相場格言に「二日新甫(ふつかしんぽ)は荒れる」というものがあります。二日新甫とは1日が取引日ではなく2日から取引が始まる月の相場のことで、「二日新甫は荒れる」とは2日で取引が始まった月は相場が荒れるという意味です。検証の結果、「二日新甫」よりも「三日新甫」の方が荒れそうだ、ということが分かりました。
eワラントとは?
そもそもワラントってなに?3,000円程の少額から始められる「eワラントの魅力」をご紹介いたします。
検証1:新甫当日の動き
ひとえに「荒れる」と言っても日中の値動きが大きいことを言うのか、前日比で大きく動くということなのか定かではありません。そこで新甫ごとに、月初第一取引日の日経平均株価について、日中変動率((高値−安値)÷始値)を表1に、前日比率(終値ベース)を表2で比較してみました。観測期間は筆者が日経平均株価の四本値を取得できる1988年5月から2017年5月までです。
表の見方ですが、例えば表1では1日新甫、つまり月初第一取引日が1日であった日は230日あり、日中変動率の平均値は1.57%であったことを示しています。この230個のデータはまだ発生していない将来の分を含めた1日新甫のデータの集合(母集団)のサンプルと考えることができます。日中変動率が新甫によって違いがあるのかを見るには、サンプルの平均だけではなく、サンプルから推定した母集団の平均、いわゆる母平均の水準を探る必要があります。
母平均を推定するにあたり、データのばらつきとサンプル数を考慮する必要があります。例えば1991年7月1日の日中変動率は3.44%でしたが、2012年2月1日の日中変動率は0.57%と、数値にばらつきがあります。サンプルデータのばらつきは表中の標準偏差という数値で示しています。この数値が大きいほどサンプルデータのばらつきが大きいことを示しています。加えて、サンプルデータの数も多いほうがよいと考えられます。そこで標準偏差とサンプル数から計算したのが「サンプルから計算した母平均の推定値」です。この範囲に母平均が含まれるだろうと考えられます。
表1:日中変動率
月初第一取引日 | サンプルの 観測日数 |
サンプルの 平均値 |
サンプルの 標準偏差 |
サンプルから計算した 母平均の推定値 |
推定値の 誤差の範囲 |
---|---|---|---|---|---|
一日新甫 | 230 | 1.57% | 0.96% | 1.44%〜1.69% | 0.25% |
ニ日新甫 | 45 | 1.56% | 1.01% | 1.26%〜1.87% | 0.60% |
三日新甫 | 37 | 1.62% | 0.98% | 1.30%〜1.94% | 0.64% |
四日新甫 | 25 | 1.66% | 1.24% | 1.17%〜2.16% | 0.99% |
五日新甫 | 4 | 1.60% | 0.67% | 0.94%〜2.27% | 1.34% |
六日新甫 | 8 | 2.01% | 0.83% | 1.42%〜2.59% | 1.17% |
上記全て | 349 | 1.59% | 0.98% | 1.48%〜1.69% | 0.21% |
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
表1の「サンプルから計算した母平均の推定値」を見ると、日中変動率は1.4%〜1.6%あたりが各新甫の母平均かもしれません。新甫によって日中変動率に明確な違いはなさそうです。なお、母平均は平均値ですから、実現する日中変動幅が母平均を超えることも下回ることも当然にあります。
表2では前日比率について新甫ごとに比較しました。母平均の推定値に注目しますと、二日新甫と三日新甫ではマイナス方向に偏っている一方、四日新甫ではプラス方向に偏っていることが分かりました。つまり、二日新甫または三日新甫では前日比で相場が下がる傾向が平均的にありそうだということ、四日新甫ではサンプル数の少なさから信頼度は落ちますが、前日比で相場が上がる傾向が平均的にありそうだということが分かりました。
表2:前日比率
月初第一取引日 | サンプルの 観測日数 |
サンプルの 平均値 |
サンプルの 標準偏差 |
サンプルから計算した 母平均の推定値 |
推定値の 誤差の範囲 |
---|---|---|---|---|---|
一日新甫 | 230 | 0.12% | 1.40% | -0.06%〜0.31% | 0.37% |
ニ日新甫 | 45 | -0.28% | 1.73% | -0.79%〜0.24% | 1.03% |
三日新甫 | 37 | -0.51% | 1.71% | -1.08%〜0.05% | 1.13% |
四日新甫 | 25 | 0.83% | 2.24% | -0.06%〜1.73% | 1.79% |
五日新甫 | 4 | 0.31% | 1.81% | -1.50%〜2.12% | 3.62% |
六日新甫 | 8 | 0.06% | 2.65% | -1.81%〜1.93% | 3.74% |
上記全て | 349 | 0.06% | 1.61% | -0.12%〜0.23% | 0.34% |
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
検証2:月間変動率
表3では新甫ごとに月間変動率に違いがあるかを比較しました。三日新甫の月間変動率がマイナスで目立っており、母平均の推定値もマイナス方向に偏っています。誤差の大きさは考慮に入れる必要はありますが、三日新甫は月間でも相場が下がる傾向が平均的にありそうだということが分かりました。
表3:月間変動率
月初第一取引日 | サンプルの 観測日数 |
サンプルの 平均値 |
サンプルの 標準偏差 |
