株式市場を業種別で見てみると株価が低迷していた業種が翌月には上昇率の上位になったり、逆に上位にいた業種が翌月には下位に低迷するといった具合に、相対的に株価が下がった業種はいずれ反発し、値上がりした業種は下落するという経験則があります。本稿ではこの経験則を利用して、相対的に上昇が期待できる業種のコール型eワラントと相対的に下落が想定される業種のプット型eワラントを保有することで収益獲得を狙う方法について紹介しています。
eワラントとは?
そもそもワラントってなに?3,000円程の少額から始められる「eワラントの魅力」をご紹介いたします。
セクターローテーション
この図は東証33業種にTOPIXを加えた月次変動率のランキングで、2017年6月から2018年3月まで並べたものです(2018年3月は6日までの変動率を使用)。例えば2018年3月のトップは石油・石炭で0.02%、ワーストは鉄鋼で-5.76%でした。この図を見ると順位はほぼ毎月入れ替わっていますが、前月トップの業種が翌月はTOPIXを下回ったり、前月ワーストの業種が翌月はTOPIXを上回ることが毎回ではないものの、頻繁に発生しています。
このように物色される業種が月次など一定の周期で変わることをセクターローテーションと言うことがあります。
セクターローテーションはなぜ起こる?
理由は定かではありませんが、一般的に長期投資を前提とする機関投資家の中には、相対的に上昇したものを売り、下落したものを買うということを行います。機関投資家の行動パターンを当てはめると上昇が目立つ業種は売られ、下落が目立つ業種は買われる傾向はあるかもしれません。
または、投資家による過剰反応も挙げられるかもしれません。株価にとって良い情報を投資家が過大に評価してしまい、株価が合理的と考えられる価格を大きく上回る、または、株価にとって悪い情報を投資家が過剰に懸念してしまい、株価が合理的と考えられる価格を大きく下回るといったことです。合理的と考えられる価格から大きく乖離した株価はその後、適正な価格に収れんしていくことが考えられます。
セクターローテーションを前提とする戦略
投資戦略としては、前月の業種別変動率がトップの業種のプット型eワラントを買い付けると同時に、前月の業種別変動率がワーストの業種のコール型eワラントを買い付けることを考えます。
2018年2月のトップは精密機器、ワーストは海運でしたので、精密機器のプット型eワラントと海運のコール型eワラントの買い付けを考える、といった具合です。とはいえ、3月も既に中旬に差し掛かっているので、3月の業種別変動率を見て4月の投資方針を考えても良いでしょう。もし、図のまま月末を迎えて、石油・石炭がトップ、鉄鋼がワーストとなった場合は次の銘柄が組み合わせ例となります。
例: 新日鐵住金 コール 第175回 (鉄鋼)とJXTG プット 第31回(石油・石炭)
銘柄の検索は「業種」と「コール/プット」で絞り込めますので銘柄選びは容易です。
買い付ける銘柄ですが、投資期間は1ヵ月ほどを想定し、コール型とプット型のワラントレバレッジ(実効ギアリング)の水準が絶対値で同程度、可能なら満期日も近いのが理想的です。リスク量がなるべく偏らないようにして、相場全体の方向性ではなく、業種間の値動きの乖離に注目する戦略だからです。
なお、この投資戦略は相場全体の上下の動きに関わらず、
(A:コール型の対象となっている株式の変動率)>(B:プット型の対象となっている株式の変動率)を前提としていますので、例えば
A:5%、B:3%であっても、
A:-1%、B:-5%であっても良く、このように変動率に差が生じれば合計で利益の獲得を期待することができるでしょう。
ただし、A < B となった場合には損失となる可能性が高く、さらにA > B の状態となるのに時間がかかり、コール型とプット型の時間的価値の減少の影響が大きくなった場合にも損失となる可能性があることには注意が必要です。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
eワラントの関連コンテンツ
ちょっとe(イー)銘柄の見つけかた
ご注意事項
- eワラント、ニアピンeワラントおよびトラッカーeワラントは取引時間内であっても取引が停止されることがある等、リスクがあります。詳しい情報はホームページの「手数料及びリスク説明:必ずお読み下さい」をご参照下さい。
- 本資料は情報の提供を目的としており、本資料によって何らかの行動を勧誘するものではありません。本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社は本資料が正確、完全あるいは/且つ最新のものである事を表明するものではなく、またその責任も負いません。尚、当社及び当社の関連会社、役員、社員その他本資料の作成に携わった関係者が本資料に記された企業の証券または(オプションなどの)派生商品の買い持ちや売り持ち、及び売買を時として行うことがあり得ます。本資料に掲載されている内容の著作権は、原則としてeワラント証券に帰属します。事前に当社の書面による許可なく、本文の一部または全部を第三者へ再配布することを禁じます。
- eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式(上場投資信託等を含む)・株価指数、預託証券、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。
- ニアピンeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。同一満期日を持つ全ての種類のニアピンeワラントを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。
- トラッカーeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与える有価証券です。このため、投資元本の保証がなく、損失が生じる恐れがあります。トラッカーeワラントの価格は、eワラントに比べると一般に対象原資産の価格により近い動きをします(ただし、レバレッジトラッカーは同方向または逆方向に増幅されたような値動きとなります)が、任意の二時点間において対象原資産の価格に連動するものではありません。また、金利水準、満期日までの予想受取配当金及び対象原資産の貸株料等の変動によって、対象原資産に対する投資収益率の前提が変化した場合には、トラッカーeワラントの価格も影響を受けます。さらに、取引時間内であっても取引が停止されることがあります。詳細は、最新の外国証券情報をご参照ください。
- SBI証券におけるカバードワラント取引手数料は無料です。また、お客様の購入価格と売却価格には価格差(売買スプレッド)があります。トラッカーeワラントの購入価格には年率で計算された管理コストが予め織り込まれています。管理コストは、計算時点におけるマーケット・メーカーのヘッジコスト(金利水準、ヘッジ対象の流動性、資金調達コスト等を含む)の予想に基づいて設定され、銘柄および購入時点によって異なる可能性があります。
商号等 / eワラント証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2526号
加入協会 / 日本証券業協会
提供:eワラント証券