金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金は米利下げ観測後退が圧迫要因
金は米利下げ観測後退が圧迫要因
2024/1/22
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は中東情勢の行方も確認
1月15日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて売り優勢となったのち、中東の緊張の高まりを受けて下げ一服となった。12月の米小売売上高は前月比0.6%増と、事前予想の0.4%増を上回った。自動車の販売やオンライン売上高が好調だった。米新規失業保険申請件数は1万6,000件減の18万7,000件と2022年9月以来の低水準となった。事前予想は20万7,000件だった。1月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は78.8と前月の69.7から上昇し、2021年7月以来の高水準となった。事前予想は70.0。CMEのフェドウォッチで、米連邦準備理事会(FRB)の3月利下げ確率は46.2%(前週76.9%)に低下し、利下げ開始は5月になる可能性が高まった。今週は第4四半期の米国内総生産(GDP)速報値などの発表があり、金融政策の見通しを確認したい。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるナーゲル独連邦銀行総裁は、インフレ率が依然として高いため、ECBが利下げを議論するのは時期尚早と述べた。ECBのチーフエコノミストを務めるレーン専務理事などハト派とされるECB当局者は利下げに対する市場の期待は楽観的過ぎるとの見方を示した。25日のECB理事会も当面の焦点である。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派が発射した対艦弾道ミサイルが15日、米国が所有・運航を手掛けるマーシャル諸島船籍のコンテナ船に直撃した。バイデン米政権は、フーシ派を「特別指定国際テロリスト(SDGT)」に再指定した。米軍は16日にフーシ派の対艦弾道ミサイル4発、18日に対艦ミサイル2発に対する攻撃を行った。原油タンカーが紅海南部の航行を回避したことが伝えられており、フーシ派の動向を引き続き確認したい。
JPX金先限は昨年12月5日以来の高値9,701円を付けた。ニューヨーク金が軟調となったが、円相場が1ドル=148円台後半まで円安に振れたことが支援要因になった。今週は22〜23日に日銀金融政策決定会合がある。春闘での賃上げが見込まれ、早期の金融政策の修正に対する期待もあったが、年明けの能登震災の影響もあり、当面は金融緩和を維持するとみられている。また昨年12月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比2.3%上昇と2カ月連続で伸びが鈍化し、2022年6月以来の低水準となった。ただ今年前半にマイナス金利が解除されるとの見通しも強く、円が買い戻される可能性もある。
1月19日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.89トン減の860.95トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月16日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは17万9,893枚となり、前週の18万8,614枚から縮小した。今回は手じまい売りが9,305枚、買い戻しが584枚入って8,721枚買い越し幅を縮小した。
プラチナ軟調も中東の緊張で買い戻される
ニューヨーク・プラチナ4月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて売り優勢となり、昨年11月14日以来の安値883.2ドルを付けた。中国経済の先行き懸念を受けて上海株が急落したことも圧迫要因である。中国首相は、政府は経済成長を回復させるために「大規模」な景気支援策に頼ることはないと発言した。ただ900ドルの節目を割り込み、割安感が出るなか、中東の緊張の高まりを受けて買い戻す動きが出たことが下支え要因である。中東情勢の行方と金価格の反応も確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで12.16トン、19日のニューヨークで31.44トン(前週末31.02トン)、18日の南アで11.89トン(同11.89トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月16日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万2,557枚となり、前週の2万3,541枚から縮小した。
ニューヨーク金は米利下げ観測後退で200日移動平均線を試す
ニューヨーク金2月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて売り優勢となり、昨年12月13日以来の安値2,004.6ドルを付けたのち、中東の緊張の高まりを受けて下げ一服となった。200日移動平均線(19日2,012.7ドル)を試しており、テクニカル面ではここを維持できるかどうかが焦点である。CMEのフェドウォッチで米FRBの3月利下げ確率は46.2%(前週76.9%)に低下しており、今後発表される経済指標に対する反応を確認したい。
1月22日からの週の注目ポイント
22日 | 日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ |
米景気先行指数(12月) | ☆ | |
23日 | 日銀総裁記者会見 | ☆☆☆ |
24日 | 貿易収支(12月速報) | ☆☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(1月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(1月速報) | ☆☆ | |
カナダ銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
25日 | 独ifo景況感指数(1月) | ☆☆ |
欧州中央銀行(ECB)理事会 | ☆☆☆ | |
米国内総生産(10-12月期速報値) | ☆☆☆ | |
米卸売在庫(12月速報値) | ☆ | |
米耐久財受注(12月速報値) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米新築住宅販売(12月) | ☆☆☆ | |
26日 | オーストラリア休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合議事要旨(12月18-19日分 | ☆☆ | |
米個人所得・支出(12月) | ☆☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(12月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。