昨年末のコラム(「2017年は欧州選挙の年!今後の政治イベントをチェック!」)において今年の注目イベントとして、欧州を中心に大きな選挙が数多く控えていることなどについて紹介しましたが、状況が変わりつつあるので最新状況にアップデートすると共に、今後の方向性について確認しておきましょう。
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今後の主な政治日程
本年3月以降の主な政治日程は下表の通りです。主要各国の金融政策に関する政策会合の日程は各種経済カレンダーを見ることで比較的容易に把握できますが、政治日程に関しては日程が未確定となっている部分もあるため、今後変更されることがあるかもしれません。海外の政治ニュースを注視して、日程の変更などを押えておきましょう。特に重要と考えられる政治イベントについて、以下に概要をまとめました。
3月 |
FOMC(14〜15日)、イエレン議長の記者会見 |
---|---|
3月まで |
英国リスボン条約第50条発動 |
4月 |
フランス大統領選挙 第1回投票(23日) |
5月 |
FOMC(2〜3日) |
6月 |
FOMC(13〜14日)、イエレン議長の記者会見 |
7月 |
G20サミット(ドイツ、7〜8日) |
9月 |
FOMC(19〜20日)、イエレン議長の記者会見 |
10月 |
FOMC(31日〜11月1日) |
12月 |
FOMC(12〜13日)、イエレン議長の記者会見 |
主要イベントの注目どころ
2017年3月15日 オランダ総選挙
欧州で始まる総選挙の先陣となる点で注目です。極右政党の自由党(PVV)の支持率が高まっており、調査によっては政権与党の自由民主国民党(VVD)を上回るようになりました。自由党(PVV)党首のウィルダース氏は首相になればオランダでEU離脱を問う国民投票を実施すると主張しています。自由民主国民党(VVD)は労働党(PvdA)と連立を組んでいるため、昨年末時点では自由党(PVV)の大躍進がない限り政権交代は難しいと思われましたが、政権交代となるリスクが高まっています。
2017年3月15日 米国債務上限の期限到来
2015年に米国が債務不履行(デフォルト)するかもしれない、という債務上限問題が発生しましたが、当時は期限付きの債務上限の引き上げを盛り込んだ予算法案が可決されました。その期限が2017年3月15日までとされており、3月に入ってトランプ政権下でこの問題が再燃するかもしれません。当時はオバマ政権下でしたが共和党内で意見が割れ、合意を取るのに時間がかかったことで混乱が生じました。次期財務長官とされるムニューチン氏の手腕が試されるところですが、トランプ氏の主席戦略官のスティーブン・バノン氏がトランプ氏の政治決定に大きな影響を与えている点が懸念点です。米国債を多く保有している中国や日本との関係において、トランプ氏が通商交渉における交渉カードとして意図的に一部デフォルトを引き起こす、という選択をするリスクを捨てきれないからです。デフォルト懸念で米国債が売られる状況となると、債券運用者が米ドルを売却して安全資産として日本円や円債を買う動きを伴うかもしれません。
2017年3月まで 英国リスボン条約第50条発動
1月24日に英国の最高裁がEU離脱に関して議会の承認を得るべし、という判決を下しましたが、判決前の1月17日にメイ首相が行った演説でこの判決は予想されていました。英ポンド相場はメイ首相の演説を受けて1月17日に大幅に上昇しましたが、英国議会の承認プロセスを見極めたいという思惑からか英ポンド相場の上昇は一服しています。メイ首相は3月末までにリスボン条約第50条を発動し、EU離脱のプロセスを開始すると表明していますが、議会審議の状況によって、EU離脱の通知ができず英ポンド高となるか、EU離脱の通知を行って英ポンド安となるかの分岐点にあると言えるでしょう。
2017年4月23日 、5月7日フランス大統領選挙
フランスの大統領選挙においては、第1回投票で有効投票総数の過半数の票を獲得できない場合に2週間後に上位2候補による決選投票が行われます。第1回投票の有力候補は反EUを掲げる極右政党、国民戦線のマリー・ル・ペン党首、中道・右派のフィヨン元首相、現職のオランド大統領が属する中道・左派のアモン氏、無所属のマクロン氏の戦いになるでしょう。最有力と見られていたフィヨン氏は金銭スキャンダルで支持率が急低下しています。世論調査の動向を見ると、ル・ペン氏がトップ、マクロン氏が2位でこの二人による決選投票になると見られます。第2回投票で中道・左派と中道・右派の支持票がどちらの候補に流れるかがポイントですが、これらの票がル・ペン氏に流れるとは思えず、若いマクロン氏による政権誕生となるでしょう。
