CROSS TALK
システム
各種システムの拡充とシステムの安定性の両立をいかに図るか
業界トップの顧客基盤を抱え、毎日膨大なインターネット取引が行われるSBI証券。そのシステムが、利用者増加やサービス拡充にも耐えながら、安全にそして安定して稼働できる理由を聞きました。
Member
対談メンバー
システム
CSIRT(サイバーセキュリティ)
深澤さん
2015年入社
システム
システム企画
長山さん
2018年入社
システム
アーキテクト・インフラエンジニア
マドゥさん
2023年入社
Chapter 01
部署間での連携は当たり前。「ゼロ革命」の準備はやっぱり大変だった
深澤
私はCSIRT(サイバーセキュリティ)室に所属しています。皆が使っているPCのセキュリティの確保や、お客さまが利用するWebサイトや各アプリに対して外部から攻撃を受けないよう対策を行ったり、実際にインシデントが発生した際の対応を行っています。他にも、当社サービスに対して第三者からの不審なログインがないかなどの調査をCSIRTで行っています。
長山
CSIRTには昔からいつもお世話になっています。僕は普段、システム開発のプロジェクトマネージャーとして働いていて、直近ではセキュリティ機能案件を主に担当しています。
案件開始時には、開発予算がいくらかかるのか試算し、プロジェクトが始まると、リリースまでプロジェクト全体の進行、システムの品質などを管理していきます。プロジェクトマネージャー自体は、まだ2~3年ぐらいしかやってきてないので、まだまだこれから経験積んでいくところかなと思っています。
マドゥ
インフラ周りのアーキテクチャのうち、データベース設計のチームがありまして、私はそこのリーダーとして働いています。セキュリティ関係のこれから始まるプロジェクトで、長山さんとは一緒に協働していきますね。
長山
よろしくお願いします(笑)
クロストークのテーマが、「各種システムの拡充とシステムの安定性の両立をいかに図るか」ですが、「ゼロ革命」(オンラインでの国内株式売買手数料の無料化含む、各種取引手数料の無料化)、やっぱり大変でしたよね。
マドゥ
あの時は、本当に時間が足りなかったですね。ゼロ革命による取引件数増加を見越して、すべてシステム的に大丈夫な状態にする必要があり、その短い期間で何をどこまでできるか、チャレンジングな検討をしました。
最終的にボトルネックとなっている部分は、アプリ開発のチームと話をしながら、例えば、朝9時の寄り付く時間帯に設定されたバッチジョブを少しずらしてもらうとか、夜中のバッチをずらして余裕を作ってもらってからゼロ革命の作業準備を進めたこともありました。
リリース日はみんな結構緊張するんですけど、問題なく稼働したので、目標どおりエラーが0件で無事1日を終えることができました。
長山
新しく口座を作られるお客さんも増えるにつれて、現行のシステムに対する負荷も想定されたので、一部の基盤についてキャパシティの相談を受けたりしていました。
いまはプロジェクトマネージャーなので、基本的にシステムの運用はやらないのですが、以前にその基盤を作ったのは、プロジェクトのPMが自分だったので、そこに対しては、自分としても何かサポートできるところはあるかなと思っていました。
日本一のネット証券として、やっぱり頑張んないとなっていう思いはありましたね。影響範囲が広いので、障害を起こせないな、という緊張感を持っていました。
Chapter 02
クラウド移行が進んできたが、そこにはメリット・デメリット両方ある
長山
お客さんが増えてきたので、裏側で動いているAWSの費用がちょっと増加してきていて、国内株式の取引手数料による収益が無いことに個人的には複雑な思いもありますが、AWS費用の最適化を行うことで、投資家へ最高の環境を提供していくため、がんばっていきたいですね。
深澤
取引システムのクラウド化が進んできて、もちろんそこにメリットはあります。元々AWSに準備されているセキュリティの機能がたくさんあるので、それを活用しながらスピード感をもって進められるかと思います。
長山
やっぱり拡大、拡張性があるっていう意味ではメリットが圧倒的に大きいです。オンプレミス環境だと、サーバー買う初期コストも掛かりますし、発注から納品まで数ヶ月間必要だったりしたので。クラウド化によって、物凄い速さでプロジェクトを進めることができているな、と実感できます。
マドゥ
データベース責任者観点で言うと、今まで全部自社構築です。サーバーの設定まで担っているので、問題があったときに、原因特定がしやすいです。クラウドだと、どうしても一部ブラックボックスになってしまうので、例えばレイテンシーが大きくなってしまったときに原因の追及が難しいです。
深澤
確かに、そうですね。クラウドそのものアップデートもあったりしますし、そういった影響も踏まえて総括すると、メリット・デメリット両方あるんですよね。
Chapter 03
働きやすい環境と責任感、スピード重視の文化
深澤
お二人とも、土日のお仕事も多分あると思うんですが、そういった点も含めて働きやすさ、職場の雰囲気、休暇の取得などはどうですか?
長山
僕は結構働きやすい環境だなって感じています。子供が生まれてから、朝の出勤までに保育園に送っていく必要があるので出社時間をずらしてもらい、その分、夜はちょっと遅くまで働いています。システムリリースがある日は当然、出社が必須ですけど、それ以外の日は、基本的に僕が保育園を送っていけるように調整しています。
私は3ヶ月ほど取りましたが、育休を取られる男性も増えてきましたよね。
深澤
うちのチームでも2人取っていました。終わった後も、そのまま戻っても来られるし、働きやすさにつながっていると思います。それからやっぱり保育園の送り迎えがある方も、長山さんのように出勤・退勤の時間帯を調整できたり、コロナを経てリモートで働くことで調整していたり、柔軟に働ける環境だと思います。
マドゥ
私のチームもちょっと面白くて、チーム自体はデータベースの設計・構築・運用まですべて担当するので土日働くことは多いです。難易度が高い仕事なんですけど、その代わりにチーム内で結構仲が良くて、休めるところはちゃんと休めますし、全然心配無いです。
私自身、実は千葉県の遠いところに住んでいたり、他にも長野県に住まれている方もいます。通勤困難時に、在宅することも多いです。在宅で働ける柔軟性が全てではなくて、つまるところ、その責任感が何より重要ですね。ちゃんと責任持ってやりたい、という意識があれば、それでいい。
多様性という意味では、チーム数十人のうち2人は日本人で、他のメンバーは中国、韓国、インド、ベトナム、フィリピンなどの出身です。普段の共通語は日本語ですが、オフショアの拠点とやり取るする際は英語なので、英語も日本語も平気で両方使っているチームですね。
ミリ秒・マイクロ秒の単位でデータを見ていたりするので、頑張りたい人が頑張れる場所だと思います。実は他社の技術と比較すると、SBI証券のシステムに使われている技術は結構進んでいるので、技術面でチャレンジしたい方にはうってつけの職場です。
深澤
開発でやるとなったときのスピード感も凄まじいですよね。あとから出てくる要件もそれなりにあると思いますけど、それでもやりきるところはうちの良いところですね。やりきれるメンバーが揃っている。
長山
僕の立場で言うと、プレッシャーも結構あります(笑) リリースまでは、「大丈夫かな……」と心配になりつつも、リリース後には「世の中にモノを出したぞ!」という達成感でいっぱいになります。
以前、クリスマスの24~25日にかけてシステムリリースがあったときには、終わったあと一気に年末年始の気分を迎えて、とても高揚しました。これからも、家庭もシステムも安定させられるようにがんばっていきたいですね(笑)