消費税増税
消費税増税については、安倍首相が2013年10月1日に日本銀行が発表する2013年9月の企業短期経済観測調査(短観)を分析した上で最終判断し、直後に記者会見を行って、増税に踏み切る理由や経済対策などを表明する方向で調整しているようです。
消費税増税については、「予定通り税率を上げたほうが良い」「デフレ脱却を優先して先送りが望ましい」など、様々な議論がなされており、確かに予定通り税率を上げることが日本経済にとって正解なのかは、藤本には判りません。
しかし、株式投資を行う個人投資家にとっては、「消費税増税」という大きな国策で、株式市場がどのように反応するのか、半歩先読みすることが、「投資の勝ち組」への近道となるでしょう。
消費税増税と言う「苦い薬」を国民に飲ませるために、政府・与党は様々な「あめ玉」をくれるでしょう。
消費税を1%上げると、約2.7兆円の税収増につながるそうです。今回は、5%から8%への増税なので、約8兆円の増税になるのですが、どうやら現状ではその2%を「あめ玉」に使って、様々な経済対策を行い、増税実施後の景気の落ち込みを最小限に留めようとしているようです。
株式市場では、既に消費税増税(2014年4月から5%→8%)は織り込んでいて、その「あめ玉」を期待しているようです。
今回の福の神レポートでは、「あめ玉」の部分ではなく、消費税増税にターゲットを絞って、株式市場の反応を半歩先読みしてみましょう。
増税時にお約束の銘柄とは?
消費税増税を行うときに、変更しなければならないものがあります。それは、「会計ソフト」です。消費税率が変更されるので、会計ソフトも修正しなければなりません。しかし、本当に消費税増税で「会計ソフト」関連会社が潤うのでしょうか?
おそらく、その答えは「NO」です。なぜなら、様々な法律などは毎年細かく改定されているので、「会計ソフト」自体はほぼ毎年なんらかのバージョンアップをしているからです。毎年、法律改正などによって「会計ソフト」をバージョンアップするのは普通のことなのです。
しかし、株式市場の反応を先読みしますと、「会計ソフト」会社の株は反応すると考えます。その最大の理由は、「わかりやすさ」と「値動きの軽さ」があるからです。
直近の2020年東京五輪決定時にも、様々な関連銘柄の株価が上昇しました。スポーツ、不動産、建設業など事前にオリンピック関連銘柄として、騒がれていた銘柄も上昇しましたが、事前にはあまり話題になっていなかった翻訳関連の銘柄も大きく上昇しました。
2020年東京五輪決定前後の株価推移
- (2483)翻訳センター
2013年9月6日(金)終値 3,555円 → 2013年9月13日(金)7,050円 上昇率98.3%
- (3654)ヒト・コミュニケーションズ
2013年9月6日(金)終値 1,159円 → 2013年9月13日(金)1,792円 上昇率54.6%
- ※騰落率等の実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
投資家連想イメージ
オリンピック → 外国人旅行者増加 → 翻訳需要増加
というわかりやすい連想と、実際の値動きの軽さが大きな上昇相場の要因となったものと思われます。
しかし、株価が倍になるほど、業績が急改善するかどうかは、微妙でしょう。
今回は、会計ソフト関連銘柄の個別の注目ポイントをご紹介いたします。
会計ソフト関連銘柄 チェックポイント
(4733)オービックビジネスコンサルタント
「勘定奉行」など中小企業向け業務パッケージソフト大手。(4684)オービック傘下で財務基盤が堅固で無借金経営。現在、投資単位は50株だが、2013年9月30日現在の株式を1株から2株に分割し、投資単位を100株に変更予定。
2012年11月9日安値4,099円から2013年5月20日高値6,300円までアベノミクス相場に乗って上昇したが、その後反落し、2013年6月26日安値4,855円をつけた。切り返して、2013年7月25日に年初来高値6,740円をつけた。現在は高値近辺での推移が続いています。
- オービックビジネスコンサルタント 株価チャート 日足(6ヶ月)
- ■銘柄情報(2013/9/19現在)
株価:6,740円
売買単位:50株
時価総額:1,360億円
予想PER:26.10倍
実績PBR:1.62倍
(6935)日本デジタル研究所
1968年の創業以来、財務のプロである会計事務所や企業の経理部門の業務効率化に専門特化し、プロユースのコンピュータ製品を開発提供している。
