前営業日トピックス
東京市場では、FOMCで利上げが決定されるとの期待を背景に、日米金利差拡大が意識されてドル/円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、実需のドル買い・円売りが観測されたことも加わり、堅調な動きが続いた。一方、日経平均株価が前日比470円超上昇したことから、クロス円も堅調な動きとなった。上昇一服後、ドル買いが一服したことから、ドル/円は上値の重い動きとなった。その後、中国株の大幅上昇や、欧州主要株価指数の大幅上昇を受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、欧州主要株価指数や米株価先物が上昇するなど、投資家のリスク選好の動きからドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。FOMCでは、0.25%の利上げが決定されてことに加え、メンバーの金利予測で年内あと6回の利上げ予測が示されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円では一時119.12まで上昇し、2016年2月以来の119円台回復となった。しかし、上昇一服後にドル/円は上値の重い動きとなったものの、下値は限定的だった。一方、FOMCを受けて大幅上昇していたダウ平均株価がマイナス圏まで下落したものの、終盤に再び反発したことから、クロス円も堅調な動きとなった。
米株式市場では、中国の景気浮揚策への期待を背景に中国株が大幅上昇となったことや、ロシアとウクライナの停戦交渉への進展期待を受けて欧州株が上昇したことを受けて、米主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。しかし、FOMCで利上げが発表されたことなどが嫌気され、ダウとS&Pは一時マイナス圏まで下落する場面もあった。ただ、パウエルFRB議長が「全ての兆候は米経済が強いことを示している」と発言したことを受けて、再び買いが優勢となった。ダウ平均株価は、序盤から堅調な動きとなり、前日比531ドル高まで上昇した。しかし、FOMCの結果発表を受けて下落に転じ、一時153ドル安まで下落した。ただ、終盤には再び買いが優勢となり、518.76ドル高(+1.55%)で終了した。一方、ナスダックは487.93ポイント高(+3.77%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル/円は序盤から堅調な動きとなった。FOMCでの利上げが確実視されていることから、日米の金利差拡大が意識された。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りが観測されたこともドル/円を押し上げ、一時118.43まで上昇した。しかし、2017年1月以来の高値を更新した前日高値の118.45には届かなかった。一方、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことから、クロス円も堅調な動きとなった。
(2)仲値通過後はドル買いが一服したことから、ドル/円は上値の重い動きとなり、クロス円も上値の重い動きとなった。一方、香港株や中国株が大幅上昇となったことに加え、時間外取引で原油価格が上昇したことを材料に資源国通貨はドルや円に対して堅調な動きとなった。欧州時間では、中国の景気浮揚策に対する期待を受けて中国株が上昇したことや、ウクライナとロシアの停戦合意が進展するとの期待から欧州主要株価指数が上昇するなど、投資家のリスク選好の動きからドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。
(3)米国市場では、FOMCを控えて様子見ムードが強まる中、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後、FOMCで市場の予想通り0.25%の利上げが決定されてことに加え、メンバーの金利予測では年内あと6回の利上げが示されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となり、対円では一時119.12まで上昇し、2016年2月以来の119円台回復となった。しかし、上昇一服後に上値の重い動きとなった。一方、FOMCを受けてダウ平均株価が下落に転じて一時マイナス圏まで下落したが、パウエルFRB議長が会見で「全ての兆候は米経済が強いことを示している」と発言したことを好感して再び株価が反発したことから、クロス円も堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨日のFOMCでは、市場の予想通り0.25%の利上げが発表され、さらにメンバーの予測から年内あと6回の利上げが示されるなどタカ派的だったことから、ドルは主要通貨に対して上昇となった。ここからドルは一旦調整となるのか、底固い動きが続いてさらに一段の上昇となるのか注目されている。
特に、18日には日本の消費者物価指数や日銀の金融政策決定会合の結果発表が予定されており、主要国との金融政策の違い(利上げの可能性を示唆しない)が鮮明となれば、年内の利上げ継続が示唆された米国と日本の金利差拡大が意識されてドル買い・円売りとなる可能性も考えられることから、声明と黒田総裁の会見での発言に注目が集まっている。
本日の欧州時間では、英中銀の金融政策発表が予定されている。ここまで2会合連続で利上げが発表されており、インフレ高進などを背景に3会合連続の利上げが予想されている。さらに、今後の利上げスタンスなどに関する声明や、議事要旨での議論の内容などに注目したい。
また、米国市場では、複数の主要な経済指標の発表が予定されているが、マーケットの注目だったFOMCが終了したこともあり、予想の範囲内の結果なら反応は限定的と予想されている。ただ、ウクライナとロシアの停戦協議の結果などには、敏感に反応する可能性もあるため、関連する報道や要人発言には引き続き注目したい。
3/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:00 | 英国 |
英中銀MPC金融政策発表
金融政策委員会(MPC 〜Monetary Policy Committee)は、イングランド銀行に設置されている委員会であり、総裁、副総裁(2名)、チーフ・エコノミスト、エグゼクティブ・ディレクター、4名の外部委員からなる9名の委員で構成されている。毎月上旬に開催され、政策は木曜日の会合後に発表を行う。
|
0.75% | 0.50% |
前回2月のMPCでは、5対4で0.25%の利上げが決定された。1月の英消費者物価指数(前年比)が5.5%まで上昇して1992年3月以来の高水準となったことから、今回は3会合連続の利上げが決定されると見られている。エコノミスト予想では、0.25%の利上げ予想が全体の93%、金利据え置きが7%となっている。 | ||||
21:30 | 米国 |
2月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
|
170.0万件 | 163.8万件 |
前回は市場予想に反して減少となり、3ヵ月ぶりの減少となった。需要は旺盛であるものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で労働者の不足が影響したと見られている。今回は、前回から増加が予想されているが、労働市場の改善に加えて、住宅ローン金利の上昇前の駆け込み需要も見込まれている。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(3/12までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
|
22.0万件 | 22.7万件 |
前回は、市場予想に反して増加となった。一部地域で目立った増加があったことが影響したが、引き続き低水準が維持された。今回は小幅減少が予想されており、ここから大幅な増減は考えにくいとの見方もあり、予想の範囲内の結果に留まるならマーケットの反応は限定的と見られる。 | ||||
22:15 | 米国 |
2月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
|
0.5% | 1.4% |
前回は市場予想を上回り、2021年3月以来の高水準となった。製造業がプラスに改善したことから、サプライチェーンの混乱を背景に資材不足などの影響が和らいでいることが示された。今回は、前月から伸び幅の縮小が予想されているものの、2ヵ月連続のプラスが予想されており、引き続き改善傾向が示されるのか注目される。 |