前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が上昇して始まったものの、マイナス圏まで下落する動きとなったこともあり、クロス円はやや上値の重い動きとなった。一方、米10年債利回りが低下したことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなり、対円では109円台を割り込んで108.91まで下落した。その後、 米10年債利回りが切り返すと、ドル/円も109円台まで反発となり、一時109.36まで上昇して昨年6/8以来の高値を更新した。一方、午後に入り、日経平均株価が上げ幅を縮小したことや、対ドルで軟調な動きとなったこともあり、クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では序盤に発表された3月のNY連銀製造業景気指数が2018年11月以来の高水準となったことを好感して、ドル/円が一時109.26まで上昇するなど、主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後、欧州諸国でアストラゼネカのワクチン接種の一時中断が発表されたことを受けて、ポンドやユーロなどが下落となった。さらに、米国債利回りの低下も加わり、ドルも対円で下落した。しかし、終盤にかけては、一時マイナス圏まで下落した米主要株価指数が軒並み上昇に転じて上げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米株式市場では、米景気回復への期待感を背景に、主要株価指数は序盤から堅調な動きとなった。しかし、欧州諸国でアストラゼネカのワクチン接種が中断されたことが影響し、ダウ平均株価が一時前日比148ドル安まで下落するなど、主要株価指数は軒並みマイナス圏まで下落する場面もあった。ただ、下げ一服後は再び堅調な動きとなり、ダウ平均は終盤に194ドル高まで上昇するなど、174.82ドル高(+0.53%)で終了し、取引時間中と終値ベースの最高値を4営業日連続で更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、139.84ポイント高(+1.05%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)週明けの東京市場では、日経平均株価が堅調な動きとなったことから、クロス円は底固い動きとなった。一方、時間外取引の米10年債利回りが低下したことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。また、五・十日に当たることから、仲値公示にかけて実需の売り買いが交錯したこともあり、ドルの動きは限定的だった。
(2)低下していた米10年債利回りが再び上昇し、先週末に付けた1年ぶりの高水準となる1.640%に迫る1.637%まで上昇したことから、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなり、ドルは対円で109.36まで上昇し、昨年6/8以来の高値を更新した。上昇一服後はやや上値の重い動きとなり、米10年債利回りが低下したことも加わり、ドルは軟調な動きとなり、ドル/円は109.00まで下落した。ただ、109円台では底固い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された3月のニューヨーク連銀製造業景気指数が2018年11月以来の高水準となったことを好感して、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は、一時109.26まで上昇したものの、アジア時間に付けた昨年6/8以来の高値109.36には届かなかった。
(4)アストラゼネカのワクチンが血栓を生じさせる可能性があるとのことから、欧州諸国で接種を一時中断することが発表されたことを受けて、ポンドやユーロなどが下落となった。さらに、米10年債利回りが低下して1.60%台を割り込んだことも加わり、ドルも対円で下落した。ただ、終盤にかけては、一時マイナス圏まで下落した米主要株価指数が軒並み上昇に転じて上げ幅を拡大したこともあり、クロス円は底固い動きとなった。一方、16-17日にFOMCが予定されており、様子見ムードからドルはやや限定的な動きとなった。
本日のトピックス
アストラゼネカのワクチンが血栓を生じさせる可能性があるとのことから、ドイツやフランス、イタリアなどでワクチン接種の一時中断が発表されたことから、ポンド、ユーロなどの欧州通貨が下落した。さらに、EUが北アイルランドとの国境を巡り、離脱協議違反と指摘し、英国に対して法的措置をとると報じられたこともあり、ポンドはドルや円に対して下落した。これらの懸念が強まる場合、昨年から続くポンドの堅調な流れに影響するのかどうかが注目される。特に、欧州の景気動向や、世界的なワクチン接種にも影響する可能性があることから、アストラゼネカのワクチンに関する報道などには注目したい。
欧州時間では、ドイツと欧州の3月のZEW景況感調査の発表が予定されており、前回は市場予想を大きく上回る結果となり、ユーロの押し上げ要因となったが、今回はさらに上昇が予想されており、結果が注目されている。良好な結果なら、ユーロの押し上げに要因となる可能性もあるだろう。
米国市場では、2月の米小売売上高、2月の米鉱工業生産の発表委が予定されており、ともに前月から低下が予想されている。ただ、前月が強い内容であったことから、前月比で低下となった場合でも堅調さが維持されていれば、懸念要因とはならないと見られている。特に、米国の追加の経済対策法案が成立したことで、追加給付も実施されることから、3月以降の個人消費が良好な結果になる可能性もあり、予想以上の低下となった場合でも楽観的な見方が維持されると予想される。
3/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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-0.5% | 5.3% |
前回は市場予想を大幅に上回る結果となり、昨年6月以来7ヵ月ぶりの高い伸びとなった。個人向けの600ドルの給付が消費の回復に寄与した。今回は、前月の大幅な伸びの反動で前月比マイナスが予想されているが、小幅に留まると見られており、金額ベースでは大きな落ち込みにはならず、堅調さが維持されると見られている。 | ||||
22:15 | 米国 |
2月鉱工業生産(前月比)
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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0.4% | 0.9% |
前回は市場予想を上回ったものの、昨年7月以来の高水準となった12月からは、伸び幅が低下した。感染拡大の影響で打撃を受けたが、4ヵ月連続で上昇となり、回復傾向が続いていることが示された。今回は、伸び幅の低下が予想されているものの、5ヵ月連続のプラスが予想されており、回復基調が続いていることが示されると見られています。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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84 | 84 |
前回は市場予想を上回る結果となり、住宅ローン金利の低下が続いていることもあり、住宅市場の好調さが維持された。一戸建て住宅の販売は、現状で横ばい、見通しで低下となったものの、見込み客足指数が上昇しており、購買意欲が高いことが示された。今回は、高水準の維持が予想されている。 |