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2024-04-27 00:24:51

プラチナ価格上昇には時間

2022/5/11
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

プラチナ価格はロシアのウクライナ侵攻を切っ掛けに大幅に上昇し、一時1,300ドルを上回る水準まで上昇したが、その後水準を切下げ、現在(2022年5月5日時点)は1,000ドル近辺でもみ合っている。2022年2月24日のロシアによるウクライナ軍事侵攻決定が価格上昇の背景だが、その後の下落は米国の金融引き締め加速に伴う実質金利の上昇や、ドル高進行が影響していると考えられる。ロシアのプラチナ供給シェアは米地質調査所(USGS)の推計では2021年で9.0%と高い水準であるが圧倒的なシェアを占める南アフリカ(61.9%)に比べればさほど高いわけではなく、それ以上に金融政策の影響の方が価格に与える影響が大きかったと考えられる。言葉を換えると実需よりも投機の動きの影響が大きかったともいえるだろうか。

実際、この3ヵ月の米金融政策に関連する指標とプラチナ価格の相関性を見ると、最も影響が大きいのが米10年債利回りであり相関係数は▲0.84、次いで実質金利(▲0.79)、ドル指数(▲0.67)の順となった。先日FOMCでは市場予想通り50bpの利上げが決定され、10年金利の上昇要因となるバランスシートの縮小(QT)も前回のほぼ2倍のペースで行われる見込みであり、プラチナ価格の下落要因となることが予想される。もちろん、ロシアに対する制裁強化の方針が欧州を中心に打ち出されているため、ロシア産のプラチナ供給減少が価格に影響を与える可能性は否定出来ないが、当面はFRBの金融政策動向がプラチナ価格を左右し、価格には下押し圧力が掛る可能性が高いと予想される。

現物の需給バランス動向をWPIC(World Platinum Investment Council)の直近の推計を元に確認すると、2022年は65万2,000オンスの供給過剰と前年の123万2,000オンスの供給過剰からは余剰分を縮小する見通しながら、この10年で2番目の供給過剰になると見込まれている。精錬品供給が減少して全体の供給が▲6万オンス減少するものの、自動車触媒向け需要(+50万8,000オンス)の増加と、投機需要(+32万9,000オンス)が工業向けの需要減少(▲38万7,000オンス)を相殺して上回ることが需給バランスタイト化の背景にある。

ただ、自動車向けの需要回復は世界的にボトルネックとなっている半導体供給不足の解消が必須であり、ロシアのウクライナに対する侵略戦争の影響で世界経済がブロック経済化するリスクが高まる中では思ったほどの回復にならない可能性がある。また、投機取引を除いた純粋な実需の需給バランスは98万1,000オンスと前年の118万9,000オンスと投機の占めるシェアは前年の▲0.6%から4.4%に上昇する見込みであり、プラチナの価格形成は実需よりも「実需の動向を背景とする」投機筋の動向に左右される可能性が高い。これは2月のロシアのウクライナ侵攻以降の価格動向と平仄が取れている。

中期的なプラチナ価格の影響も確認すると、過去3年程度の月次データを元に相関分析を行うと最も相関性が高いのがプラチナETFの保管量であり、次いで銀価格、ドイツの製造業PMI、NYMEX保管在庫、ユーロ圏製造業PMIの順になった。このことから分かるのは、プラチナはディーゼル車の排ガス触媒に用いられるため、ディーゼル車がメインの欧州の製造業PMIとの相関性が高いが、それ以上にかなり直接的にETFの残高に左右されることだ。これは中期的にみてもやはり投機的な取引の影響がプラチナ価格への影響が大きいことを示唆している。それではETFが何を基準に変化しているかと言えば、欧州を中心とする実需と米国の金融政策動向、ということになる。

出所:CME、マーケット・リスク・アドバイザリー

欧州経済は対ロシア制裁による「ブーメラン効果」で減速の可能性がある上、中国のゼロコロナ政策を受けたロックダウンによる景況感悪化の影響で鈍化し、米国の金融政策動向は引き締め傾向が継続する見通しであり、欧州との景況感格差を考えるとドル高バイアスが強まると考えるのが自然だ。そのため、プラチナ価格が1,000ドルを大きく超えて上昇するのは難しく、さらなる上昇には米金融引き締めペースの鈍化、半導体供給の回復、ロシアの軍事侵攻一服による欧州経済の回復、といったことが必要条件になるのではないか。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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