前営業日トピックス
前日の海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。上昇して始まった日経平均株価が下落に転じて上値の重い動きとなったことや、中国の経済指標が予想以上に落ち込んだことも影響し、ドル・円クロス円は軟調な動きとなった。特に、豪ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米消費者物価指数が前月比ベースで予想通りの結果となったが、コア指数が予想以上に弱い数字となったこともあり、ドルは上値の重い動きとなった。その後、新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念が高まり、リスク回避の動きから米主要株価指数が下げ幅を拡大し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米国債利回りが低下したことも加わり、ドル/円は終盤に107.17まで下落した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比160ドル高まで上昇した。その後は上値の重い動きとなり、終盤には460ドル安まで下落し、457ドル安(1.89%安)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、189ポイント安(2.06%安)で終了し、7営業日ぶりに下落した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、トランプ米大統領が中国との第1段階の通商合意を見直す再交渉は全く受け入れられないと表明したとの報道を受けて、米中対立懸念が再浮上したこと、中国の経済指標が予想以上の低下となったことも圧迫要因となった。特に、中国との貿易上で関係が深いことから豪ドルは大幅下落となり、対円で序盤の69.92から69.14まで下落した。一方、仲値公示にかけて実需のドル売りフローも観測されたことも圧迫要因となり、ドル/円は序盤の107.70から107.45まで下落した。
(2)上値の重い動きが続いた日経平均株価が午後に入り上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後、翌日にパウエルFRB議長の会見を控えているものの、米国でもマイナス金利政策が導入されるとの観測もあり、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。一方、ユーロやポンドは対ドルで上昇したことから、対円でも堅調な動きが続いた。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。序盤に発表された米消費者物価指数では、前月比ベースで予想通りの結果となったが、コア指数が予想以上に弱い数字となったこともあり、ドルは上値の重い動きが続いた。さらに、トランプ米大統領が金融当局にマイナス金利を要求するツイートを発信したこともやや圧迫要因となったとの見方もあった。
(4)複数の米金融当局者がマイナス金利導入を否定してたことなどもあり、ドルはやや値を戻す場面もあったが、国立アレルギー感染症研究所の所長が議会公聴会で経済活動を早期に再開すれば、再び感染が広がる恐れがあるとの見方を示したことから、新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念が高まり、リスク回避の動きから米主要株価指数が下げ幅を拡大、米国債利回りの低下も加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債入札では、需要が強く好調な入札結果となったことで米国債が上昇(利回りは低下)したこともドルの圧迫要因となり、ドル/円は終盤に107.17まで下落した。
本日のトピックス
パウエルFRB議長の会見を控えて、昨日の米国市場ではトランプ米大統領のマイナス金利要求発言や、複数の米金融当局者のマイナス金利の導入否定発言もあり、FRB議長の会見での発言に注目が集まっている。米国でもマイナス金利政策が導入されるとの観測が高まっており、米金利先物市場ではマイナス金利を織り込む水準で推移しており、来年春には-0.5%になると見られている。そのため、強いトーンでマイナス金利導入を否定すれば金利上昇でドルが買われる展開も予想される。一方、マイナス金利導入の可能性もあると受け取られるようなら、金利低下でドルは軟調な展開となる可能性もあり、パウエルFRB議長の発言内容だけでなく、発言のトーンなども注目されている。
通商問題や人権問題を背景に、米中対立への緊張も高まっており、関連する報道や要人発言にも注目したい。一方、欧州では外出制限措置が緩和されたドイツやフランスでの感染者数なども注目されている。
本日の東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドル/円は上値の重い動きとなっており、一時107.09まで下落している。再び107円台割れとなり軟調な動きとなるのか、107円台を維持できるのか注目される。
5/13の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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-0.5% | -0.2% |
前回は市場予想を上回り、2015年1月以来の大幅な下落率となった2月の結果からはマイナス幅が縮小した。サービスや商業がプラスに改善したことが全体を押し上げた。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で再び大幅なマイナスとなると予想されており、2月の結果を上回る大幅な下落率となるのか注目される。 |