前営業日トピックス
前日の海外市場終盤の軟調な流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大による中国景気への影響拡大が懸念されたことを受けて、上海総合指数が下落に転じ、さらに下げ幅を拡大したことに加え、日経平均株価も下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、NY連銀製造業景気指数が良好な結果となったことや、安寄りして始まった米主要株価指数が下げ幅を縮小したこと、さらに米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は109.94まで上昇した。しかし、その後ダウ平均281ドル安まで下落するなど、米主要株価指数が下げ幅を拡大したことで、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。ドル/円は109.78まで下落したものの、ドルが対ユーロで2017年4月以来の高値となったことから、対円でも底固い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前週末比281ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小したものの、165ドル安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは序盤から軟調な動きとなったものの、終盤にかけてプラス圏まで値を戻し1ポイント高で終了、取引時間中、終値ベースの最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米アップルが、新型コロナウイルス感染拡大により1-3月期の売上高が見通しに達しないと発表したことが影響し、日経平均株価が下落となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。一方、豪中銀の議事要旨では、新型コロナウイルスの影響は対中貿易にとって短期的な重大リスク、2月の会合で追加利下げのケースを検討したことが明らかとなり、豪ドルは軟調な動きとなった。
(2)中国当局者が、新型コロナウイルスの感染拡大の経済への影響は2月に表れるとの見方を示したことが嫌気され、上海総合指数が一時マイナス圏まで下げ幅を拡大したことに加え、日経平均株価が前日比389円安まで下落したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.576%から1.544%まで低下したことも圧迫要因となり、ドル/円は序盤の109.91から109.66まで下落した。その後は、値頃感の買い戻しや、米国債利回りの戻りもあり、底固い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表されたNY連銀製造業景気指数が2019年5月以来の高水準まで改善したことが好感され、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。さらに、安寄りして始まった米主要株価指数が下げ幅を縮小したことや、米10年債利回りが1.539%から1.574%まで上昇したことも加わり、ドル/円は109.94まで上昇した。一方、ドイツ、欧州のZEW期待指数が予想以上の低下となったことが嫌気され、ユーロは主要通貨に対して下落した。対ドルでは2017年4/21以来、対円では昨年10/10以来の安値を更新した。
(4)新型コロナウイルスが世界経済の成長を妨げるとの懸念を背景に、ダウ平均株価が一時281ドル安まで下落するなど、米主要株価指数が軒並み下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが再び1.538%まで低下したことから、ドル/円は109.78まで下落した。ただ、ドルは対ユーロで2017年4月以来の高値を更新したこともあり、対円でも底固い動きとなった。
本日のトピックス
ドイツやユーロ圏の経済指標の軟化が続いたこともあり、ユーロはドルや円に対して軟調な動きが続いている。本日の東京市場では、やや底固い動きとなっているが、引き続き値動きには注意したい。
米国市場では、米住宅着工件数の発表が予定されている。前回は大幅増となり、13年ぶりの高水準となったことが好感されて、米株価指数やドルが上昇した。ただ、今回は前回の反動もあり、大幅な減少が予想されており、予想どおりの大幅な減少となる場合には、株価やドルなどが反応する可能性も考えられるが、現状ではそれほど大きな反応にはならないとの見方もある。
一方、本日は複数の米金融当局者の発言が予定されており、新型コロナウイルスの感染拡大による米国経済への影響に関する発言があるようなら、敏感に反応する可能性もあり、発言の内容に注目したい。さらに、米民主党の大統領候補者の討論会も予定されており、関連の報道にも注目したい。
2/19の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
1月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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142.0万件 | 160.8万件 |
前回は市場予想を大幅に上回り、2006年12月以来の高水準となった。住宅ローン金利の低下や着実な雇用の伸びを背景に、住宅市場の堅調さが続いていることが示された。一方、着工件数の先行指標となる許可件数は、市場予想を下回り、12年ぶりの高水準から減少した。今回は、前回の大幅増の反動もあり、大幅な減少が予想されている。ただ、予想どおりの結果でも、前回の結果を除けば2007年6月以来の高水準となることから、大幅減少のインパクトは薄いだろう。 |