前営業日トピックス
東京市場では、序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことも支援材料となった。ただ、その後は日経平均株価が上げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。
米国市場では、4月の米生産者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ただ、前月の結果が下方修正されたことからドルは一転して下落となり、さらに米金利の低下したことも影響した。その後、パウエルFRB議長の発言があったものの、FOMC後の会見を引き継ぐ内容だったことから反応は限定的となり、終盤までレンジ内の動きが続いた。
米株式市場では、序盤に発表された4月の米生産者物価指数が市場予想を上回ったものの、前月分が下方修正されたことから、物価上昇の過度な警戒が薄れ、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ただ、その後は一時マイナス圏まで下落する場面もあったが、パウエルFRB議長が追加利上げに慎重な姿勢を示したことや、米長期金利の低下などが下支え要因となった。ダウ平均株価は、序盤堅調な動きとなったものの、その後は下落に転じて一時前日比59ドル安まで下落した。ただ、下げ一服後は再び堅調な動きとなり、184ドル高まで上昇する場面もあったが、126.60ドル高(+0.32%)で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは122.94ポイント高(+0.75%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、本邦金利が上昇したものの、海外市場での円売りの流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が上昇して始まり、一時前日比298円高まで上昇したことや、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことも加わり、ドル/円は序盤の、156.08から156.50まで上昇した。
(2)上昇一服後は、日経平均株価が上げ幅を縮小する動きとなり、一時マイナス圏まで下落したものの下値は限定的となり、その後株価が再びプラス圏を回復したことからドル円・クロス円は底固い動きとなった。欧州時間では、時間外取引で米長期金利が低下したことを受けて、ドルは軟調な動きとなる場面もあった。
(3)米国市場では、序盤に発表された4月の米生産者物価指数が前月比ベースで市場予想の0.3%を上回る0.5%となったことを受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、発表直前の156.40から156.72まで上昇したものの、前月結果の0.2%が-0.1%に下方修正されたことからドルは一転して下落となり、さらに米金利の低下を受けて、ドル/円は156.23まで下落した。その後、パウエルFRB議長が「次の行動が利上げになる可能性は高くない」「政策金利は現行水準に維持される」との見方を示したものの、前回のFOMC後の会見を引き継ぐ内容だったことから反応は限定的となり、終盤までレンジ内の動きが続いた。
本日のトピックス
前日に発表された4月の米生産者物価指数では、前月比ベースで総合とコアがともに市場予想を上回る伸びとなったものの、前月の結果がマイナスに下方修正されるなど、まちまちの結果となったことから、発表直後はやや乱高下する動きも見られた。
本日発表される4月の米消費者物価指数の結果が注目されており、事前予想では伸び幅の縮小が予想されているものの、生産物価指数の結果を見る限り方向性を予想するのは難しく、結果を受けてからの動きとなるだろう。
パウエルFRB議長は、FOMC後の会見の内容を踏襲しており、「次の行動が利上げになる可能性は高くない」との見方を示している。そして、「労働市場は徐々に冷え込む兆しが見られる」としたが、一方で「インフレ低下の自信得るまでにより時間がかかる」との見方も示しており、これらの点から「金利を据え置く可能性の方が高い」との見方を示している。
このことから、今回の消費者物価指数の結果で利下げ開始時期の結論が出るとは考えにくいものの、マーケットでは思惑が交錯することから、結果に敏感に反応する可能性が考えられる。そのため、前回の修正を含めた結果に注目したい。さらに、本日も複数の米当局者の発言が予定されていることや、消費者物価指数以外にも重要視されている米小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景気指数の発表もあることから、発言の内容や結果にも注目したい。
5/15の注目材料
| 時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
|---|---|---|---|---|
| 21:30 | 米国 |
4月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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3.4% | 3.5% |
| 前回は市場予想を上回り、2ヵ月連続の伸び幅の拡大となった。一方、コア指数は3ヵ月連続で市場予想を上回っており、インフレ圧力が再び強まっていることが示された。今回は、総合コアともに前月から伸び幅が縮小すると見られているものの、依然としてFRBの目標の2%を上回る結果が続くと見られている。 | ||||
| 21:30 | 米国 |
4月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.4% | 0.7% |
| 前回は市場予想を上回り、さらに前月分が上方修正されるなど、堅調な個人消費が維持されていることが示された。一方、コア指数は昨年1月以来の大幅な伸びとなった。今回は、前月から伸び幅の縮小が予想されているものの、3ヵ月連続のプラスが見込まれており、1月に落ち込んだものの、再び堅調さが示されると見られている。 | ||||


