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NT倍率の上昇が示唆するものと投資戦略への活用

2018/6/29

NT倍率の上昇が注目されています。NT倍率は日経平均株価(N)とTOPIX(T)の価格比を取ったものですが、日経平均株価とTOPIXは同じように動くと見られていることからNT倍率の上昇は違和感を持って見られているようです。本稿ではNT倍率に見える日経平均株価の指数としての特色を再確認した上で、今後の投資戦略について紹介しています。

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NT倍率の長期データ

図1はNT倍率、日経平均株価、TOPIXの長期データです。日経平均株価とTOPIXは2000年4月末を100として指数化しています(2018年6月は26日までのデータです)。2000年4月末を起点としている理由は後ほど説明します。

NT倍率は直近10年以上、上昇してきたことが分かりますが、2000年から2005年末にかけては低下傾向にあったことも分かります。NT倍率は日経平均株価とTOPIXのパフォーマンス比ですので、NT倍率の上昇は日経平均株価のパフォーマンスがTOPIXのパフォーマンスを上回ってきたことに他なりません。

日経平均株価は市場指数ではなくグロース(成長)株ポートフォリオ

図1のデータを2000年4月末を起点としているのは、2000年4月にファーストリテイリング(9983)が日経平均株価に組み入れられた月だからです。ファーストリテイリングは日経平均株価を構成する銘柄のうち、日経平均株価への影響が最も大きい銘柄です。2018年6月25日時点で日経平均株価の構成銘柄上位5銘柄とそれぞれの構成比率は次の通りですが、構成比率の合計は22.46%もあり、日経平均株価はこれらの株価の動向に強く影響されると言えます。

9983 ファーストリテイリング 8.58%
9984 ソフトバンクグループ 4.09%
6954 ファナック 3.68%
8035 東エレクトロン 3.10%
9433 KDDI 3.01%

特定の銘柄に引っ張られやすい日経平均株価は日本の株式市場全体の指数とは言い難いですが、225銘柄で構成された株式ポートフォリオとして見なすと、いわゆる大型グロース(成長)株ポートフォリオと見なすことができます(※)。グロース(成長)株と対になるのはバリュー(割安)株です。グロース(成長)株とバリュー(割安)株の判定はPBRなど、株価の割安指標で評価されるのが一般的です。日経平均株価はグロース(成長)株に偏っており、NT倍率が上昇を続けていたのは、グロース(成長)株優位の相場環境であったと解釈することができます。

ちなみにNT倍率が低下していた2000年から2005年末はITバブルが崩壊した後であり、バリュー(割安)株優位の相場環境でした。

(※)株式ポートフォリオは大型・小型・グロース・バリューという運用スタイルで分けることができます。日経平均株価連動型の投資信託の運用スタイルは、投資信託の情報を提供しているモーニングスター株式会社のホームページによると大型グロースに分類されています。なお、TOPIX連動型の投資信託は大型ブレンド(グロースとバリューの中間)となっています。

NT倍率を投資戦略に活用できるか?

NT倍率に着目した投資戦略として、NT倍率を日経平均株価とTOPIXの乖離と捉え、NT倍率が上昇(乖離が拡大)した後は低下(乖離が縮小)するはず、という前提に立ち、NT倍率が一定の水準に達したら日経225先物を売り建てし、同時にTOPIX先物を買い建てるという投資戦略が考えられます。

しかし、これはあまり良好な結果にはならないかもしれません。というのはNT倍率が上昇傾向にあるのはグロース(成長)株が物色対象になっていることの現れですから、グロース(成長)株が物色される傾向が続くならばNT倍率の上昇が続くかもしれないからです。加えて日経平均株価は構成銘柄次第でそのポートフォリオ特性(グロースなのかバリューなのか)は変わってしまいますので、NT倍率の水準で投資戦略を考えてもあまり良い結果は期待できないかもしれません。

そこで、NT倍率を乖離の度合いではなくグロース(成長)株の物色動向の指標と解釈するならば次の投資戦略が考えられるかもしれません。

NT倍率の上昇傾向が続く場合(図2の白丸はNT倍率上昇傾向への転換点)、グロース(成長)株がTOPIXを上回るという前提で、
・グロース(成長)株の現物株式(例えば日経平均株価の構成上位銘柄など)、又は当該株式を対象とするコール型eワラントを買う。TOPIX先物を同時に売り建てて相場全体の影響を相殺するのも一案。
・日経225コールオプション、又は日経平均株価を対象とするコール型eワラントを買う。
・日経225CFD、又は日経225先物を買い建てる。TOPIX先物を同時に売り建てて相場全体の影響を相殺するのも一案。

NT倍率が低下し始めた場合、バリュー(割安)株がTOPIXを上回るという前提で、
・バリュー(割安)株の現物株式、又は当該株式を対象とするコール型eワラントを買う。TOPIX先物を同時に売り建てて相場全体の影響を相殺するのも一案。
・日経225プットオプション、又は日経平均株価を対象とするプット型eワラントを買う。
・日経225CFD、又は日経225先物を売り建てる。TOPIX先物を同時に買い建てて相場全体の影響を相殺するのも一案。

なお、現状バリュー(割安)株としては鉱業株、自動車株、メガバンク株、商社株などがあります。NT倍率が低下し始めた場合、これらのバリュー(割安)株が物色対象になるものと思われます。グロース(成長)株とバリュー(割安)株の具体的な銘柄はRussell/Nomura 日本株インデックスや大和日本株インデックスのホームページなどで見ることができます。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)

eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)

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