前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。ただ、上昇していた日経平均株価がマイナス圏まで下げたこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きも見られた。しかし、時間外取引で米長期金利が上昇したことからドルは再び115円台まで値を戻した。一方、前日3日のECB理事会後の総裁の会見でタカ派的な見方が示されたことや、英中銀の利上げに加え更なる利上げの可能性が示唆されたことから、ユーロとポンドは引き続きドルや円に対して堅調な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された1月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回る伸びとなったことや、直近2ヵ月の結果が大幅上方修正されたことを受けて、FRBが積極的に金融引き締めを進めるとの観測が高まり、米長短金利が軒並み上昇したことから、ドルは主要通貨に対して上昇となった。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したこともあり、対円でも上値の重い動きとなった。ただ、3日のECB理事会後の声明とラガルドECB総裁の会見での発言を受けて年内の利上げ観測が高まったことが引き続き意識され、ユーロは対円で底固い動きが続いた。
米株式市場では、米雇用統計で非農業部門雇用者数の増加幅が市場予想を上回ったことで、FRBによる積極的な金融引き締めへの警戒感が高まり、主要株価指数は序盤から上値の重い動きとなった。ただ、コロナ禍で雇用の伸びが堅調だったことや、前日発表されたIT大手の決算の内容が良好だったことが好感され、その後は底固い動きも見られた。ダウ平均株価は、序盤に一時前日比312ドル安まで下落したものの、その後は上昇に転じて222ドル高まで上げ幅を拡大した。しかし、終盤に再び失速してマイナス圏まで落ち込み、21.42ドル安(-0.06%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、219.19ポイント高(+1.58%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。また、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じたことや、時間外取引で米長期金利が上昇したことを受けて、日米の金利差拡大を見込んだ円売り・ドル買いとなり、ドル/円は前日の海外時間で付けた114.97を上抜けて115.05まで上昇した。
(2)しかし、その後日経平均株価が下落に転じ、一時前日比165円安まで下落する動きとドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、昨日のECB総裁の発言が引き続き材料視され、ユーロは対ドルで1/13以来、対円で昨年11/4以来の高値を更新した。一方、ドルは対ユーロで下落したことや、米雇用統計で前回から雇用者数の伸び幅の低下が予想されていたこともあり、上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された1月の米雇用統計で、失業率が前月から0.1%悪化したものの、労働参加率がコロナ感染拡大前の2020年2月以来の最大を記録したことから、労働市場の逼迫を確認したほか、景気動向を敏感に反映する非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回る伸びとなったことや、直近2ヵ月の結果が大幅に上方修正され、米労働市場の活況が示された。これを受けて、FRBが3月の0.50%の利上げをするなど、積極的に金融引き締めを進めるとの観測が高まり、政策金利の動向に敏感な米2年債利回りが1.320%まで上昇して2020年2月以来の高水準となり、米長期金利の指標となる米10年債利回りも1.925%まで上昇して2019年12月以来の高水準まで上昇したこともあり、ドルは主要通貨に対して全面高となり、ドルは対円で1/31以来の高値を更新した。一方、欧州通貨や資源国通貨は対ドルで下落したこともあり、対円でも上値の重い動きとなった。
(4)ドルは上昇一服後、対円でやや上値の重い動きが続いたものの、3日のECB理事会の声明と、その後のラガルド総裁の会見での発言を受けて、年内の利上げ観測が高まったことが引き続き意識され、ユーロは対円で底固い動きが続いた。
本日のトピックス
先週末の米雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を上回る伸び幅となったことから、FRBによる利上げ観測が高まり、ドルは主要通貨に対して全面高となった。一方、3日のECB理事会の声明やラガルドECB総裁の発言を受けて年内の利上げ観測が継続したことから、ユーロは対円で昨年11/4以来の高値を更新するなど、堅調な動きとなった。さらに、英中銀は2会合連続の利上げを決定したことなど、主要国の利上げや利上げに向けた期待が高まっている中、日本では年内の緩和継続観測が根強いことから、円が売られる展開が続く可能性もあり、3月に米国の利上げが決定されれば、日米の金利差拡大から円売り・ドル買いが加速する可能性も考えられる。しかし、ウクライナ情勢の緊迫化もあり、緊張が高まる場合にはリスク回避の動きとなる可能性もあることから、今後の動向が注目される。
本日は、米国の主要な経済指標の発表がないことから、限定的な動きも予想されている。ただ、年内の欧米の利上げ期待の高まりを背景に、ドル円・クロス円は底固い動きが続く可能性も考えられる。特に、米長短金利の動向に注目したい。