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金はドル高が圧迫も逃避買いで底堅い
提供:SBIゴールド
金は英国のEU離脱の行方も焦点
1月14日の週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて下落し、中心限月の2月限は、4日以来の安値1,280.1ドルを付けた。ユーロが景気減速懸念を受けて軟調となり、ドル高に振れた。一方、英議会でメイ英首相の欧州連合(EU)離脱協定案が否決されたが、合意なき離脱に対する懸念が後退し、ポンドは堅調となった。ただEU離脱の行方は引き続き不透明である。また米政府機関の一部閉鎖が続いている。米中の通商協議に対する期待感が出ているが、景気減速に対する懸念も残り、金は先行き懸念からETF(上場投信)に安値拾いの買いが入った。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が強いが、ユーロ圏の景気減速に対する懸念を受けてユーロが軟調に推移し、ドル高に振れた。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は、ユーロ圏経済はリセッション(景気後退)に向かっていないとしつつも、減速期が予想よりも長引く可能性があるため、ECBによる支援が引き続き必要との見解を示した。また昨年12月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)改定値は前年比1.6%上昇となり、11月の1.9%上昇から鈍化した。一方、英議会でメイ英首相の欧州連合(EU)離脱協定案が否決された。ただ野党労働党の内閣不信任案は否決され、同首相は21日に代替案を提示し、英議会は29日に代替案を審議する。コービン労働党党首が超党派協議への参加を拒否し、同首相は有効な代案が超党派協議を通じて得られる見込みはないとした。代替案が示されなければ「合意なき離脱」に向かうか、離脱延期を検討することになる。
トランプ米政権と民主党指導部との対立から、米政府機関の一部閉鎖が続いている。ペロシ下院議長(民主党)が、米大統領に29日に予定されている一般教書演説を延期するよう要請すると、米大統領は同議長のベルギー、エジプト、アフガニスタン訪問予定が、米政府機関の一部閉鎖のため延期されたと伝えた。軍用機使用を拒否した。また米大統領は、政府機関の一部閉鎖を理由に、スイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)への政府代表団の派遣を中止した。米国務省は17日、連邦政府機関一時閉鎖の影響で自宅待機となっている職員に対し、職場に復帰するよう命じた。給与支払いに向けた特別措置を講じる方針を明らかにした。米大統領は19日、国境の壁建設資金の確保をあらためて要求し、その引き換えに、幼少期に親に連れられて米国に入国した不法移民の若者、いわゆるドリーマーの保護を3年間延長する提案を行った。ただ民主党指導部は拒否した。これまでの報道通り、米政府機関の一部閉鎖は2月末まで続く可能性がありそうだ。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ米政権の当局者らが金融市場の沈静化のため、対中関税を引き下げる措置を検討していると報じた。ただ米財務省はこれを直ちに否定した。一方、ブルームバーグによると、中国が貿易不均衡の是正に向け、米国からの輸入を6年間にわたって拡大する提案を行った。米国からの財(モノ)の年間輸入規模を計1兆ドル強増やして、貿易黒字を2024年までにゼロにする方向を模索するという。当面は中国の劉鶴副首相が1月30〜31日に訪米し、閣僚級通商協議を行う見通しである。期限となる3月1日までに協議がまとまれば米国の追加制裁が見送られる見通しだが、これまでの制裁措置を受けて景気が減速しており、米国が対中関税を引き下げるようなら、見通しが改善する可能性が出てくる。
1月18日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比12.05トン増の809.76トンとなった。18日の急落で安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は、米政府機関の一部閉鎖の影響で昨年12月24日以降、発表されていない。
プラチナはドル高で800ドルを試す
ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、パラジウム急伸が下支えとなる場面も見られたが、ドル高を受けて戻りを売られ、1月3日以来の安値797.5ドルを付けた。パラジウムは供給ひっ迫懸念が強いなか、まとまった買いが入り、史上最高値1,434.50ドルを付けた。ただプラチナは2018年の中国の自動車販売が前年比2.8%減少の2,810万台と減少に転じたことや、欧州連合(EU27)の新車(乗用車)登録台数が、昨年9月に「国際調和排ガス・燃費試験方法(WLTP)」を導入してから前年を下回っていることが圧迫要因である。米中の通商協議に対する期待感が出ているが、景気減速懸念が残ると、プラチナは上値の重い状況が続くとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は11日のロンドンで8.92トン、18日のニューヨークで19.74トン(前週末19.44トン)、南アで21.61トン(同21.25トン)に増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は、米政府機関の一部閉鎖の影響で昨年12月24日以降、発表されていない。
ニューヨーク金はドル高が圧迫も投資資金が流入
ニューヨーク金2月限は、レンジ上限となる1月4日の高値1,300.4ドルを突破できずに上げ一服となり、4日以来の安値1,280.1ドルを付けた。ドル高が圧迫要因になった。ただ英国の欧州連合(EU)離脱の先行き不透明感や、米政府機関の一部閉鎖が続いていること、景気減速懸念などが下支え要因となり、金ETF(上場投信)に安値拾いの買いが入った。引き続き買われると、レンジ相場を継続するとみられる。
1月21日からの週の注目ポイント
21日 |
米国休場 |
☆ |
---|---|---|
中国国内総生産(10-12月期) |
☆☆☆ |
|
中国小売売上高(12月) |
☆☆ |
|
中国鉱工業生産(12月) |
☆☆ |
|
22日 |
日銀金融政策決定会合1日目 |
☆☆ |
独ZEW景況感指数(1月) |
☆☆ |
|
米中古住宅販売統計(12月) |
☆☆ |
|
23日 |
貿易収支(12月速報) |
☆☆ |
日銀金融政策決定会合2日目 |
☆☆☆ |
|
米住宅価格指数(11月) |
☆ |
|
24日 |
ECB金融政策理事会 |
☆☆☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(1月速報) |
☆☆ |
|
25日 |
独ifo景況感指数(1月) |
☆☆ |
米耐久財受注(12月) |
☆☆ |
|
米新築住宅販売(12月) |
☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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