前営業日トピックス
東京市場では、下落した日経平均株価がプラス圏まで回復したことや、月末の実需のドル買い・円売りが観測されたことから、ドル円・クロス円は仲値公示にかけて堅調な動きとなった。その後は、再び日経平均株価がマイナス圏に下落したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、岸田首相の衆院本会議での発言を受けて為替介入への思惑が意識され、円買いが優勢となった。下げ一服後は下げ幅を縮小したものの、欧州株の下落を受けて、上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米雇用関連の米経済指標が冴えない結果となったことがドルの圧迫要因となった。一方、ウクライナとロシアの停戦協議に進展が見られないことから、地政学リスクが意識されてユーロはドルや円に対して軟調な動きとなった。その後、ロンドンフィキシングに向けてドル売り・ユーロ買い観測されたことから、ユーロは対でドル反発する場面もあったが、上昇は一時的だった。ドルは、対円で下げ幅を拡大して121.29まで下落したものの、その後は値頃感の買いも入り、引けにかけて121.70台を回復した。
米株式市場では、ウクライナとロシアの停戦合意への期待が後退したことや、3月後半にかけて株価が大幅上昇したことで、月末・期末を意識した売りが優勢となり、主要株価指数は続落となった。ダウ平均株価は序盤から軟調な動きとなり、終盤に下げ幅を拡大して550.46ドル安(-1.56%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは221.75ポイント安(-1.54%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤から時間外取引で米長期金利が上昇したことから、ドル/円は堅調な動きとなった。さらに、序盤に前日比263円安まで下落した日経平均株価が下げ幅を縮小し、一時74円高まで上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。また、年度末で実需のドル買いが観測されたこともあり、ドル/円は仲値公示にかけて122.45まで上昇した。
(2)仲値通過後はドル買いも一服し、さらに日経平均株価が再びマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、岸田首相が衆院本会議で「為替介入についてコメントを差し控える」とした上で「引き続き米国等の通貨当局と緊密な意思疎通を図り適切に対応していく」と発言したこと受けて円買いが強まり、さらに米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は121.34まで下落した。
(3)下げ一服後は、米長期金利が持ち直したこともあり、ドル円・クロス円は値を戻す動きとなった。ただ、上昇して始まった欧州主要株価指数が、ウクライナ情勢への懸念を背景に下落に転じて上げ幅を拡大したことから、円が買われる動きとなり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(4)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。序盤に発表された米新規失業保険申請件数が増加したことも影響した。一方、ウクライナとロシアの停戦協議の進展が見られず、ロシア軍の攻撃が続いていることから、地政学リスクが意識され、ユーロはドルや円に対して軟調な動きとなった。しかし、その後は月末・期末のロンドンフィキシングに向けたドル売り・ユーロ買い観測されたことから、ドルは対ユーロで下落に転じ、対円でも下げ幅を拡大して一時121.29まで下落、1週間ぶりの安値を付けた。ただ、その後は値頃感の買いも入り、引けにかけて121.78まで回復した。一方、下落して始まった米主要株価指数が終盤に下げ幅を拡大したことから、クロス円は上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
本日は米国時間に米雇用統計の発表が予定されており、発表までは様子見ムードが強まる可能性も考えられる。市場予想では、非農業部門雇用者数が前月から伸び幅の縮小が予想されているものの、大幅な伸び幅の縮小とならなければ、FRBの利上げ期待が高いことから、下値は限定的と考えられる。
次回のFOMC(5月)で0.50%の利上げの可能性と複数の米当局者が発言しており、雇用統計が良好な結果となるようなら、大幅利上げの後押しとなる可能性もあるが、伸び幅が大幅な縮小となるようなら、0.50%の利上げに対して懐疑的な見方が広がる可能性もあるだろう。
4/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
3月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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+49.0万人 | +67.8万人 |
前回は市場予想を上回り、2021年7月以来の大幅な伸びとなり、昨年1年間の平均である+56.2万人を上回り、労働市場の堅調な回復が示された。特に、広義サービス、医療、レジャーで伸びたことが影響した。今回は、前回から伸び幅が縮小すると見られているが、引き続き堅調さが維持されると見られている。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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59.0 | 58.6 |
前回は市場予想を上回り、2020年11月以来の低水準となった1月の結果から改善した。雇用は低下したものの、生産と新規受注が伸びたことが影響した。ただ、昨年1年間の平均である60.6を下回っており、回復が緩やかであることが示された。サプライチェーンの影響が残っていると見られているものの、3月以降は改善が進むとの見方もあり、期待感は高まりつつある。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、125円台まで上昇したものの、その後は軟調な動きが続いており、連日高値を切り下げる展開となっている。ここから引き続き軟調な動きが続くのか、調整が終了して再び堅調な動きとなるのか注目したい。
目先の動きを見る上で注目されるオシレーターのMACDでは、両線の乖離幅の縮小が続いており、先行するラインは下向きに転換していることから、両線がクロスとなれば、目先の軟調な動きを示唆する形状となることから、両線の動きに注目したい。
ここまで連日高値を切り下げる展開が続いていることから、目先の上値のポイントは前日高値の122.452となり、ここを上抜ければ下げの流れからの転換となる可能性も考えられる。一方、下値も連日切り下がっていることから、目先の下値のポイントは前日安値の121.282となり、ここを下抜けると一段の下げとなる可能性も考えられる。上下どちらのポイントを抜けるのか注目される。
気まぐれ投資コラム
コロナ感染拡大による雇用消失の完全改善まであと3ヵ月?
2020年に新型コロナウイルスの感染拡大した影響で、2020年の米国の労働市場は大きな打撃を受け、失業率は過去最高となる14.7%まで上昇し、非農業部門雇用者数は941.6万人の雇用が消失した。その後、徐々に改善が進み、2021年には666.5万人の雇用が回復し、2022年も2月まで115.9万人の回復となっており、コロナ感染拡大前の水準まであと159.2万にとなっている。ここから3ヵ月連続で+50万人上回れば、雇用消失分の完全回復となる。一方、失業率は先月3.8%まで回復し、コロナ感染拡大前の水準まで回復している。
今回、非農業部門雇用者数は、市場予想の中心が+49.0万人と前回から伸び幅の低下が予想されているが、引き続き堅調さが維持されると見られている。一方、失業率は3.7%が予想されており、にさら改善が予想されている。
※出所:SBILMがデータを基に作成