10月下旬から主要企業の4−9月期の決算発表が集中します。決算発表時には業績予想の修正や自社株買いなども発表されることがあるため、決算発表を行った企業の株価が変動しやすくなります。決算発表を1つのイベントとして、損失限定のeワラントで短期投資を前提に大きなリターンを狙うのも一手でしょう。本稿では、決算発表で大きなリターンを狙う手法と、近日中に決算発表が予定されている企業のうち、eワラントの対象になっている企業を紹介します。
eワラントとは?
そもそもワラントってなに?3,000円程の少額から始められる「eワラントの魅力」をご紹介いたします。
過去の事例から学ぶ決算シーズンのeワラント投資法
eワラントは数日で2、3割上昇することがある一方で、eワラントが対象としている相場に大きな変動がなく時間が経過すると価格が下落したり、満期まで保有してしまうと投資元本が0になってしまうリスクがあります。このリスクを考慮すると、eワラントが対象としている相場が大きく変動することが見込めるときに買って、相場の大きな変動を待つという戦略が有効と考えられます。
相場が大きく動くイベントとしては、注目されている経済指標の発表時や、個別株であれば決算発表が該当すると考えられます。しかもこれらは事前にスケジュールを把握できるイベントです。以下ではイベント投資の例として、今年7月の決算発表に関する2銘柄を紹介します。
1つ目の例は安川電機(6506)です。同社は7月20日の大引け後に業績の上方修正を発表し、同日のPTSで同社の株価は大きく上昇しました。その後も株価は上昇基調にあります。
図1は安川電機(6506)を対象とする安川電機コール第29回の値動きです。左軸はeワラントの価格、右軸は参照原資産価格の終値、簡単に言えば対象としている相場の終値です(eワラントの価格はいずれも買気配ベース、eワラントの終値は23:50現在。以下同様)。7月20日の決算発表日当日の始値は4.23円でしたが、同日の終値は7.10円となり、1日で約1.7倍となっています。このように決算発表がある個別株をあらかじめマークしておき、決算発表によって株価が大幅上昇すると考えるならコール型を仕込んでおくという投資戦略が考えられます。
図1:安川電機コール 第29回(日足、7/10-8/1)
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
しかし、好決算を発表したにも関わらず、株価が下落に転じたケースもあります。2つ目の例は信越化学工業(4063)です。同社は7月25日の大引け後に好決算を発表し、同日のPTSで同社の株価はザラバの引け値を上回って取引されていました。翌日、株価は高値を更新したものの、終値では前日を下回り、その後の株価は横ばい傾向にあります。
図2は信越化学工業(4063)を対象とする信越化学工業プット第87回の値動きです。プット型eワラントは対象となっている相場が下落すると上昇が見込めるeワラントです。7月25日の決算発表日当日の終値は0.90円、翌日7月26日の始値は0.67円でしたが、7月26日に株価が下落に転じたため同日のこのプット型eワラントの終値は1.17円となり、前日終値比で1.3倍、当日始値比で約1.7倍となっています。信越化学工業(4063)の株価は決算発表前に好決算を織り込んで上昇傾向にあり、決算発表によって材料出尽くし売りを浴びた格好になっていました。この例にあるように決算発表前に株価が上昇している場合はプット型eワラントを仕込んでおくという投資戦略が考えられます。
図2:信越化学工業プット 第87回(日足、7/13-8/4)
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
eワラントの対象となっている主要企業の決算発表スケジュール
eワラントの対象となっている株式で近く決算発表が予定されているのは次の通りです。
10/23 さくらインターネット(3778)、安川電機(6506)
10/24 日本電産(6594)、キヤノン(7751)
10/25 ファナック(6954)
10/26 LINE(3938)、サイバーエージェント(4751)、日立製作所(6501)、富士通(6702)、小糸製作所(7276)、SBIホールディングス(8473)、NTTドコモ(9437)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、百度[バイドゥ](BIDU)、アルファベット(GOOG)、マイクロソフト(MSFT)
10/27 信越化学工業(4063)、新日鐵住金(5401)、小松製作所(6301)、 トプコン(7732)、オリエントコーポレーション(8585)、エクソンモービル(XOM)
10/30 塩野義製薬(4507)、オリエンタルランド(4661)、TDK(6762)、アルプス電気(6770)、キーエンス(6861)、任天堂(7974)、オリックス(8591)、野村ホールディングス(8604)
10/31 セリア(2782)、富士フイルムホールディングス(4901)、 パナソニック(6752)、ソニー(6758)、デンソー(6902)、村田製作所(6981)、日東電工(6988)、三菱重工業(7011)、本田技研工業(7267)、日本エム・ディ・エム(7600)、東京エレクトロン(8035)、ヤマトホールディングス(9064)、日本航空(9201)
※株式によってはプット型がなく、コール型のみの場合もあります。
※決算発表予定日の情報は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、決算発表予定日と実際の発表日は異なる場合があります。正確性を保証するものではございませんので予めご了承ください。
実践する上での注意点
決算発表後に株価が上昇すると考えるならコール型、すでに株価上昇を織り込んでいて下落に転じると考えるならプット型を決算発表前に買います。1つの個別株に対して複数のeワラントが存在する場合、コール型もプット型も権利行使価格は決算発表日の株価水準に近く、満期日までの期間は短いものを選びます。なお、この投資戦略は短期投資を前提とするので、結果の良し悪しに関わらず決算発表後には売却しましょう。
この投資法を実践するうえでの注意点は次のとおりです。
・相場観が外れて株価が想定の逆に動いた場合は、eワラントの価格が大幅に低下する可能性があります。
・東京市場の取引終了後に決算発表がある場合、東京市場の取引終了後から翌日の東京市場にて当該株価が寄り付くまでの間、買いも売りもできない売買停止となることがありますのでご注意ください。これはeワラントの価格決定要因である対象原資産の株価を推計できないため、マーケット・メイクが困難となることに起因します。
・レバレッジの高い(実効ギアリングの高い)銘柄を選択するのも一手ですが、デルタ(原資産に対するeワラントの価格感応度)が0に近い場合、株価の変動に反応しない場合がある点には注意が必要です。デルタは銘柄の詳細画面にて確認できますので、チェックしておきましょう。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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