましょう。自社株買いは企業によって買付けるタイミングやペースが異なります。短期間で取得枠いっぱいまで買付けを終えるタイプや、継続して一定の買い付けを行うタイプなどがあります。自社株買い発表時に、取得枠とあわせて取得期間を設定していますので、そちらを参考にしてみるといいかもしれません。取得期間が短く規模が大きいようであれば需給の逼迫が予想され、短期的な株価上昇が期待できそうです。
また、期間中は取得状況を定期的に発表しており、取得価額の総額と株式の総数からおおよその取得単価を割り出すことも可能です。取得期間が長く継続的に買付けが行われている場合は、企業による買いが入る水準を予想するのもいいかもしれません。ただ、発表はあくまで取得枠の設定で、企業が想定する株価水準まで到達しなければ取得を行わない可能性があるため、これまでの実績を確認しておくのも重要です。
自社株買いによる株高効果に陰り?
株高効果が期待される自社株買いですが、規模が拡大したことを受けて個別のインパクトが薄くなったことを指摘する声もあります。また、企業利益に占める割合が成長投資を大きく上回ってしまい、成長鈍化につながるとの懸念も出ています。急増する自社株買いの選別が重要になってくるかもしれません。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室
eワラントの関連コンテンツ
ちょっとe(イー)銘柄の見つけかた
ご注意事項
- eワラント、ニアピンeワラントおよびトラッカーeワラントは取引時間内であっても取引が停止されることがある等、リスクがあります。詳しい情報はホームページの「手数料及びリスク説明:必ずお読み下さい」をご参照下さい。
- 本資料は情報の提供を目的としており、本資料によって何らかの行動を勧誘するものではありません。本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社は本資料が正確、完全あるいは/且つ最新のものである事を表明するものではなく、またその責任も負いません。尚、当社及び当社の関連会社、役員、社員その他本資料の作成に携わった関係者が本資料に記された企業の証券または(オプションなどの)派生商品の買い持ちや売り持ち、及び売買を時として行うことがあり得ます。本資料に掲載されている内容の著作権は、原則としてeワラント証券に帰属します。事前に当社の書面による許可なく、本文の一部または全部を第三者へ再配布することを禁じます。
- eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式(上場投資信託等を含む)・株価指数、預託証券、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。
- ニアピンeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。同一満期日を持つ全ての種類のニアピンeワラントを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。
- トラッカーeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与える有価証券です。このため、投資元本の保証がなく、損失が生じる恐れがあります。トラッカーeワラントの価格は、eワラントに比べると一般に対象原資産の価格により近い動きをします(ただし、レバレッジトラッカーは同方向または逆方向に増幅されたような値動きとなります)が、任意の二時点間において対象原資産の価格に連動するものではありません。また、金利水準、満期日までの予想受取配当金及び対象原資産の貸株料等の変動によって、対象原資産に対する投資収益率の前提が変化した場合には、トラッカーeワラントの価格も影響を受けます。さらに、取引時間内であっても取引が停止されることがあります。詳細は、最新の外国証券情報をご参照ください。
- SBI証券におけるカバードワラント取引手数料は無料です。また、お客様の購入価格と売却価格には価格差(売買スプレッド)があります。トラッカーeワラントの購入価格には年率で計算された管理コストが予め織り込まれています。管理コストは、計算時点におけるマーケット・メーカーのヘッジコスト(金利水準、ヘッジ対象の流動性、資金調達コスト等を含む)の予想に基づいて設定され、銘柄および購入時点によって異なる可能性があります。
商号等 / eワラント証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2526号
加入協会 / 日本証券業協会
提供:eワラント証券