来週の株式見通し(2016/3/28〜4/1)
来週(2016/3/28〜4/1)の日経平均株価の予想レンジは16,150円-17,850円。東京株式市場は堅調な展開が予想される。週明けは3月末権利付き最終日であることや、年金資金などによる配当再投資にともなう先物買いへの思惑などから上昇がイメージしやすい。円高もやや一服気味であることや、原油相場も直近のリバウンド相場に対する微調整でおさまっている。買いが一巡した後は、週末4/1に発表される3月調査日銀短観や、中国3月製造業 PMI、財新中国3月製造業 PMI、米3月雇用統計、米3月ISM製造業景況指数などの重要指標を控え、様子見姿勢が強まる展開が一般的なシナリオだろう。
ただ、日経平均株価を中心に3月に入ってからもみ合いを続けている主力大型株が多い。日本株は米国株に比べて相対的に出遅れ感が強いため、週初にもみ合いを上放れるような動きとなった場合、年度末である3/31に向けては特段と材料がない状況でも、ドレッシング買い(お化粧買い)への思惑、4月新年度からの年金資金(クジラ)による資金流入期待などを材料に、上昇基調を維持する展開などもありえるだろう。前回取り上げた海外投資家による4月初旬の買い越しアノマリーなども念頭に置いておきたい。
国内の経済指標では、3月調査の日銀短観に注目だ。前回12月調査では「大企業製造業の先行きDI」が9月に比べ大幅に悪化したことで株式市場はネガティブに反応した。前回同様、発表前日の欧米株式相場の動向にもよるが、今回悪化が見込まれている「大企業製造業の現状DI」とともに、「大企業製造業の先行きDI」が市場予想を上回る結果になれば、新年度相場入りの東京市場にとってはポジティブな材料となる。
図表1は、ドル円相場と日銀短観ベースの想定為替レートの推移である。12月調査で示された2015年度の大企業製造業の想定為替レートは1ドル=119.40円(2015年度下期は118.00円)であった。今回の3月調査で初めて公表される2016年度の想定為替レートの水準が注目される。特に今年に入ってからの急速な円高局面では、株価の大幅調整を通じて企業業績の下方修正をある程度は織り込んだ可能性が高い。そのため、公表される想定為替レートが実勢レートより多少円安水準であったとしても大きくかい離していなければ、改めて株価に売り圧力が強まる状況にはならないだろう。ただ、現在のドル円相場の水準が4月も続くようだと、5月後半からの決算発表シーズンを前に売り圧力が強まる局面変化には対応できるようにしておきたい。
図表1:ドル円相場と日銀短観ベースの想定為替レート(2015/1/1-2016/3/23)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は17,000円を意識してもみ合いが続く。株価の下方で推移する25日移動平均線(16,618円、3/24)は上昇が続いており、先高期待が依然として残るチャートパターンである。逆に、株価の上方で下落基調にある75日移動平均線(17,411円、3/24)が上値抵抗になりえるため、短期的には両線の間でもみ合い相場が続く可能性は高い。
ただ、年度末という特殊時期で買いが入る場合は、来週早々に上記もみ合いを上放れる展開なども想定しておきたい。その場合は75日移動平均線を上回り、2/3の急落で形成したチャート上のマド埋め(17,684円)を意識した動きになるとみられる。
昨年9月安値(16,901円)の水準が足元のもみ合いの中心になっていることや、1/21安値(16,017円)からの戻り相場の中心にもなった経緯がある。昨年9月安値は今年に入ってからの相場で非常に影響力のある水準とはいえ、この先もみ合いが放れた方向に強い動きが生じる公算が大きい。
例えば、昨年9月安値が1/21安値からの戻り相場の中心になったことと同じように、2/12安値(14,865円)を起点とした戻り相場の中心になると予測することができる。その場合の上値メドは、18,937円(16,901+16,901-14,865)になる。
一目均衡表では遅行スパンが好転(現在株価が26日前の株価水準を上回る)を維持しているが、転換線(16,933円、3/24)や基準線(16,461円、3/24)に大きな動きが出ない可能性が高く、一目均衡表上からでも短期的にはもみ合い基調から抜け出せないと判断することができる。
