前営業日トピックス
東京市場では、ウクライナ情勢を巡り、先週末に欧米がSWIFT(国際的な決済ネットワーク)から、ロシアの特定の銀行を締め出す措置を実行することで合意したことを受け、リスク回避から円が買われる動きが先行し、前週末の海外市場の終値からドル円・クロス円は軒並みギャップダウンして始まった。特に、地政学リスクが高いことから、ユーロ/円は2円以上の下落となった。ただ、徐々に下げ幅を縮小する動きとなったものの、日経平均株価が上値の重い動きとなったことから戻りも限定的となった。午後に入り、日経平均株価が下げ幅を縮小する動きとなり、再びプラス圏まで戻して終了したものの、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。欧州時間では、ロシアとウクライナの停戦協議の進展期待を背景に、欧州通貨はドルや円に対して堅調な動きとなった。
一方、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも軟調な動きとなった。その後、ロシア軍のウクライナ首都への進軍が続いていることや、欧米諸国がロシアに対して経済制裁の強化を発動したことで、世界経済の先行き不透明感が強まり、米主要株価指数が大幅下落となったことから投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル/円は一段の下落となり、クロス円も下落に転じた。
米株式市場では、欧米のロシアに対する経済制裁の強化を受けて、世界経済の先行き不透明感が強まり、主要株価指数は軟調な動きとなった。特に、ロシアの銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意したことを受けて、金融市場への悪影響が警戒されて銀行株などが売られた。ダウ平均株価は、序盤から軟調な動きとなり、一時前週末比589ドル安まで下落した。終盤には下げ幅を縮小し、166.15ドル安(-0.49%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、終盤にプラス圏まで回復し、56.78ポイント高(+0.41%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、ロシアの一部銀行を国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除する措置を受けて、対ロ制裁で欧州経済の景気減速懸念を背景に、欧州通貨や資源国通貨が大幅なギャップダウンで始まった。ユーロ/円は、前週末の海外市場終値の130.25から大幅なギャップダウンとなる128.23から始まったが、その後は下げ幅を縮小する動きとなった。さらに、序盤に213円安まで下落した日経平均株価が反発となり、一時168円高まで上昇したこともドル円・クロス円下支え要因となった。しかし、日経平均株価が再びマイナス圏まで下落したことからドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価が再び下げ幅を縮小し、終盤にプラス圏を回復したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。依然としてウクライナ情勢への警戒感が残っていることから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いている。ただ、ロシアとウクライナの停戦協議が行われるとの報道を受け、停戦への期待感からユーロやポンドなどの欧州通貨は堅調な動きとなった。
(3)ロシアとウクライナの停戦協議は合意には達しなかったものの、協議が継続されるとの報道も下支え要因となり、欧州通貨や資源国通貨が堅調な値動きとなった。一方、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して下落したことから、対円でも軟調な動きとなった。
(4)その後、ロシアがウクライナ首都への進軍を続けていることや、欧米諸国がロシアに対して経済制裁の強化を発動したことで、世界経済の先行き不透明感が強まり、米主要株価指数が大幅下落となったこともあり、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル/円は一段の下落となり、クロス円も下落に転じた。
本日のトピックス
ウクライナ情勢の不透明感が続いているものの、ロシアとの停戦協議が行われたことから、リスク回避の動きが一時和らいだものの、ロシアのウクライナ侵攻が続いていることや、欧米諸国の対ロシア経済制裁の強化を発動したことを受けて、先行き不透明感が残っている。
前日の米国時間で下落したドル/円は、東京時間に入り値を戻す動きとなっており、どこまで値を戻す動きとなるのか注目される。ただ、依然としてウクライナ情勢の先行き不透明感があることから、報道や要人発言には注目したい。
本日の米国市場では、2月の米ISM製造業景況指数の発表が予定されており、前回から上昇が予想されている。しかし、ここまで一部の地区連銀の製造業の指数が大幅低下となったこともあり、結果が注目されている。
3/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
2月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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58.0 | 57.6 |
前回は市場予想を上回ったものの、3ヵ月連続の低下となり、2020年11月以来の低水準となった。感染拡大の影響で製造業の拡大が失速していることが示されたものの、依然として50以上を維持している。今回は、前回から上昇が予想されており、依然として底固さが維持されると見られている。 |