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2024-10-07 08:37:35

金はドル高やインフレ加速が圧迫

2023/8/14
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米小売売上高などを確認

 8月7日の週のニューヨーク金市場は、ドル高やインフレ加速を受けて売り優勢となった。中心限月となる12月限は6月29以来の安値1,942.7ドルを付けた。中国の輸出入減少やデフレによるリスク回避の動きを受けてドル高に振れた。7月の中国の貿易統計によると、輸出は前年比14.5%減少、輸入は同12.4%減少した。事前予想は12.5%減少、5.0%減少。消費者物価指数(CPI)は同0.3%下落し、2年5カ月ぶりにマイナスとなった。事前予想は0.4%上昇。さらに中国の不動産開発大手「碧桂園」は米ドル建て社債2,250万ドルの利払いを8月6日の期日までにできず、資金繰りが大幅に悪化した。デフォルト(債務不履行)に陥れば、恒大集団よりも影響が深刻になるとの見方が出ている。需要低迷を受けて経済指標が悪化し、新たな景気刺激策に対する期待感も出ているが、不動産業界の混乱が続くと、中国経済に対する懸念は残ることになりそうだ。一方、バイデン米大統領は9日、特定のハイテク分野における対中投資を規制する大統領令に署名した。半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、特定の人工知能(AI)システムの3分野が対象となる。
 7月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%上昇と前月の3.0%上昇から13カ月ぶりに伸びが加速した。ただ事前予想の3.3%上昇は下回った。家賃が上昇した一方、自動車や家具など消費財価格の下落が相殺した。米生産者物価指数(PPI)も同0.8%上昇と前月の0.2%上昇から伸びが加速した。サービス価格の上昇を受けて事前予想の0.7%上昇を上回った。ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事は、インフレ率をFRBが目標とする2%に引き下げるためには追加利上げが必要になる公算が大きいと述べた。ただCMEのフェドウォッチで、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は金利据え置きの確率が90.0%(前週87.0%)となっている。一方、米財務省の四半期定例入札(クオータリー・リファンディング)の10年債入札で最高落札利回りは3.999%、応札倍率は2.56倍と2月以来の高水準だった。米債の大量供給に対する懸念が出ていたが、堅調な需要が示されたことを受けて利回り上昇は一服した。ただ予想以上の米PPIを受けて利回りは再び上昇した。今週は7月の米小売売上高などの発表がある。
 格付け会社ムーディーズは7日、米国の銀行10行の信用格付けを1段階引き下げたほか、一部の主要行を引き下げ方向で見直しの対象とした。複数の主要行の見通しも「ネガティブ」に変更した。「多くの銀行の第2四半期決算で収益性への圧力が高まっていることが示されており、内部資本を生み出す能力が抑制されるだろう」とした。ただムーディーズは8日、米国の銀行セクターは依然として堅調との見方を示し、格下げにもかかわらず米国の銀行システムは依然として世界で最も高い格付けを受けていると述べた。金利上昇の銀行システムへの影響も確認したい。
 8月11日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.37トン減の899.63トンとなった。米経済のソフトランディング期待やインフレ加速を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月8日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは14万2,985枚となり、前週の16万4,924枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万0,139枚、新規売りが1万1,800枚出て2万1,939枚買い越し幅を縮小した。

NYプラチナはドル高や金軟調で昨年10月以来の安値

 ニューヨーク・プラチナ10月限は、ドル高や金軟調を受けて売り優勢となり、昨年10月以来の安値891.0ドルを付けた。ただ9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ停止見通しに変わりがなかったことから買い戻されて下げ一服となった。上海プラチナの出来高が急増し、中国の実需筋の安値拾いの買いが入ったことも下支え要因である。ただ中国の不動産業界の先行き懸念が出ており、今後の行方を確認したい。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、10日のロンドンで13.47トン(前週末13.25トン)、11日のニューヨークで30.81トン(同30.67トン)、10日の南アで12.74トン(同13.07トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月8日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2,992枚となり、前週の1万2,290枚から縮小した。新規売りが新規買いを上回った。

ニューヨーク金は200日移動平均線を割り込む

ニューヨーク金12月限は、ドル高やインフレ加速を受けて軟調となり、6月29日以来の安値1,942.7ドルを付けた。中長期の節目となる200日移動平均線(11日1,962.9ドル)を割り込み、テクニカル面で弱気に転じた。6月安値1,939.2ドルを割り込むと、手じまい売りが出て1,900ドルの節目を目指すことになりそうだ。今週は7月の米小売売上高などの発表がある。

8月14日からの週の注目ポイント

14日 特になし  
15日 フランス休場
国内総生産(4-6月期1次速報) ☆☆☆
中国小売売上高(7月) ☆☆
中国鉱工業生産(7月) ☆☆
英雇用統計(7月) ☆☆
独ZEW景況感指数(8月) ☆☆
米小売売上高(7月) ☆☆☆
米輸出入物価指数(7月) ☆☆
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(8月) ☆☆
米企業在庫(6月) ☆☆
対米証券投資(6月) ☆☆
16日 NZ準備銀行政策金利発表 ☆☆☆
英消費者物価指数(7月) ☆☆☆
ユーロ圏域内総生産(4-6月期改定) ☆☆☆
ユーロ圏鉱工業生産(6月) ☆☆
米住宅着工・許可件数(7月) ☆☆☆
米鉱工業生産・設備稼働率(7月) ☆☆
米FOMC議事録(7月25-26日) ☆☆☆
17日 機械受注(6月) ☆☆
貿易収支(7月速報) ☆☆
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(8月) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
18日 消費者物価指数(7月) ☆☆☆
英小売売上高(7月) ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(7月確報) ☆☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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