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金はドル高が圧迫も下値は限られる
提供:SBIゴールド
金は売られ過ぎで買い戻し主導の上昇も警戒
8月6日の週のニューヨーク金市場は、ドル高が圧迫要因となったが、レンジ下限を維持し、もみ合いとなった。トランプ米大統領がトルコやロシアに制裁を発動したことを受けてトルコリラが対ドルで最安値を更新し、ロシアルーブルも下落した。新興国通貨主導でドル高が進行し、ドル指数は2017年7月以来の高値96.45を付けた。ただ12月限は3日に付けた2017年1月以来の安値1,212.5ドルを維持した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しや貿易戦争に対する懸念が圧迫要因だが、ファンド筋の売り玉が増加し、売られ過ぎとなっている。レンジ上放れとなれば買い戻し主導で急伸する可能性も出てくる。
米財務省は1日、米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏の拘束に関与したとして、トルコのギュル法相とソイル内相に制裁を科した。米政府は牧師の解放を求めており、トルコ政府への圧力を強めた。トルコの訪米団が米国人牧師釈放を約束することを拒んだことが8日に伝えられると、トルコリラが急落した。トランプ大統領が10日、トルコからの鉄鋼・アルミニウム輸入の関税率を倍に引き上げる決定を下すと、トルコリラは一段安となった。混乱が欧州や他の新興国市場にも影響を及ぼすとの懸念が広がり、ドル高が進行した。米国が8日、英国で起きたロシア元情報機関員の暗殺未遂事件で、ロシア政府が化学兵器を使用したと断定し、新たな経済制裁を発動すると発表したこともドル高要因となった。トランプ米大統領はこれまでドル高や利上げをけん制する場面も見られたが、今回はツイッターに、トルコリラは「われわれの非常に強いドルに対し、急速に下げている!」と投稿し、ドル高を容認している。トルコのエルドアン大統領は対米で強気姿勢を崩しておらず、金融危機が世界に波及するのかどうかが当面の焦点である。
米経済指標はおおむね堅調となり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しに変わりはない。米新規失業保険申請件数は21万3,000件で、前週比6,000件減少した。事前予想は22万件で、予想外の改善となった。一方、7月の米生産者物価指数(PPI)は前月比横ばいで、事前予想の0.2%上昇を下回った。前年比は3.3%上昇(予想は3.4%)。力強い労働市場と堅調な経済に加え、輸入関税が今後、インフレを押し上げるとみられている。7月の米消費者物価指数(CPI)は総合指数が前月比0.2%上昇し、6月の0.1%上昇から加速した。事前予想と一致した。基調的な物価は引き続き底堅く、インフレ圧力が徐々に高まっていることを示唆した。
米国は7日、第2弾の追加関税となる中国からの輸入品160億ドルに対する25%の関税を8月23日から発動すると発表した。中国も同規模の報復措置を発表した。ただ米国が7月6日に340億ドル相当の中国製品に25%の関税を発動したにもかかわらず、7月の中国の貿易統計でドル建て輸出は予想外に加速した。ドル建て輸出は前年比12.2%増と事前予想の10%増を上回り、6月の11.2%増から伸びが加速した。対米貿易黒字は280億9,000万ドルで、6月の289億7,000万ドルから小幅な縮小にとどまった。人民元の下落が影響した可能性があるとみられている。一方、中国人民銀行(中央銀行)は、人民元を安定させるための追加的な策を講じた。事情に詳しい複数の関係者によれば、人民銀は一部の市中銀行に対し、為替市場での「群集行動」とモメンタムを追う動きを避けるよう促した。人民元の動向も確認したい。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月7日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは1万2,688枚となり、前週の3万5,337枚から縮小し、2015年12月以来の低水準となった。今回は手じまい売りが963枚、新規売りが2万1,686枚出て、買い越しを2万2,649枚縮小した。一方、8月10日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比8.82トン減の786.08トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しや米中の貿易戦争に対する懸念を受けて投資資金が流出した。
プラチナは値固めを継続
ニューヨーク・プラチナ10月限は、米中が第2弾の追加関税の発動を発表したことやドル高進行に上値を抑えられた。ただ南アの鉱山会社の生産コスト834ドルを割り込んでいることや、ファンド筋の売り越しが続き、売られ過ぎとの見方が下支えとなった。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月7日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の売り越しは8,143枚となり、前週の8,183枚から縮小した。買い戻しが手じまい売りを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は2日のロンドンで10.96トン、10日のニューヨークで18.61トン(3日17.87トン)に増加、南アで22.87トン(同22.87トン)と変わらずとなった。
原油は米中の貿易戦争激化などに上値を抑えられる
ニューヨーク原油は、米国のイラン制裁に対する懸念が支援要因となる場面も見られたが、米中の貿易戦争激化などに上値を抑えられ、6月22日以来の安値66.14ドルを付けた。トルコ発の金融危機の行方も焦点であり、リスク回避の動きが広がるかどうかを確認したい。米エネルギー情報局(EIA)が発表した8月3日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比135万1,000バレル減少した。事前予想は330万バレル減少。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された8月10日までの週の米石油リグ稼動数は前週比10基増の869基となった。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月7日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは60万8,927枚となり、前週の61万3,400枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は10日時点で1億2,470万株となり、前週末比10万株減少した。
ニューヨーク金はレンジ相場を形成
ニューヨーク金12月限は、ドル高が圧迫要因になったが、レンジ下限を維持し、もみ合いとなった。ドル指数が10日に一段高となり、2017年7月以来の高値96.45を付けたが、金は3日に付けた2017年1月以来の安値1,212.5ドルを維持した。ここを割り込むと、1,200ドルの節目を目指すことになるが、維持したことで買い戻しが入りやすい。またRSIが売られ過ぎを示していることも下支え要因である。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しや貿易戦争に対する懸念が圧迫要因だが、レンジを上放れると、買い戻し主導で上昇する可能性が出てくる。
8月13日からの週の注目ポイント
13日 |
小売業販売額(6月確報) |
☆ |
---|---|---|
14日 |
中国小売売上高(7月) |
☆☆ |
中国鉱工業生産(7月) |
☆☆ |
|
ユーロ圏域内総生産(4-6月期改定) |
☆☆☆ |
|
ユーロ圏鉱工業生産(6月) |
☆☆ |
|
独ZEW景況感指数(8月) |
☆☆ |
|
米輸出入物価指数(7月) |
☆ |
|
15日 |
英消費者物価指数(7月) |
☆☆ |
米小売売上高(7月) |
☆☆☆ |
|
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(8月) |
☆☆ |
|
米鉱工業生産・設備稼働率(7月) |
☆☆ |
|
米企業在庫(6月) |
☆ |
|
対米証券投資(6月) |
☆☆ |
|
16日 |
貿易収支(7月速報) |
☆☆ |
ユーロ圏貿易収支(6月) |
☆ |
|
米住宅着工・許可件数(7月) |
☆☆ |
|
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(8月) |
☆☆ |
|
17日 |
ユーロ圏国際収支(6月) |
☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(7月確報) |
☆☆☆ |
|
米ミシガン大消費者信頼感指数(8月速報値) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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