同社の大きな特徴はソフトだけでなく、専用パソコン機器なども開発、一体化して会計事務所、企業向けに提供している点だ。
株価は、2012年11月14日安値804円より2013年4月25日高値1,316円まで急騰し、その後反落。950円前後では下げ渋り、2013年8月30日安値947円をつけてから、リバウンドの動きとなっている。
- 日本デジタル研究所 株価チャート 日足(6ヶ月)
- ■銘柄情報(2013/9/19現在)
株価:1,172円
売買単位:100株
時価総額:398億円
予想PER:11.00倍
実績PBR:0.53倍
(9629)ピー・シー・エー
「攻めるなら経理から」のCMでおなじみの中小企業向け会計ソフト大手。中小企業にも導入可能なパソコン用パッケージソフトウェアの開発を目指して数名の会計士が集まり設立しています。現在はクラウドサービスに注力しているようです。
ホームページの社長挨拶に明確に「東証1部」を目指すと書いてある点が注目点です。
アベノミクス相場でも、大きく上昇していなかったですが、直近は急動意を見せており、2013年9月17日に年初来高値を更新しています。
- ピー・シー・エー 株価チャート 日足(6ヶ月)
- ■銘柄情報(2013/9/19現在)
株価:1,215円
売買単位:500株
時価総額:94億円
予想PER:66.30倍
実績PBR:0.85倍
(9746)TKC
1万人以上の税理士・公認会計士で組織された「TKC全国会」を持つ会計事務所・地方公共団体に特化した情報サービス会社。
テクニカル的には、4月17日高値1,799円、6月28日高値1,800円でダブルトップを形成した形となっている。昨年の高値も4月2日1,814円なので、この1,800円が大きな上値抵抗線となっているようです。この抵抗線を抜けてくれば、上値は軽くなりそうです。
- TKC株価チャート 日足(6ヶ月)
- ■銘柄情報(2013/9/19現在)
株価:1,664円
売買単位:100株
時価総額:445億円
予想PER:12.00倍
実績PBR:0.81倍
(9928)ミロク情報サービス
全国の会計事務所の約四分の一の約8,400事務所を顧客の持つ業務用ソフト会社。会計事務所の顧問先を中心に、企業向けソフトも販売を行っています。
社名の由来は、別名「世直し御仏」とも呼ばれている、この弥勒菩薩から命名したものだそうです。
株価は、2012年10月の急騰以後は、約320円から400円までのレンジを上下していましたが、直近400円を抜けて2013年9月17日に年初来高値を更新しています。
- ミロク情報サービス 株価チャート 日足(6ヶ月)
- ■銘柄情報(2013/9/19現在)
株価:400円
売買単位:500株
時価総額:139億円
予想PER:10.50倍
実績PBR:1.46倍
全般的に会計ソフト関連銘柄は、2013年9月に入ってから堅調な銘柄が多く、消費税増税期待での株価上昇があるようです。実際に消費税増税が決まったら関連銘柄として、更に一段高が期待出来そうですが、短期的にはその上昇局面が目先の高値となる可能性が高そうです。直近の高値を抜けたら買いのスタンスが良さそうです。
または、今回は個別の銘柄ではなく、消費税増税により、会計ソフト関連会社に注目が集まるとの半歩先読みなので、5銘柄の投資金額を合わせてポートフォリオとして購入するのも良さそうです。(以下、株数は「ポートフォリオ」のモデル投資株数)
合計投資金額は約200万円になります。
この場合、個別に利食い/損切りを行うのではなく、ポートフォリオ全体で損益を考えるのが良さそうです。
表1 会計ソフト関連銘柄ポートフォリオのモデル投資株数
銘柄 |
銘柄名 |
モデル投資株数 |
株価 |
投資金額 |
---|---|---|---|---|
4733 |
50 |
6,740 |
337,000 |
|
6935 |
500 |
1,172 |
586,000 |
|
9629 |
500 |
1,215 |
607,500 |
|
9746 |
200 |
1,664 |
332,800 |
|
9928 |
1,000 |
400 |
400,000 |
- 出所:SBI証券投資調査部が作成。株価は2013/9/19終値を表示。
「銘柄選定の根拠(基準や前提)」
会計ソフト関連銘柄として選定
(4733)オービックビジネスコンサルタント
(6935)日本デジタル研究所
(9629)ピー・シー・エー
(9746)TKC
(9928)ミロク情報サービス
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。