米国株式市場では電気自動車メーカーのテスラの株価が過去最高値となる300ドル台に乗せています。大手自動車メーカーの販売台数が伸び悩んでいる中でテスラは販売台数を着実に伸ばしてきています。株価上昇の背景には会長兼CEOのイーロン・マスク氏のカリスマ性や中国市場での成長期待もあるようです。今後も株価の上昇は続くのでしょうか?
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テスラの株価が過去最高値を更新
図1はテスラ株の2016年11月1日から2017年4月25日までの推移です。4月25日には終値の過去最高値を記録しました。同業のGMやフォードの時価総額を追い抜いたことが市場の話題になりました。
図1:テスラの株価推移(12/1-4/25、米ドル、日足)
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
時価総額でGMやフォードを追い越したテスラですが、自動車の販売台数はどうなっているのでしょうか。
4月3日に発表された米国の新車販売台数は季節調整済み年換算で1,662万台となり、3ヵ月連続で減少しています。大手自動車メーカーが販売に苦戦している中、表1にあるようにテスラは3月の米国での販売台数(推計)が前年同月比45%超の増加となり、販売台数を着実に伸ばしています。
表1:米国における自動車メーカー別販売台数(2017年3月)
名前 | 2017年3月 | 2016年3月 | 前年同月比 |
---|---|---|---|
ゼネラル・モーターズ | 256,007 | 252,128 | 1.5% |
フォード・モーター | 234,895 | 253,064 | -7.2% |
米国トヨタ | 215,224 | 219,842 | -2.1% |
フィアット・クライスラーUS | 190,254 | 199,467 | -4.6% |
北米日産 | 168,832 | 163,559 | 3.2% |
アメリカンホンダ | 137,227 | 138,221 | -0.7% |
ヒュンダイモーターアメリカ | 69,265 | 75,310 | -8.0% |
スバル オブ アメリカ | 54,871 | 49,285 | 11.3% |
キアモーターズアメリカ | 49,429 | 58,279 | -15.2% |
フォルクスワーゲン オブ アメリカ | 46,695 | 45,527 | 2.6% |
BMWオブノースアメリカ | 36,116 | 34,870 | 3.6% |
ダイムラーAG | 32,352 | 31,715 | 2.0% |
マツダモーターオブアメリカ | 24,549 | 23,396 | 4.9% |
ジャガー・ランドローバー・ノースアメリカ | 12,918 | 10,866 | 18.9% |
ミツビシ・モーターズ・ノース・アメリカ | 11,766 | 11,078 | 6.2% |
ボルボカーズオブノースアメリカ | 5,356 | 6,857 | -21.9% |
ポルシェカーズノースアメリカ | 4,479 | 4,323 | 3.6% |
テスラ(米国市場推計ベース) | 4,050 | 2,775 | 45.9% |
マセラティノースアメリカ | 1,312 | 997 | 31.6% |
フェラーリノースアメリカ | 262 | 205 | 27.8% |
出所:オートデータよりeワラント証券投資情報室作成
株価上昇には慎重な見方もあるが・・・
テスラの株価は堅調ですが、株価の上昇を疑問視する投資家も少なくありません。テスラは赤字企業であるからです。4月25時点のPBRで比較するとGMが1.2倍程度、フォードが1.6倍程度に対してテスラは10.7倍であり、割高感は否めません。
アナリストはどう見ているのでしょうか。
図2はテスラをカバーしているアナリストの目標株価を集計したものです(データは2017年4月25日時点で取得可能だったもの)。目標株価を公表しているアナリストは18名でした。目標株価の最低は155ドル、最高は375ドル、分布の真ん中に当たる中央値は265ドルでした。テスラの株価は300ドルを超えていますが、弱気派のアナリストも多く、アナリストの見方は強気派と弱気派に分かれているのが特徴です。
割高感のあるテスラの株式が買われているのは成長期待からでしょうが、成長のドライバーとして考えられるのは中国市場です。3月28日にテスラは中国のインターネットサービス大手のテンセントから5%の出資を受けたと発表しました。中国では大気汚染問題の解決策として電気自動車の普及が国策となっており、テスラの電気自動車は中国の政策と合致します。テンセントの出資報道はテスラが中国で販路を拡大するという期待を象徴するものだと考えられます。弱気派のアナリストが目標株価を上方修正することがあればテスラの株価の上昇に弾みがつくかもしれません。
図2:アナリスト予想の分布(2017年4月25日時点で取得可能な情報に基づく)
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
米国株にもeワラントで代替投資
eワラントにはテスラなど外国株式を対象とする銘柄もあります。テスラの株価がさらに上昇するという相場観であればコール型eワラント、弱気派のアナリストのように株価は割高とお考えであればプット型eワラントを利用します。
テスラを対象とするeワラントの例
テスラ コール 48回(権利行使価格:210ドル、満期日:7月12日)
テスラ コール 53回(権利行使価格:260ドル、満期日:9月13日)
テスラ コール 52回(権利行使価格:310ドル、満期日:8月9日)
テスラ プット 39回(権利行使価格:210ドル、満期日:9月13日)
テスラ プット 40回(権利行使価格:250ドル、満期日:9月13日)
テスラ プット 38回(権利行使価格:270ドル、満期日:8月9日)
コール型選択のポイント
コール型eワラントを選択するにあたっては、株価が満期日までに権利行使価格を超えてくるかどうか、という観点で選択します。株価が既に権利行使価格を超えている銘柄については、株価が権利行使価格を超えている分がもっと大きくなるかがポイントです。一般的に株価が権利行使価格を超える分が大きくなればコール型eワラントの価格は上昇が見込めますし(ただし、時間経過による価格の下落を考慮する必要はあります。)、小さくなれば下落します。
プット型選択のポイント
プット型eワラントを選択するにあたっては、株価が満期日までに権利行使価格を下回ってくるかどうか、という観点で選択します。プット型に関して株価が既に権利行使価格を下回っている銘柄については、株価が権利行使価格を下回る分がもっと大きくなるかがポイントです。一般的に株価が権利行使価格を下回る分が大きくなればプット型eワラントの価格は上昇が見込めますし(ただし、時間経過による価格の下落を考慮する必要はあります。)、小さくなれば下落します。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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