週足では下落基調の13週移動平均線(16,911円、3/24)が上値のフシとして意識されている。13週移動平均線が下げ止まるにはしばらく日柄調整が必要で、1月安値(16,017円)に向けて二番底を試す展開なども十分ありえる動きだ。上記のもみ合いが下放れるケースなどが該当する。
短期的な上値メドは、75日移動平均線(17,411円、3/24)、2/2安値(17,684円)、2/1高値(17,905円)、12/15安値(18,562円)、200日移動平均線(18,697円、3/24)、上記の18,937円などが考えられる。下値メドは、3/9安値(16,494円)、1/21安値(16,017円)、2/12安値(14,865円)などが考えられる。
図表2:日経平均株価の短期チャート(日足、2015/6/1-2016/3/24)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内経済指標の発表やイベントは、民主・維新合流新党の結党大会(3/27)、3月末権利付き最終日(3/28)、2月労働力調査・有効求人倍率、2月家計調査、2月商業動態統計(3/29)、2月鉱工業生産(3/30)、3月調査日銀短観、電力小売全面自由化、女性活躍推進法が施行、未成年向けの少額投資非課税制度「ジュニアNISA」導入、東京電力が持ち株会社に移行、横浜銀行と東日本銀行が経営統合しコンコルディア・FGを設立、伊藤ハムと米久が経営統合し伊藤ハム米久HDを設立(4/1)などがある。
企業決算の発表は、ニトリHD、ヒマラヤ、大光(3/28)、ハニーズ、ライトオン、NaITO、平和堂(3/29)、NJS、夢の街(3/30)、タキヒヨー、トライステージ、テクノアルファ、スター・マイカ、クラウディア、ニイタカ、日本エンタ、USEN、ミルボン、宝印刷、日プロセス、ジャステック、アルテック、セキチュー(3/31)、パイプドH、日フイルコン、ジンズメイト、象印(4/1)などが予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントは、米2月個人所得・個人支出、米2月中古住宅販売仮契約、米2年国債入札(3/28)、米1月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米3月CB消費者信頼感指数、米5年国債入札(3/29)、米3月ADP雇用統計、米7年国債入札(3/30)、米3月シカゴ購買部協会景気指数、核安全保障サミット(〜4/1ワシントン)(3/31)、中国3月製造業 PMI、財新中国3月製造業 PMI、ユーロ圏2月失業率、米3月雇用統計、米3月ISM製造業景況指数、米2月建設支出、米3月新車販売台数(4/1)などが注目される。
なお、3/28は欧州各国の市場、香港市場などがイースターマンデーのため休場となる。
新規上場は3/31にマザーズ市場に2社が予定している。オンライン旅行事業者のエボラブルアジア(6191)は自社サイトによる直販のほか、検索予約エンジンのOEM(相手先ブランドによる生産)提供や他社への卸売り、法人向け販売なども展開している。また、ベトナムで情報技術(IT)オフショア開発サービスを提供している。
一方、同日上場のPRタイムズ(3922)はプレスリリース配信サイト「PR TIMES」を運営。ベクトルの子会社で企業と生活者をニュースでつなぐプラットフォーム事業を展開している。2015年11月末現在、累計利用企業数は1万1,276社となっている。
来週の注目銘柄(2016/3/28〜4/1)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
4321 | 640円 | 434円 | 不動産ファンドの運営などを手がける。先日発表された今年1/1時点の公示地価は、全国平均(全用途)が8年ぶりにプラス転換した。特に商業地の上昇が顕著で、東京、大阪、名古屋の三大都市だけでなく、札幌、仙台、広島、福岡の地方圏も大きく伸びた。加えてマイナス金利の導入もあり、不動産売買は一段の活況が期待できそう。同社にとってはフォローの流れが続いており、改めて注目が高まる展開を予想する。株価は日銀のマイナス金利導入発表を受けて急伸した後にスピード調整となったが、2/12安値(350円)を起点に強い回復力を見せている。足元は500円処を上値で意識しながらのもみ合い。ただ、大商いを演じた1/29の大陽線を上回ってきており、当時の買い方が1回転したことになる。需給改善から上値追いは時間の問題だろう。1/29高値(497円)からの下げの倍返しの上値メドなら600円台前半の水準となる。ターゲットは640円、ロスカットは434円 | |
