前営業日トピックス
前日の米国市場での株高を背景に、日経平均株価が上昇して始まるなど、海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。しかし、その後に米株価先物市場でダウ先物が下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。特に、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対して軟調な動きとなったこともあり、対円でも上値の重い動きとなった。ただ、日経平均株価が終盤に上げ幅を拡大したことや、ダウ先物が再び堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。一方、ユーロはECB理事会の結果発表を控えて様子見ムードが広がっていることもあり、やや限定的な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が市場予想を上回る結果となり、ドルは主要通貨に対して下落した。一方、ECB理事会後に関係筋の話としてユーロ高に対して警戒感を持っていないとの報道を受けユーロは主要通貨に対して上昇した。ユーロは、一時対円で9/1以来、対ドルで9/2以来の高値を付けた。しかし、ラガルドECB総裁からはユーロ相場のインフレへの影響を慎重に判断とユーロ高を牽制したと見られる発言も聞かれユーロは徐々に上値を切り下げる展開に。さらに、英国とEUの離脱に関する交渉が決裂するとの警戒感が高まり、投資家心理が圧迫されたことから安全資産とされる円やドルが買われた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比234ドル高まで上昇したものの、その後は下落に転じて493ドル安まで下落した。引けにかけてはやや下げ幅を縮小し、405ドル安(-1.45%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、221ポイント安(-1.99%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、海外市場の株高を背景に、日経平均株価が160円超上昇して始まったことも押し上げ要因となった。しかし、新規材料に乏しい中で、米株価先物市場でダウ先物が下落したことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドルは、ユーロやポンドなどに対して上値の重い動きが続いたこともあり、対円でも序盤に付けた高値の106.30から106.06まで下落した。
(2)下落していた米ダウ先物の下げが一服し、プラス圏まで反発したことや、日経平均株価が終盤に200円超上昇となったことが好感され、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。一方、ECB理事会の結果発表やラガルドECB総裁の会見を控えて、様子見ムードが広がっていることもあり、ユーロはやや限定的な動きが続いた。ドルは、米長期金利の指標となる10年債利回りが上昇したこともあり、対円で底固い動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が市場予想を上回る結果となり、労働市場の改善の鈍化傾向が示されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。一方、ECB理事会後に関係筋の話としてユーロ高に対して警戒感を持っていないとの報道を受けユーロは主要通貨に対して上昇した。ユーロは、対円で9/1以来、対ドルで9/2以来の高値を付けた。
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(4)英国の報道官が、EU離脱協定の一部の無効化につながる国内市場法案に関して、「可決すると思う」と発言したことを受けて、英国とEUの交渉が決裂するとの警戒感が高まり、ポンドは主要通貨に対して下落となった。ポンドは対ドルで7/24以来、対円で7/28以来の安値水準まで大きく下落した。さらに、上昇して始まった米主要株価指数が下落に転じて下げ幅が拡大したことも加わり、投資家心理が圧迫されて安全資産とされる円やドルが買われた。
本日のトピックス
ECBはユーロ高に対して警戒感を持っていないとの関係筋の話が報道されたことを受けて、ユーロは主要通貨に対して上昇した。しかし、英国とEUの交渉が決裂するとの警戒感が高まり、ポンドが主要通貨に対して下落したことに連れてユーロも下落しており、引き続き英国とEUの交渉、ポンド相場が注目される。
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欧州時間には、8月のドイツの消費者物価指数(確報値)の発表が予定されており、7月に2016年4月以来のマイナスに落ち込んだが、改善に向かう兆候が示されるのか注目されている。一方、米国市場では、8月の米消費者物価指数の発表が予定されており、2015年以来の落ち込みとなった物価が緩やかながら上昇していることが示されるのか注目されている。前年比ベースでは、2019年までの過去3年間の平均の2.1%であり、今回の予想が1.2%(前月結果 1.0%)であることから、引き続き緩やかな上昇になると見られている。
9/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
8月消費者物価指数(前月比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.3% | 0.6% |
前回は予想以上に伸び幅が拡大し、3ヵ月連続で伸び幅が拡大した。自動車や衣料品の価格上昇が影響したものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で需要が減少している。前年比ベースでは、1%台の伸びが続いており、物価が抑制されていることが示されている。今回は、前月比ベースで伸び幅の縮小が予想されているが、緩やかな上昇が続くと見られている。 |