前営業日トピックス
東京市場では、バイデン米大統領が対中関税の引き下げを今週発表する可能性との報道が引き続き材料視され、日経平均株価やアジア市場の株高を好感してドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、実需のドル買いが観測されたこともあり、ドル/円は序盤の135.62から136.36まで上昇したが、上昇一服後は上値の重い動きとなった。一方、豪中銀の金融政策発表では、予想通り0.50%の利上げが発表されたが、すでに織り込み済みであったことから、反応は限定的だった。欧州市場では、欧州の景気後退懸念を背景に、欧州主要株価指数が大幅下落となったことから、リスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧米の株安を背景に、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことから、ドル/円は一時135.53まで下落した。一方、英政府閣僚2名が辞任したことも加わりポンドは主要通貨に対して下げ幅を拡大、特に対ドルでは一時2020年3/26以来の安値まで下落した。その後、米主要株価指数が下げ幅を縮小したことや、米長期金利が持ち直したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米株式市場では、FRBによる積極的な金融引き締めによる景気後退懸念の高まりを背景に主要株価指数は序盤から軟調な動きとなった。ただ、米長期金利の低下を受けて下げ幅を縮小し、特に金利動向に敏感なナスダックはプラス圏まで回復し、さらに上げ幅を拡大した。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前週末比742ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小する動きとなり、129.44ドル安(-0.42%)で終了した。一方、ナスダックは中盤にプラス圏まで回復、終盤にかけて上げ幅を拡大して194.40ポイント高(+1.75%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、バイデン米大統領が対中関税の引き下げを今週発表する可能性との報道などを受けて、日経平均株価が上昇して始まり、一時前日比378円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、時間外取引で米長期金利が上昇したことや、五・十日で仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことも加わり、ドル/円は序盤の135.62から136.36まで上昇した。一方、午後に豪中銀の金融政策発表で利上げが見込まれていることから、豪ドル/円は93.07から93.99まで上昇した。
(2)上昇一服後は、日経平均株価が上げ幅を縮小したこともあり、やや上値の重い動きとなった。そして、豪中銀の金融政策発表では、予想通り政策金利を2会合連続で0.50%の利上げを決定した。ただ、すでに利上げが織り込まれて上昇していたことや、声明で中期的なインフレ期待は安定しているとした上で、インフレは年内にピークに達するとの見通しを示したこともあり、豪ドルは上値の重い動きとなった。その後の欧州時間では、欧州の景気後退懸念を背景に、欧州主要株価指数が大幅下落となり、リスク回避の動きから欧州通貨は軟調な動きとなった。ドル/円も連れ安となったものの、下げ一服後は欧州通貨に対して上昇したことから、対円でも底固い動きとなった。
(3)米国市場では、欧米の主要株価指数が大幅下落となり、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが2.917%から2.776%まで低下し、5/31以来の低水準となったことから、ドル/円は欧州時間に付けた安値の135.56を下抜けて135.53まで下落した。一方、英政府閣僚2名が辞任したことも加わりポンドは主要通貨に対して下げ幅を拡大、特に対ドルでは一時2020年3/26以来の安値まで下落した。また、原油価格が大幅下落となり、約2ヵ月ぶりに100ドルを割り込んだことから、産油国通貨のカナダドルは下げ幅を拡大し、対ドルで2020年11/24以来の安値となり、対円でも6/24以来の安値を付けた。その後、米主要株価指数が下げ幅を縮小したことや、米長期金利が持ち直したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、欧米の景気鈍化懸念を背景に、リスク回避の動きが強まった流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は、海外時間に付けた安値の135.53を下抜けて135.42まで下落した。その後は、前日の海外市場の株安を背景に日経平均株価が下落して始まり、一時前日比286円安まで下落したものの、下げ幅を縮小する動きとなったことから、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。
欧州の景気後退懸念を背景に、今後欧州通貨がドルや円に対して下落が続くのか注目されており、ドルは今月のFOMCでの大幅利上げの可能性もあり、対円では底固い動きが続くと見られている。
本日の米国市場では、6月の米ISM非製造業景況指数、5月の米JOLT労働調査[求人件数]の発表が予定されており、雇用指数など雇用に関連する指標であることから、結果が注目されている。マーケット予想では、ともに前月から低下が見込まれている。
7/6の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
6月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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54.0 | 55.9 |
前回は市場予想を下回り、2021年2月以来の低水準となった。新規受注、雇用は上昇したものの、景況指数、仕入価格が低下したことが影響した。ただ、景気の拡大・縮小の判断基準である50は24ヵ月連続で上回っている。今回は、さらに低下が予想されており、予想通りなら2020年5月以来の低水準となる。 | ||||
23:00 | 米国 |
5月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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1100万件 | 1140万件 |
前回は市場予想を上回ったものの、過去最高を記録した3月の結果からは減少した。ただ、依然として高水準が続いており、企業側が労働者の確保に引き続き苦慮していることが示された。一方、離職者数は442万人とコロナ拡大前の3年間の平均の334万人を大幅に上回っている。今回は、さらに減少が予想されているが、小幅減少に留まると予想されている。また、離職者数にも注目したい。 |