東日本大震災以降、日本周辺は地殻の活動期となり、地震の発生が増えるとともに、火山活動が活発になっているようです。また、地球温暖化の影響のせいか、かつては考えられなかった5月に台風が日本に来るようになり、熱波・大雪・大雨・爆弾低気圧・スーパー台風は常態化して“異常気象”とは言えなくなりました。
このため、投資ポジションの構築に際しても、「資産を増やして、将来の支出に備える」だけではなく、「自然災害等の突発的な事象によって想定外の支出が必要になる」ことを念頭に置くことの重要性が高まってきました。
自然災害ごとに異なる影響
自然災害といっても経済活動への影響範囲やインパクトは様々です。そこで、種別毎にどういった事態となりえるのか簡単にまとめてみました。
◎大地震・津波
“地震・雷・火事・オヤジ”というのがかつての怖いもの順でしたが、多くの家庭で“オヤジ”の権威が失墜?したことを除けば、地震が真っ先に来ることは今も昔も変わりません。東日本大震災での被害やネパール地震、スマトラ地震と津波の被害が甚大であったように、首都直下型地震や東海・東南海・南海地震の発生が高い確率で予想されている現状では、最も警戒すべき自然災害といえます。
これらの大地震とそれに伴う津波が発生した場合、生命の安全と緊急物資の確保が最優先といえます。これらが確保された後に必要なものはお金です。ただ、仮に金融機関間の取引が復旧したとしても、国内の証券取引所が一定期間閉鎖される、株式等の取引が再開されても流動性が枯渇して取引ができない、経済活動全般の低迷を懸念した売りが先行する(暴落する)という恐れがあります。
また、東日本大震災の時にそうであったように、日本株だけでなく、外国株も一時的に大きく下げる可能性が高くなります。
投資ポジションについて考えるなら、日本の動脈を巻き込んだ大地震の場合は、日本株で分散投資しても、外国株に分散投資していてもあまり役には立ちません。さらに金地金や多額の現金を自宅や貸金庫に保管していても、それ自体が失われてしまうリスクもあります。このため、キャッシュで保持する時期が長くなるような投資戦略を用いたり、5倍レバレッジトラッカーに投資資金の1/4から1/3を投じ、残額は金融機関を分散してMMFや預貯金で保全するといった対策が効果的と考えられます。
なお、東日本大震災直後などに起きたことですが、上場オプションの“売り”ポジションはパニックによって不可解な価格がつき、それで強制的な値洗いが行われました。同様に、FXでも一時的に想定外のロスカットが行われる可能性があるので注意しましょう。
◎火山の噴火
このところ関東圏の火山の動向に注目が集まっています。仮に首都圏あるいは東海地方などでの噴火があれば、航空機が火山灰によって飛行不能となり、東海道新幹線、東海道線、東名高速道路が止まり、日本の経済活動が麻痺して物流が大混乱となることが予想されます。特に首都圏は火山灰対策が十分ではないので、一般道路、電線、電話線などへの障害発生も考えられます。また、これにより経済活動が停滞し、GDPを押し下げることも懸念されます。
しかしながら、日本に多い活火山の地元では噴火は日常茶飯事ですし、噴石や溶岩による人的・物的被害は相対的に限定されたものです。さらに、活発な噴火が仮に2週間継続したとしても、その後の経済活動は短期間に正常化すると考えられます。
つまり、飲料水と食糧などの備蓄が最重要で、投資ポジションの管理という観点から言えば、短期的な資金さえ確保できていれば問題は少ない事象と考えられます。
◎大雪・大寒波、大雨・洪水、スーパー台風
大陸由来のPM2.5が雨や雪の核になり、かつては考えられなかったような大雪や大雨が増えています。また台風や低気圧も巨大化し、従来は安全とされていた地域でも洪水・土砂崩れ、高潮が頻発しています。大地震には及ばないものの、建物などへの被害の範囲も広い場合もあります。また、自宅や貸金庫に多額の現金や金地金などの貴重品を保管した場合のリスクが高いことも大地震の時と同様です。
投資ポジションに関して言えば、個別企業が運悪く工場設備等への被害を蒙るケースが増加するので、従来よりも個別株式への過度の集中投資のリスクが高くなっているといえます。また、年間を通して急に資金が必要となる可能性が増しています。一方、大地震等とは異なり、資金が必要な時に国内外の株式相場が同時に暴落して現金化に苦慮するという懸念は少なくなります。
◎竜巻
平均気温が上昇したことにより、日本でも竜巻が発生する事例が増加しています。竜巻は、発生した場所においては甚大な物的・人的被害をもたらしますが、日本経済全体へのインパクトはほとんどないのが特徴といえます。確率も必ずしも高いとはいえないので、投資ポジションで備えるというよりも、必要に応じて自然災害をカバーする火災保険や家財保険で対応することになるでしょう。
◎近隣諸国での自然災害
通常の場合は、近隣諸国の自然災害が日本経済に直接影響を与えることはありません。しかしながら、例えば臨海部に多くの原子力発電所を持つ中国や韓国にスーパー台風が直撃して高潮により全電源喪失といった事態が起きるようなことがあれば、当該国経済への直接的な影響だけでなく、日本株が急落する可能性が出てきます。
このため、投資ポジションを構築を考える際には、同じ国際分散投資を考えるにしても、地理的に近い新興国よりも遠い新興国を優先するといった工夫が必要といえます。
自然災害の発生に備えるための投資法
上記のような様々な自然災害を考慮して投資ポジションを組むなら、下記のような対処法が有効と思われます。
☆株価指数への投資なら、損失限定でキャッシュが手元に残るレバレッジ投資を活用し、手元のキャッシュ割合を常に高めておく
例)投資資金の一部で5倍レバレッジトラッカー、あるいは投資資金の1/3で3倍レバレッジ投信を購入し、残金を現預金・MMFにして保全する
eワラントなら:日経平均 プラス5倍トラッカー 16回(満期2015/9/9)ならレバレッジ3.6倍程度(5/14時点)なので、投資資金の27%程度、日経平均 プラス5倍トラッカー 15回(満期2015/9/9)ならレバレッジ3倍程度(5/14時点)なので、投資資金の33%程度だけで、ほぼ同程度のリスクを採りつつ最大損失を抑え、残額をキャッシュとして保有し続けることができます。
☆個別株投資は地域・銘柄の集中を避ける
☆外国株・外国債券に投資するなら日本の近隣国より遠くの国を優先する
☆流動性が低い資産(実物の不動産、取引が少ない小型株)への投資は、運用資産の50%を超えないようにする
☆REITや不動産投資なら、特定地域へのリスクが集中しないようにする
☆大きな自然災害直後にパニック的な売りが出ることを想定し、オンライン証券の取引口座に予め資金を待機させておく。
☆上場オプションの“売り”ポジションを避け、FXは必ず逆指値を入れておく
☆自宅金庫や貸金庫に貴重品を溜め込みすぎない
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)
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