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マーケット > レポート > eワラントを極める! > 本家恐怖指数(S&P VIX)で長期投資の大底を探すには

本家恐怖指数(S&P VIX)で長期投資の大底を探すには

2015/9/28

8月の“人民元切り下げショック”では恐怖指数(S&P VIX、以下「VIX指数」)が急騰し、市場参加者の慌てふためき度合いが確認されました。このVIX指数が急騰した後に落ち着いてくると底入れ確認となることが多いのですが、実はこれだけでは“ダマシ”で動いてしまうことが多くなります。

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米国株の大底をVIX指数で探すなら

VIX(ヴィックス)指数とは、米国のS&P500指数を対象としたオプションの取引価格から推計される予想変動率(標準偏差)をもとに作成される指数です。通常は10から20程度の値なのですが、暴落時には30や40に吹き上がります。こうして市場参加者の感情を反映することから「恐怖指数」とも呼ばれます。なお、同様の手法で日経平均について2010年11月から算出されている日経ボラティリティインデックス(日経VI)と混同しやすいので注意が必要です。

図1は1990年1月から2015年8月までのS&P500指数とVIX指数の値動きを示したものです。外的要因や暴落などの際にVIX指数(図中赤点線)がスパイク(急上昇後に急落)していることが分かります。ここで2000年が株価の天井となったインターネットバブル、2007年が天井のサブプライムバブル後の暴落で、VIX指数を使って大底を探すのであれば、以下の3つの条件を使うと良さそうです。

VIX指数を使って米国株(S&P500)の大底を探す際の3つの条件

1.VIX指数の月中高値が45(図中赤線)を超える
2.その後VIX指数の月中高値が35(図中緑線)まで下落している
3.直近の高値から35%以上または40%以上下落している(同じく図中緑線)

図1:恐怖指数(S&P VIX)で米株の大底を探す

図1

※ロイターデータよりeワラント証券が作成

上記条件のうち1は文字通り市場参加者が将来に大きな不安を感じていたかどうかを見るものです。2000年のITバブル崩壊では2001年の9.11テロを除けば2年半後の2003年にVIX指数のピークが来ています。また、サブプライムバブル崩壊後でも約2年経つまで大底が確認できませんでした。この場合、VIX指数のような客観的な拠り所がなければ、市場参加者のパニック度合いを客観的に見ることができないでしょう。

2つめの条件は、十分に相場が落ち着いて最悪期が過ぎたことを確認するためのものです。VIX指数で表される市場参加者の恐怖は数ヶ月もすると急速に落ち着いてきます。早すぎても遅すぎてもタイミングを逃してしまうのですが、過去の事例からみるとVIX急騰後に35まで落ちてくる頃合いが良いようです。

3つめの条件は小幅な調整やダマシを避けるためのものです。図の黄色、赤、緑の星の8つ時点では全て上記の1と2を満たしています。しかし、このうち黄色の星はホンモノの大底ではなく、その後もトレンドが継続しています。もちろん長期上昇トレンド継続中の黄色の星時点なら20-30%、下落トレンド中の赤い星の時点(9.11テロ)でも10%程度ならリバウンドが得られました。しかし、1,2に直近高値(直前の天井または直近底値から50%以上上昇した価格を高値としたもの)からの下落率を加えると、ダマシのほとんどを避けることができます。なお、拙著『最強の「先読み」投資メソッド』(ビジネス社)では、9.11テロの特殊性を考慮して“直近高値から3割以上の下落”を目安としていましたが、昨今の状況を踏まえて本稿ではより保守的に直近高値から35%以上または40%以上としてあります。

なお、これらの基準で見ると2015年8月はVIX指数はスパイク(急騰後に急落)したものの、S&P500の直近高値からの下落率が10%にも満たないので大底とは言えないことになります。
また、米国株を底値で買うタイミングが分かったとしてもどこで売るか、つまり出口も予め考えておく必要があります。投資期間の前提によって答えは一つではありませんが、7年から10年に一度の大底で買って長く保有する長期投資なら、「バフェット指標でWilshire5000株価指数が米国のGDPを上回るタイミングまで保有(だいたい4−5年後)」や「機械的に5年間保有する」という出口戦略が今までは有効でした。

本家恐怖指数を日本株の大底探しにも使ってみる

近年の世界各国の株価の相関が高まっていることや、暴落時には特にその傾向が顕著になることを考えれば、日本株の大底も米国のVIX指数を使って探すことができると考えられます。
図2は1990年1月から2015年8月までの日経平均とVIX指数の値動きを示したものです。米国株と同様に「VIX指数が45を超える」、「その後35まで下がる」という条件を使えば、8つの星(黄、赤、緑)で示した時点が大底投資開始の候補として残ります。
これに米国株と同様に「直近高値から35%以上の下落」という条件を加えると、緑の星で示される時点2つ(ITバブル崩壊後、サブプライムバブル崩壊後)と赤い星で示される2時点(ロシア財政危機と9.11テロ)だけになります。

図2:日本株の大底も本家恐怖指数(S&P VIX)で探す

図2

※ロイターデータよりeワラント証券が作成

ここで問題なのは、米国株の大底探しにVIXを用いた時と異なり、直近高値からの下落率を用いても、赤い星の2時点(1998年のロシア財政危機後と9.11テロ)を取り除くことができないことです。これは日経平均(日本株)が長期下落トレンドにあったことに加えて、S&P500(米国株)よりも暴落時により大きく下げやすいことに起因していると考えられます。ただ、両時点ともに直後にリバウンドはしています。ということは、投資タイミングとして間違いだったというよりは、4-5年単位の長期投資ではなく、数ヶ月から1年程度の中期投資向きの買いタイミングであったといえるでしょう。
そこで日本株への投資にVIX指数を使う際の注意点をまとめると以下のようになるでしょう。

VIX指数で日本株の大底投資を行う際のダマシを避ける3つの方法

 1. 買いタイミングはS&P500(米国株)とVIXで探し(図1の手法を利用)、それを日本株に当てはめて使う(日経平均を分析に使った場合の特有のダマシを避けるため)

 2. 購入した後にバフェット指標好転(日本のGDPと東証一部時価総額の比較)までの4-5年後を出口と決めておくだけでなく、トレーリングストップ戦略を併用する(例:日経平均が直近の高値から10%下落したら短期間でも手仕舞うなど)

 3. eワラントのプット・コールレシオ(PCレシオ)の5週移動平均が110%を上回る(過度に市場参加者が弱気であるシグナル)ことを確認するなど、別の指標を併用する

投資に活かすには

高値圏で投資資金を温存し、大底圏で買って長期間保有する手法にVIX指数は極めて有用と考えられます。暴落する前に予め採用する複数の戦略を選んでおき、個別株の購入リストを準備し、日経平均プラス5倍トラッカーや株価指数ミニ先物などの使い方や注意点を学んでおけば、より効率的な投資ができると思われます。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)

eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)

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