前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から300円超下落したことや、中国の経済指標が悪化したことも加わり、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。午後には、日経平均株価が上げ幅を拡大して540円超下落したことや、米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は一段の下落となった。ただ、下値は限定的となり、その後は値を戻す動きとなった。
米国市場では、4月の米雇用関連の経済指標が良好な結果となったことを受けて、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後、米金利が低下したことからドルは上値の重い動きとなり、さらに複数の米FRB高官が6月のFOMCで利上げを見送るべきとの見方を示したことから米金利が一段の低下となり、ドル/円は高値の140.38から139.23まで下落した。
米株式市場では、良好な米労働関連の経済指標結果を受けて、FRBによる利上げ観測が高まり、米景気への懸念を背景に主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。その後、米FRB高官が6月のFOMCで利上げを見送るべきとの見方を示したことを受けて、米金利が軒並み低下したことから、主要株価指数は徐々に下げ幅を縮小する動きとなった。ダウ平均は、序盤から軟調な動きとなり、一時前日比303ドル安まで下落した。その後は、終盤まで下げ幅を縮小する動きとなり、134.51ドル安(-0.41%)で終了。ナスダックは82.14ポイント安(-0.63%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。また、日経平均株価が下落して始まり、前日比399円安まで下落したことから、上値の重い動きとなった。その中で、オーストラリアの消費者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、豪ドルは上昇する場面もあったが、同時に発表された中国の経済指標が悪化したこともあり、再び軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、542円安まで下落したことや、時間外取引で米長期金利が低下したことから、ドル円・クロス円は一段の下落となり、ドル/円は序盤の高値139.92から139.31まで下落する動きとなった。その後は下げ一服となり、堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、4月の米JOLT求人件数が市場予想を大幅に上回ったことから、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後、米金利が低下したことからドルは上値の重い動きとなり、さらにジェファーソンFRB理事が「利上げを見送ればデータを評価する時間が確保できる」とし、フィラデルフィア連銀総裁は「6月FOMCは利上げ見合わせるべき」との見方を示したことから、政策金利の動向に敏感な2年債利回りが4.454%から4.365%に低下するなど、米金利が軒並み一段の低下となり、ドル/円は指標発表後の高値140.38から139.23まで下落した。なお、金利先物市場では、指標発表後に6月のFOMCでの0.25%の利上げの折り込み度合いは70%台まで上昇したものの、FRB高官の発言後は30%台まで低下した。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、雇用関連の経済指標が予想外の良好な結果となったことを受けて、6月のFOMCでの利上げ観測が高まり、米金利上昇とともにドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。しかし、ここまでFRB高官のタカ派発言が続いていたが、複数の高官が6月の米利上げ見送るべきとの見解を示したことで、一転して利上げ観測が後退してドルは軟調な動きとなった。ここからは、引き続きドルは上値の重い動きが予想されており、クロス円も同様の動きが見込まれている。
また、三者会談以降ドル/円も140円台で上値の重い動きとなっている。本日のADP雇用統計、新規失業保険申請件数、ISN製造業景況指数など重要な経済指標発表が予定されており、結果が注目される。さらに、昨日6月の値上げに慎重な姿勢を示した米当局者の発言も予定されていることから、発言内容にも注目したい。
6/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:15 | 米国 |
5月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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16.5万人 | 29.6万人 |
前回は予想外の大幅増加となり、労働市場の堅調さが示された。ただ、転職した人の賃金の伸びが5ヵ月連続の低下で2021年11月以来の低い伸びとなった。今回は、前月の大幅増加の反動で伸び幅が低下すると予想されている。 | ||||
23:00 | 米国 |
5月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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47.0 | 47.1 |
前回は市場予想を上回る結果となったものの、景気の拡大・後退の判断基準である50を6ヵ月連続で下回り、2009年以来の長さで製造業の鈍化傾向が続いていることが示された。今回は、前月から小幅低下が予想されており、製造業の低迷が長引いていることが示されると見られている。 |