<直撃インタビュー!>読めば納得!プロが教える、今こそ取り入れるべき運用方法!
2016/12/22
2016年は、誰しも予想しなかった日本のマイナス金利導入決定、英国のEU離脱とサプライズが続き、
そして11月の米大統領選挙ではトランプ氏が次期大統領に決定するという波乱の1年間となりました。
マーケットもその影響を大きく受け、投資家の皆さまにとっても波乱の1年だったのではないでしょうか。
さて、目前まで迫った2017年はどんな年になるのでしょう。
今後期待ができる市場やテーマ、投資方法について、マーケットのプロをお招きし、ずばり伺いました!
今回インタビューさせていただいたのは、
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
重見 吉徳(しげみ よしのり)
大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了後、農林中央金庫にて、外国証券・外国為替・デリバティブ等の会計・決済事務および外国債券・デリバティブ等の投資業務に従事。
その後、野村アセットマネジメントの東京・シンガポール両拠点において、グローバル債券の運用およびプロダクトマネジメントに従事。
アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年3月より現職。
今回はJPモルガン・アセット・マネジメントから重見氏と岡村氏をお迎えしました。
重見氏にはマーケット環境をわかりやすく解説いただき、岡村氏にはこれからのマーケット環境に適したファンドをご紹介いただきました!
【PART①】重見ストラテジストに聞く!2017年の相場見通しと今後期待の投資方法は??
SBI証券2016年は政治的なイベントも多く、投資家が動きにくい環境だったように思います。
先日、米国では次期大統領がトランプ氏に決定し、1年ぶりの利上げも実施されました。
トランプ氏の政策にも注目が集まる中、2017年はどのような年になるとお考えでしょうか。
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
重見 吉徳 氏
重見氏2017年は「リアル二刀流」の年、「上にも下にも備える」ための分散投資がより意味を持つ年になると考えています。
これまでの世界経済や市場環境は低成長・低インフレ・低利回りが続き、いわば曇り空のような状況で、加えて言えばそろそろ「米国の景気後退」という雨すら、気にし始めるべきと考えていましたが、アメリカの大統領選以降、少し流れが変わってきたように感じています。
例えば、今まではアメリカの長期金利が1%台ということで、やがては来るはずの景気後退に備えて債券を持っておく選択肢はあまりありませんでした。
しかし、この急速な金利上昇で債券も買うことができるようになり、またトランプ氏の政策が、米国や世界経済にとって必要なもの・不必要なものも含めてうまく働いて景気が過熱するという期待が持てれば株式への投資魅力も増してきます。この意味で、分散投資が意味を持つと考えているわけです。
大統領選を終え、このように期待がもてるようになってきたわけですが、控えめに考えるとしてもトランプ氏がどういった政策を行うかわからないという不確実性を抱える状況であり、まだまだ変動性の高い市場環境は続くでしょう。
そのような環境もやはり「分散投資」がより意味をなす状況といえます。
単純に言えば、債券と株式、もう少し詳しく言えば、ポートフォリオの中心ではインカム(利子・配当収入)を確実に積み上げ、一方ではキャピタルゲイン(資産の値上がり益)も狙うという分散投資、つまり「リアル二刀流」が重要になってきていることが2016年との大きな違いだと思います。
SBI証券日本と欧州ではマイナス金利が継続中、米国もようやく1年ぶりに利上げという状況です。
金融政策による景気拡大はそろそろ限界なのでは?という声も聞かれますが、どのようにお考えでしょうか?