5482 | 550円 | 407円 | 自動車用特殊鋼大手。トヨタグループ。同社は3/17、1月の爆発事故で稼働を停止していた知多工場の復旧完了と3/21からの生産再開を発表した。発表を受けた3/18の株価は3%超の上昇と、復旧を好感する動きとなった。爆発による業績悪化懸念や市場全体の急落を受け、軟調な動きが続いていたが、2/12安値(400円)以降は下げ渋っており、悪材料はおおむね織り込まれたと判断してよい。足元でグローバルに株式市場の動きが良くなっており、鉄鋼セクターにはフォローの風が吹く。PBRは1.0倍を大きく割り込む水準で、ここから先は出遅れ修正の流れが強まると予想する。信用倍率が低下傾向にある点もポジティブな材料だ。3/7高値(472円)を上回れば騰勢を強める公算が大きい。ターゲットは550円、ロスカットは407円 | |
7545 | 1,400円 | 1,000円 | 子供服・ベビー用品の専門店を全国展開。同社が3/22に発表した、3月度の売上高は既存店ベースで前年同月度比9.7%増となった。4カ月連続のプラス。全店ベースでは同11.8%増となった。アウトウェアを中心に春物実需としての衣料品、服飾部門がけん引し、初夏物の品揃えも先行して売場展開できたことで繊維部門の売上が好調に推移した。客単価も6.3%上昇した。株価は2011年安値を起点に緩やかな上昇トレンドが続いている。今年に入ってからの相場全体の波乱の中でも24カ月移動平均線をサポートに底堅く推移。日足の一目均衡表では三役好転の強気サインが続いており、昨年高値(1,285円)トライの展開が予想される。PERに割安感はないが、信用残は売り長で需給悪懸念はない。ターゲットは1,400円、ロスカットは1,000円 | |
8058 | 2,200円 | 1,760円 | 総合商社首位級。資源安による減損処理などを要因に、2016年3月期は1,500億円の最終赤字(従来の純利益予想は3,000億円の黒字)に転落する見通し。3/4付けの当レポートで示した通り、資源の市況悪化が業績の下押し要因になることは既に株価は織り込んでいる公算が大きい。今回の材料が直近安値(1,565円)からの上昇に対する利益確定売りやカラ売りのきっかけとなり、目先的には昨年9月安値(1,887.5円)前後まで下げる可能性は高いが、二番底を形成する典型的な現象(弱気派が再び自信を取り戻す局面、ファンダメンタルズが弱いことに変わりなくマスコミの論調も弱気。だが、上昇初期の下値固めとなるケースが多い。)とみられ押し目買いで対応したい。ターゲットは2,200円、ロスカットは1,760円 | |
8940 | 1,270円 | 869円 | 中古マンション再生流通事業が主力。リノヴェックスマンションの販売件数の増加や価格上昇で利益伸長。首都圏重点から地方主要都市での仕入件数拡大に意欲的。不動産小口化商品販売も収益押し上げに寄与している。中古マンション市場での競争激化を背景に、内装工事請負などを中心に事業ポートフォリオの成長を推進へ。東証2部上場。配当性向で30%以上が目標。株価は2008年安値(175円)を起点に下値切り上げ波動が続いている。月足では9カ月移動平均線上を維持しており、2014年1月高値(1,408円)が視野に入っている。日足では25日移動平均線の上昇が続く可能性が高く、直近高値(1,022円)更新で倍返しの上値余地が見込めそう。ターゲットは1,270円、ロスカットは869円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・ 東証上場銘柄で3/23現在、時価総額が70億円以上、配当利回りが0.7%以上、PBRが2.0倍以下、信用倍率が7.0倍以下、株価が25日移動平均線を上回っている銘柄の中から、業績面や成長性、話題性などを考慮しピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。