2025-07-16 17:27:06

金は米国債の利回り上昇で調整局面を継続

2024/6/3
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米雇用統計で労働市場に対する見方を確認

 5月27日の週のニューヨーク金市場は、ドル安を受けて安値拾いの買いが入ったが、米国債の利回り上昇に上値を抑えられると、調整局面を継続した。中心限月となる8月限は5月9日以来の安値2,341.1ドルを付けた。ただ4月の米個人消費支出(PCE)の伸び鈍化を受けて今後のインフレ鈍化に対する見方が強まった。米PCEデフレータは前年比2.7%上昇と前月から横ばい、事前予想と一致したが、PCEは前月比0.2%増と前月の0.7%増から鈍化、実質PCEは同0.1%減となった。消費者支出の低迷がインフレを抑制する可能性が示された。今週は5月の米雇用統計の発表がある。一方、米金融当局者の利下げに慎重な姿勢に変わりはない。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、米金融当局の政策スタンスは景気抑制的だが、追加利上げの可能性を完全に排除したわけではないとの考えを示した。米10年債利回りは5月2日以来の高水準となる4.64%まで上昇し、金の上値を抑える要因になった。
 今週の欧州中央銀行(ECB)理事会で利下げが見込まれている。ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は独紙ベルゼン・ツァイトゥングに対し、「サプライズがない限り、6月の最初の利下げは確定しているが、その後はある程度の自由度がある」と指摘した。「7月にすでにコミットすべきとは言わないが、タイミングとペースについては自由度を維持しておきたい」と述べた。ただ5月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値は前年比2.6%と4月と3月の2.4%上昇から伸びが加速した。事前予想の2.5%上昇も上回った。7月の連続利下げの可能性は低下したとみられている。
 バイデン米大統領は31日、イスラエルの新たな停戦案を明らかにし、イスラム組織ハマスに対して同意するよう呼びかけた。ただイスラエルは交渉担当者にガザ停戦合意を提示する権限を与えたが、「人質全員の帰還とハマスの軍事、政治力の破壊を含む全ての目標が達成されるまで戦争は終結しない」と表明した。ハマスは提案を前向きに受け止めているとしたが、イスラエルが恒久的な停戦に同意することはあり得ないとみられており、交渉の行方を確認したい。
 5月31日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比変わらずの832.21トンとなった。米国債の利回り上昇に上値を抑えられ、投資家は模様眺めの動きとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月28日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万6,585枚となり、前週の22万9,806枚から拡大した。今回は手じまい売りが1万3,992枚、買い戻しが2万0,771枚入って6,779枚買い越し幅を拡大した。

プラチナは金軟調が圧迫もドル安が下支え

 ニューヨーク・プラチナ7月限は米国債の利回り上昇による金軟調を受けて戻りを売られたが、1,026.2ドルで下げ一服となった。米金融当局者が追加利上げの可能性を示したことなどを受けて米国債の利回りが上昇したが、4月の米個人消費支出(PCE)で今後のインフレ鈍化の見方が強まり、ドル安に振れたことが下支えになった。ただ主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で中国の過剰生産能力に対する批判が出た。米国は関税引き上げを発表しており、今後の中国経済の行方を確認したい。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、30日のロンドンで23.71トン(前週末23.31トン)、31日のニューヨークで32.39トン(同32.39トン)、30日の南アで11.16トン(同11.16トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月28日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万7,567枚となり、前週の2万7,649枚から小幅に縮小した。

ニューヨーク金は調整局面を継続

ニューヨーク金8月限はドル安を受けて安値拾いの買いが入ったが、米国債の利回り上昇などを受けて調整局面を継続し、5月9日以来の安値2,341.1ドルを付けた。4月の米個人消費支出(PCE)デフレータは予想通りの伸びとなったが、実質PCEが減少し、今後のインフレの伸びが鈍化するとの見方が出ている。5月の米雇用統計で労働市場の減速が示されると、下げ止まる可能性が出てくる。5月安値2,308.7ドルが当面の支持線である。

6月3日からの週の注目ポイント

3日 ニュージーランド休場
中国財新製造業購買担当者景況指数(5月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(5月確報) ☆☆
米ISM製造業景況指数(5月) ☆☆☆
4日 独雇用統計(5月) ☆☆
米耐久財受注(4月確報値) ☆☆
米製造業新規受注(4月) ☆☆
5日 中国財新サービス業購買担当者景況指数(5月) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(5月確報) ☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(4月) ☆☆
ADP全米雇用報告(5月) ☆☆
米ISM非製造業景況指数(5月) ☆☆☆
カナダ銀行政策金利発表 ☆☆☆
6日 独製造業受注(4月) ☆☆
ユーロ圏小売売上高(4月) ☆☆
欧州中央銀行(ECB)理事会 ☆☆☆
米貿易収支(4月) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
7日 全世帯家計調査・消費支出(4月) ☆☆
中国貿易収支(5月) ☆☆
独貿易収支(4月) ☆☆
独鉱工業生産指数(4月) ☆☆
ユーロ圏域内総生産(1-3月期確報) ☆☆☆
米雇用統計(5月) ☆☆☆
米卸売在庫(4月確報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

当コラムに関してご留意頂きたい事項

  • 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
  • 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
  • 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。

ご注意事項

  • 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
  • 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
  • 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
    また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。
  • 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
  • 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
  • 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
  • スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。
ユーザーネーム
パスワード

セキュリティキーボード

ログインにお困りの方

資産運用フェス2025

よくあるお問合せ
・口座開設の流れ
・NISA関連のお問合せ
・パスワード関連のお問合せ

HYPER SBI 2 ダウンロード

金・銀・プラチナの投資情報

SBI証券はお客様の声を大切にしています

  • 資産運用フェス2025