2017年5月19日 イラン大統領選挙
現職の穏健派ロウハニ大統領が2期目を目指すものと見られます。ただし、経済制裁を解除/停止した米国が政策変更を行い、再びイランに対して経済制裁が発動されるとロウハニ大統領に代わって強硬派の大統領となり、中東の地政学的リスクを高めることになるかもしれません。イランでは最高指導者ハメネイ師の許可がないと大統領選挙に出馬できないので、トランプ政権に対するハメネイ師の動向に注目です。ハメネイ師は2月7日に演説を行い、初めてトランプ政権に関して言及しましたが、トランプ氏への抗議を呼びかける内容でした。なお、イランとの貿易で経済制裁の解除/停止後にシェアを伸ばしたのは中国です。米国がイランへの抑圧的な政策を採ろうとすると中国が反対に回る可能性は高いと言えるでしょう。
2017年6月 フランス国民議会選挙
2012年の選挙ではオランド氏が率いる中道・左派勢力が過半数を確保しましたが、2017年の国民議会選挙では中道・右派勢力が単独過半数を取れるかがポイントとなるでしょう。今後の世論調査においてはフィヨン氏の金銭スキャンダルの影響を見極めたいところです。国民戦線は過半数とは行かないまでも議席数を伸ばすと見られ、いわゆるキャスティングボードを握る勢力となるかもしれません。
2017年9月24日 ドイツ連邦議会選挙
メルケル首相率いるCDU(キリスト教民主同盟)は支持率が低下傾向とはいえ、CSU(キリスト教社会同盟)と合わせて3割以上の支持率を維持しており、第1党を維持できるかがポイントです。第2党はSPD(社会民主党)ですが、1月に欧州連合(EU)欧州議会のシュルツ前議長が党首となり、支持率が2割強から3割近くに上昇しました。SPDはCDUとCSUと共に連立与党を組んでいるのでSPDの躍進によって政権運営に大きな変化があるとは考えにくいのですが、メルケル氏が首相でなくなる可能性が出てきました。一方で、ドイツでも難民の受け入れに反対する政党、AfD(ドイツのための選択肢)の支持率は2割目前で伸び悩んでいます。SPDの躍進やトランプ政権に対する反対意見が多いことがAfDの支持率上昇に歯止めをかけているかもしれません。ドイツに関しては首相の交代があるかもしれませんが、大きな政策変更は起こらないものと考えられます。
イベント投資ならeワラント
日程が決まっている重要な政治日程は相場が急変動する可能性が高いリスクイベントとして事前に準備することができます。現物株やFXでリスクイベントに臨む場合、相場の方向性を正しく予想することが必要になります。しかしながら、特にFXなど証拠金を担保にして行う取引においては、相場観が外れるとリスクイベントの発生で追加の証拠金の入金が求められたり、強制的にポジションが決済されてしまうことがあります。この点、証拠金取引ではないeワラントはリスクイベントに向いている投資ツールといえます。特に対象となっている原資産が短期間で大きく動くときほど、eワラントの価格が大きく動くことが期待されます。
上記イベントにおいては、相場が急騰することも急落することもありえますので、例えばコール型eワラントとプット型eワラントに両方とも等金額投資して、相場がどちらかに大きく動きさえすればよい、という両建て戦略もできるでしょう。この両建て戦略はオプション戦略でいうストラドルの買いというものです。為替相場や株価指数を対象とするeワラントで、権利行使価格がイベント前の相場水準に近いコール型eワラントとプット型eワラントで、かつ、満期日までの期間が短い銘柄を選択するのがポイントになります。相場が大きく動けば両建てしたうちの片方の上昇がもう片方の下落を相殺することになりますので、トータルでみれば数%程度の収益を見込むことができますが、相場が大きく動かない場合には損失となりますのでこの点には注意が必要です。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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