重見氏2016年は、例えば日銀の金融政策を取っても、マイナス金利に始まり、9月に量の拡大から金利の水準へ目標を変更するなど、ここ数年と同様に金融政策に揺れた一年でした。今までは先進国の過剰な金融緩和やいわゆる「緩和マネー」に頼る形で、債券も株もなにもかもが上がって割高になり、またなにかのきっかけでなにもかも売られるという不安定な市場環境でしたが、アメリカの利上げや、日銀や欧州中央銀行の債券の買い入れ額の縮小なども予想され、金融環境が少しずつ正常化に向かう過程で、金融市場の不安定性も解消されてくると考えています。実は既に、「トランプ相場」の中では、米国株式のように価格が上がる資産もあれば、米国債や新興国株式のように下がる資産も出てきており、リスクテイクが正常化しつつあります。いわば、実体経済と金融市場のバランスが取れている状況に移ってきていると言えるでしょう。いわゆる金融政策によって相場が動くという状況から、企業の業績動向でマーケットが動くという環境に移りつつあることで、うまくシーソーのような強弱のバランスが出てくる局面になっており、それも足元で良い動きになっていると考える要因の1つです。
SBI証券金融政策ではなく実体経済、地域別・国別の経済や企業業績に目が向き始めたのは良いことですね。
しかしまだ明確な方向性がつかみにくく、個人投資家にとってはどこに投資したら良いか難しい環境かと思います。期待できるマーケットやカテゴリーはありますでしょうか。
重見氏米国が世界にもたらす影響を考えることが重要です。
トランプ氏の政策で期待できることはやはり規制緩和ですね。
米国の金融規制であるドッド=フランク法が緩和されるとなると、米国だけではなく世界の金融セクターにプラスになり、またヘルスケアセクターなどのように規制緩和が進めばプラスの恩恵を受けるセクターが出てくるでしょう。トランプ氏が注力しようとしているインフラ支出の拡大もインフラ関連企業だけではなく、IoT、モノのインターネットのようなIT分野も物流の効率化などインフラ分野と結びつくことによって恩恵を受ける可能性が十分あります。
米国がグローバルに広くプラスの影響をもたらすことに期待ができます。
SBI証券来年は規制緩和の恩恵を受け、金融やインフラ、ITなどのセクターに期待感があるということですね。
とはいえ、お客さまがご自身で債券や株の銘柄を選別することがなかなか難しいところがあります。
オススメの投資方法があれば、ぜひ教えてください。
重見氏冒頭に「二刀流」の話を申し上げましたが、野球に例えるなら、普段はバットを短く持ってヒットをこつこつ積み上げていき、たまには「好球必打」でホームランを狙うことが望まれ、その中でもやはりコアな部分として確実にインカムをとっていくことが日本の投資家の皆様の考え方にフィットする伝統的な投資スタイルだと考えています。
預金金利が0%の今、確実に3%前後の利回りを狙いにいくことが大切です。そのためには重要な点が2つあり、1つは、利子収入がある債券だけでなく配当収入が見込める株式にも分散していくことが重要です。トランプ政策によってインフレ懸念が出る場合には、債券は悪影響を受けます。また、格付けの高い債券市場全体に比べれば、先進国の株式市場全体ではまだまだ(配当)利回りが高い状況です。インカムを狙うことを主眼に株式に投資をし、運よくキャピタルゲインが取れれば「ラッキー」と思うくらいのスタンスが、安心して続けられる投資でしょう。
また、もう1つは、為替ヘッジも行うことも重要なポイントです。下図から見て取れるように、9月末でアメリカのハイイールド債券の利回りは6.3%、ドル円のボラティリティ(変動性;1年あたりの平均的な振れ幅)は±9.7%ですが、現地通貨ベースで6.3%のリターンを確保できたとしても、運悪く円高にふれてしまうとせっかく得られた利回りを円ベースでは失ってしまう可能性があるのです。もちろん、逆に円安に行けば、ダブルで儲かると言えるかもしれませんが、皆さんもご経験されていらっしゃるとおり、為替のリスクは大きく、しかも簡単には読めません。確実なインカムを狙いに行くために、為替のリスクを取るのでは、目的から大きく逸れたリスクを取ってしまうことになるのです。3%の利回りを確実に得るためにはやはり為替ヘッジが必要になると考えます。
下図の場合では、ヘッジコストは1.5%ですが、これを払っても円ベースで4.8%(6.3%−1.5%)の利回りを確保できます。
このように債券だけでなく、株式にも分散投資をする、なおかつ為替は円ヘッジをしていくことが着実に資産を増やす有効な手段だと考えています。
- ※JPモルガン・アセット・マジメント作成 販売用資料から抜粋
SBI証券ありがとうございます。為替変動を抑制しながら、分散投資を行うということですね。
では、そのような運用方針でおすすめのファンドをご紹介いただきたいと思います。
次のページ:【PART②】今、そしてこれからの投資環境にマッチしたファンドは??
投資信託に関するご注意事項
- 投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
- 投資信託は、個別の投資対象毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客様が実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
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