サンプルから計算した 母平均の推定値 |
推定値の 誤差の範囲 |
---|---|---|---|---|---|
一日新甫 | 230 | 0.39% | 6.04% | -0.40%〜1.19% | 1.59% |
ニ日新甫 | 45 | 0.17% | 5.26% | -1.40%〜1.74% | 3.14% |
三日新甫 | 37 | -1.03% | 7.20% | -3.39%〜1.34% | 4.74% |
四日新甫 | 25 | 0.46% | 5.62% | -1.79%〜2.70% | 4.49% |
五日新甫 | 4 | 0.37% | 7.71% | -7.33%〜8.08% | 15.41% |
六日新甫 | 8 | -5.27% | 3.26% | -7.57%〜-2.97% | 4.61% |
上記全て | 349 | 0.09% | 6.05% | -0.56%〜0.74% | 1.30% |
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
なお、三日新甫は1989年4月以降、週休二日制が導入されてから出現しており、四日新甫は1月と11月、五日新甫は1月のみ、六日新甫は1月と5月のみ出現しています。四日〜六日新甫はサンプル数が少ないので分析結果の信頼度は高いとは言えず、母平均の推定値の範囲も広くなることには注意が必要です。
投資に活かすなら
以上の結果から、「二日新甫は荒れる」を現代に当てはめるなら「三日新甫は荒れる」となるでしょう。2017年7月3日は「三日新甫」です。7月の相場が荒れることを想定するなら、キャッシュポジションを高めた上で、権利行使価格が相場水準に近い日経平均のプットを1ヵ月程度保有する、日経平均マイナス3倍トラッカーを下落トレンド発生に備えて保有するなどの戦略が考えられるでしょう。
<ご参考>今後の月初第一営業日
2017年 7月:三日新甫
2017年 8月:一日新甫
2017年 9月:一日新甫
2017年10月:二日新甫
2017年11月:一日新甫
2017年12月:一日新甫
2018年 1月:四日新甫
2018年 2月:一日新甫
2018年 3月:一日新甫
2018年 4月:二日新甫
2018年 5月:一日新甫
2018年 6月:一日新甫
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
eワラントの関連コンテンツ
ちょっとe(イー)銘柄の見つけかた
ご注意事項
- eワラント、ニアピンeワラントおよびトラッカーeワラントは取引時間内であっても取引が停止されることがある等、リスクがあります。詳しい情報はホームページの「手数料及びリスク説明:必ずお読み下さい」をご参照下さい。
- 本資料は情報の提供を目的としており、本資料によって何らかの行動を勧誘するものではありません。本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社は本資料が正確、完全あるいは/且つ最新のものである事を表明するものではなく、またその責任も負いません。尚、当社及び当社の関連会社、役員、社員その他本資料の作成に携わった関係者が本資料に記された企業の証券または(オプションなどの)派生商品の買い持ちや売り持ち、及び売買を時として行うことがあり得ます。本資料に掲載されている内容の著作権は、原則としてeワラント証券に帰属します。事前に当社の書面による許可なく、本文の一部または全部を第三者へ再配布することを禁じます。
- eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式(上場投資信託等を含む)・株価指数、預託証券、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。
- ニアピンeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。同一満期日を持つ全ての種類のニアピンeワラントを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。
- トラッカーeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与える有価証券です。このため、投資元本の保証がなく、損失が生じる恐れがあります。トラッカーeワラントの価格は、eワラントに比べると一般に対象原資産の価格により近い動きをします(ただし、レバレッジトラッカーは同方向または逆方向に増幅されたような値動きとなります)が、任意の二時点間において対象原資産の価格に連動するものではありません。また、金利水準、満期日までの予想受取配当金及び対象原資産の貸株料等の変動によって、対象原資産に対する投資収益率の前提が変化した場合には、トラッカーeワラントの価格も影響を受けます。さらに、取引時間内であっても取引が停止されることがあります。詳細は、最新の外国証券情報をご参照ください。
- SBI証券におけるカバードワラント取引手数料は無料です。また、お客様の購入価格と売却価格には価格差(売買スプレッド)があります。トラッカーeワラントの購入価格には年率で計算された管理コストが予め織り込まれています。管理コストは、計算時点におけるマーケット・メーカーのヘッジコスト(金利水準、ヘッジ対象の流動性、資金調達コスト等を含む)の予想に基づいて設定され、銘柄および購入時点によって異なる可能性があります。
商号等 / eワラント証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2526号
加入協会 / 日本証券業協会
提供:eワラント証券