前営業日トピックス
東京市場では、上昇して始まった日経平均株価が一時マイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、日経平均株価が持ち直したことから底固い動きとなったが、東京時間のドル/円は米雇用統計を控えた様子見ムードから積極的な売買が手控えられ、狭いレンジ内の動きとなった。一方、クロス円も小動きの展開が続いた。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったものの、米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強まっていたことから、反応は限定的だった。米国時間のドル/円は上下16銭の狭いレンジ内の動きとなった。一方、連日のECB当局者のタカ派的発言が好感され、ユーロは主要通貨に対して堅調な動きとなり、対ドルで8/4以来、対円で7/13以来の高値を更新した。また、ユーロ/円の上昇に連れて、ポンド/円も8/16以来、豪ドル円も8/11以来の高値を更新した。
米株式市場では、序盤に発表された米経済指標が良好な結果となったことが好感され、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。ダウ平均株価は、一時前日比162ドル高まで上昇したものの、終盤に上げ幅を縮小して131.29ドル高(+0.37%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは21.80ポイント高(+0.14%)で終了、S&P500とともに取引時間中、終値ベースの最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)東京市場では、序盤に前日比175円高まで上昇した日経平均株価が下落に転じ、一時38円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、米長期金利が低下したことも加わり、ドル/円は序盤の高値110.12から109.92まで下落した。
(2)マイナス圏まで下落した日経平均株価が持ち直したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。ただ、前日発表されたADP雇用統計が冴えない結果となったことで、週末の米雇用統計に対する警戒感が高まるなか、東京市場では様子見ムードが広がり、ドル/円は上下20銭の動きに留まった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が改善したものの、テーパリングを見極める上で週末の米雇用統計の発表が注目されていることで様子見ムードが広がっており反、マーケットの反応は限定的だった。ドルは、その後も小動きの展開が続き、対円では上下16銭の狭いレンジ内の動きが続き、日通しでも20銭の狭い動きとなった。一方、9日のECB理事会を控えて、オーストリア中銀総裁がPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の縮小を検討できるとの見方を示したことや、ECB総裁がユーロ圏経済はパンデミックから回復しつつあるとの見方を示したことが好感され、ユーロは主要通貨に対して堅調な動きとなり、対ドルで8/4以来、対円で7/13以来の高値を更新した。また、ユーロ/円の上昇に連れて、ポンド/円も8/16以来、豪ドル円も8/11以来の高値を更新した。
本日のトピックス
米国市場では、米雇用統計の発表が予定されており、事前に発表されたADP雇用統計が予想以上の大幅な低下となったことから、早期のテーパリング期待が後退した。そのため、テーパリング時期を見極めるために、米雇用統計の結果を見極めたいとの思惑が強まっており、発表までは小動きの展開が予想されている。
発表で雇用者数の伸びがADP雇用統計と同様に大きく低下する場合には、早期のテーパリング後退からドルの下振れも考えられる。ただ、予想以上の伸びとなる場合には、ADPの悪化が払拭されてドル上振れとなる可能性も考えられる。ただ、冴えない結果となった場合でも、先のパウエルFRB議長の講演で年内のテーパリング開始が望ましいとしたことから、2-3ヵ月の程度の後退に留まるとの思惑も働き、一方的な下落にはなり難いと考えられる。
9/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
8月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
|
75.0万人 | 94.3万人 |
前回は市場予想を上回る伸びとなり、2ヵ月連続の大幅増加となり、労働市場の改善が加速していることが示された。今回は前回から伸び幅の低下が予想されており、先に発表されたADP雇用統計が予想以上の大幅な低下となったことから、警戒感も高まっており、予想以上の伸び幅の低下を予想する向きもある。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲近辺で上値を抑えられる展開が続いており、一時雲を上抜けて111.661からのトレンドラインも上抜ける動きとなったものの、定着できずに失速している。ここから、雲を完全に上抜けて一段の上昇となるのか、失速して軟調な展開となるのか注目されている。
上値のポイントは雲とトレンドラインとなり、ここを上抜けて定着できるかがポイントとなる。上記を達成できれば、直近高値の110.779を目指す展開となり、110.779を上抜ければ、上値目標の計算値である111.189までの上昇も期待できる。
一方、下値のポイントは一目均衡表基準線の109.761、ここまで下値のサポートとして機能していることから、基準線の下抜けには注目したい。さらに、108.722からのトレンドラインも下抜ける場合には一段の下げとなる可能性もあり、その場合の下値のポイントは109.112となる。そして、109.112を下抜ける場合の下値目標の計算値は108.731と計算できる。
また、相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、横ばいが続いており、この動きに合わせてドル/円も横ばいが続いている。この基準線は8日までは現行の109.761で横ばいが続くが、9日には上昇に転じることから、このタイミングでドル/円が上昇となるのか、または基準線を下抜けて軟調な動きとなるのか、日柄的な面にも注目したい。
気まぐれ投資コラム
非農業部門雇用者数、データからは上振れ??
ADP雇用統計と非農業部門雇用者数(NFP)は、平時であれば両者の誤差は比較的は小さいが、リーマンショックやコロナ感染拡大など、労働市場に大きな影響が出た場合には両者の誤差はかなり大きくなる。また、平時でも天候悪化などにより誤差が大きくなることもある。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出た昨年4月から先月までの両者の乖離幅の平均は52.6万人(幅のみ計算)だが、コロナ感染拡大前の2019年の両社の乖離幅は平均で7.6万人、2018年では5.5万人であることから、昨年の消失分が回復するまでは両者の乖離幅も安定しないと考えられる。
昨日のADP雇用統計の予想に対する下振れ誤差は25.1万人となり、過去10年間で25万人以上の下振れ誤差となったのは4回のみで、その時の非農業部門雇用者数は4回とも予想から上振れ(平均で15.0万人)となった。また、20万人以上の下振れ誤差で見ると10回となり、そのうち非農業部門雇用者数の上振れは6回となった(平均で11.8万人)。
このデータからみると、今回の非農業部門雇用者数は上振れか?・・・。
今回の非農業部門雇用者数の市場予想は+72.5万人であることから、+87.5万人、+84.3万人(72.5万人+15.0万人又は+11.8万人)が予想される・・・。
※出所:FX総合分析チャート