前営業日トピックス
東京市場では、前日のNY株式市場の大幅高を受けて、日経平均株価が序盤から前日比350円超の上昇となった。しかし、上昇一服後は下落に転じ、午後には前日比200円超の下げとなったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、G7財務相・中央銀行総裁による電話会議では、協調利下げなどの具体的な政策は盛り込まれないとの報道があったことで、やや上値の重い動きとなった。
米国市場では、新型コロナウイルスの米経済への影響に対処するためFRBが0.50%の緊急利下げに踏み切ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落となった。一方、対ドルで上昇したユーロやポンド、豪ドルなどは対円でも上昇した。ただ、主要国が協調して利下げなどを実施する可能性があることや、新型コロナウイルスの感染拡大の終息の目途が立っていないことから上値は限定的となった。さらに、米主要株価指数が下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から上値の重い動きとなり、前日比356ドル安まで下落した。FRBの利下げ発表を受けて一時前日比381ドル高まで反発する場面もあったが、その後再び軟調な動きとなり、997ドル安まで下落した。引けにかけて785ドル安まで下げ幅を縮小して終了した。一方、ナスダックは268ドル安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比375円高まで上昇した。しかし、その後上げ幅を縮小しマイナス圏まで下落、午後には前日比213円安まで下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.163%から1.107%まで低下したことも影響し、ドル/円は序盤に付けた108.54から107.66まで下落した。一方、豪中銀は0.25%の利下げを決定、声明でさらなる金融緩和の可能性を示したものの、豪ドルは米ドルや円に対して底固い動きとなった。
(2)海外時間にG7が電話会議を開く予定だが、声明文には協調利下げや財政出動といった具体策は盛り込まれない見通しとの関係筋の話が報道されたことを受けて、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済の減速懸念を背景に、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。その中で、新型コロナウイルスの米経済への影響に対処するためにFRBが0.50%の緊急利下げに踏み切ったことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落となった。一方、対ドルで上昇したユーロやポンド、豪ドルなどは対円でも上昇する動きとなった。
(4)主要国が協調して利下げなどを実施する可能性があることや、新型コロナウイルスの感染拡大の終息のめどが立っていないことから上値は限定的となった。さらに、米主要株価指数が下げ幅を拡大したことや、米10年債利回りが一時0.906%まで低下、初めて1%を割り込んだこと、30年債利回りも1.507%と過去最低を更新したこともあり、ドル/円は一時106.94まで下落し、10/9以来の107円台割れとなった。
本日のトピックス
昨晩、FRBが0.50%の緊急利下げを実施したことを受けて、ドル/円は一時107円台割れまで下落した。3月のFOMCでの利下げ観測が高まっていたことから、0.25%の利下げではインパクトが薄く、0.50%の利下げを決定したと考えられる。3/18のFOMCでは、さらに一段の利下げの可能性も一部では指摘されている。FRBに追随して本日のカナダ中銀も利下げを決定すると予想されており、注目したい。一方、豪中銀はすでに利下げを決定したが、12日にECB、19日に日銀、26日に英中銀の金融政策発表が予定されており注目が集まっている。ただ、ECB、日銀はマイナス金利の深堀の決定は難しいとの見方もあり、思惑が交錯する可能性もあるだろう。
本日の日経平均株価は180円超の下落で始まったものの、プラス圏まで改善するなど日銀の動きとの見方も出ています。引き続きアジアや欧米の株価動向には注目したい。朝方、ドル/円は一時107円台割れとなったが底固い動きが続いていることから、目先107円台を維持できるのかがポイントとなると考えられる。
米国時間では、2月ADP雇用統計、2月ISM非製造業景況指数など重要な経済指標の発表が予定されている。前回ともに市場予想を上回る結果となったものの、今回は反動で低下が予想されている。特に、2月の結果ということで、新型コロナウイルスの感染拡大が影響しているのかどうか注目されている。さらに、米地区連銀経済報告が予定されており、新型コロナウイルスの感染拡大による景気などへの影響や、先行きの懸念がどの程度報告されているのか注目されている。特に、次回のFOMCの討議資料となることから、内容次第では追加利下げの可能性が高まる可能性も考えられる。
3/4の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:15 | 米国 |
2月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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17.0万人 | 29.1万人 |
前回は市場予想を大幅に上回る伸びとなり、2015年5月以来の大幅な伸びとなった。サービス業の雇用が2016年2月以来の大幅な伸びとなったことが影響し、労働市場の堅調さが示された。今回は、前回からの低下が予想されているが、昨年1年間の平均(+16.2万人)を上回ると予想されており、大きな懸念にはつながらないだろう。 | ||||
0:00 | 米国 |
2月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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55.0 | 55.5 |
前回は市場予想を上回り、2ヵ月連続の上昇となり、昨年8月以来の高水準となった。業況指数や新規受注が改善したことが影響したが、雇用は2ヵ月連続の低下となった。今回は、前回から若干の低下が予想されており、新型コロナウイルスの影響が出ているかどうかにも注目が集まっている。 | ||||
翌4:00 | 米国 |
米地区連銀経済報告[ベージュブック]
ベージュブックとは、米国の12の地区連銀による経済概況報告であり、前回のFOMC以降の経済情勢について、概況報告が行われる。そして、FOMCの討議資料となり、今後の金融政策の判断材料にもなる。報告書の表紙がベージュ色をしていることからベージュブックと呼ばれている。
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新型コロナウイルスの感染拡大による景気などへの影響や懸念がどの程度報告されているのか注目される。次回のFOMCの討議資料となることから、内容次第で追加利下げが高まる可能性も考えられる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、週足ベースで104.43からのトレンドラインを下抜け、一目均衡表の雲下限も下抜けており、一段の下落を示唆する形状となっています。このところ2週目には雲の中に戻る展開が続いていることから、来週にも雲の中まで値を戻す展開となるのか、戻り切れず軟調な展開となるのか注目されます。
オシレーターのMACDでは、両線がクロスして下向きに転換しており、軟調な展開を示唆する形状となっています。
目先の上値のポイントは、一目均衡表の雲下限ラインの107.645、一方下値は直近安値の106.851となり、ここを下抜ける場合には106.493が次のポイントと考えられます。