前営業日トピックス
東京市場では、ドル/円が序盤に110.04まで上昇し、海外市場終盤に付けた110.00を上抜けて1/22以来の高値を更新した。しかし、110円台では上値の重い動きとなり、さらに上昇して始まった日経平均株価が下落に転じたことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後は、米雇用統計の結果発表を控えて様子見ムードが強まり、限定的な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で、非農業部門雇用統計が市場予想を上回る結果となり、ドル/円は一時110.02まで上昇した。しかし、FRBの半年に1度の金融政策報告書で、新型コロナウイルスの拡大が世界の経済成長の新たなリスクと指摘したことが嫌気され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、新型ウイルスの拡大の影響で、企業の売り上げなどに影響するとの慎重な見解が示されたことから主要株価指数が下落したことも圧迫要因となった。ドル/円は、109.53まで下落したものの、ドルがユーロやポンドに対して堅調な動きとなったことから対円でも109.84まで値を戻すなど、底固い動きとなった。
米株株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比322ドル安まで下落した。その後はやや下げ幅を縮小し、277ドル安で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、51ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れを引き継ぎ、序盤に海外市場で付けた110.00を上回り110.04まで上昇した。ただ、110円台では上値の重い動きとなり、さらに上昇して始まった日経平均株価が下落に転じ、一時前日比114円安まで下落したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、豪中銀は金融政策報告書で2019年第4・四半期のGDP予想を2.3%から2.0%へ引き下げたものの、2020年の成長率見通しは2.75%、2021年は3.0%に据え置いた。さらに、豪中銀総裁が2月の理事会で利下げについて議論したことを明らかにしたこともあり、豪ドルは軟調な動きとなった。
(2)日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米雇用統計の結果発表を控えて様子見ムードもあり、全般的に小動きの展開がとなった。一方、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席と電話会談を実施し、トランプ米大統領が新型コロナウイルスの感染拡大に立ち向かう中国の力と忍耐強さを信頼していると表明したものの、マーケットの反応は限定的だった。一方、ドイツの鉱工業生産が前年比ベースで10年ぶりの大幅な減少となったことで、ドイツの景気悪化懸念が広がり、ユーロはドルや円などに対して下落した。ユーロ/円は120.75から120.13まで下落した。
(3)米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回る結果となったことからドル買いとなり、ドル/円は一時110.02まで上昇した。ただ、東京時間に付けた110.04を超えられなかった。その後、FRBの半年に1度の金融政策報告書で、新型コロナウイルスの拡大が世界の経済成長の新たなリスクと指摘したことが嫌気され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、一部企業が新型ウイルス拡大の影響で売り上げなどに対して慎重な見解を示したことで主要株価指数が下落したことも圧迫要因となった。一方、米10年債利回りが1.631%から1.569%まで低下したことも加わり、ドル/円は109.53まで下落した。
(4)ユーロはドルや円などに対して軟調な動きが続き、対ドルでは昨年10/8以来の安値となった。一方、ペンス米副大統領は、英国がファーウェイを一部容認したことに対して苦言を呈したとの報道を受けて、米英通商交渉に影響するとの見方が嫌気され、ポンドはドルや円に対して下落となり、対ドルでは昨年11/29以来の安値まで下落した。ドルはユーロやポンド、豪ドルに対して上昇したこともあり、対円でも109.84まで値を戻すなど、底固い動きとなった。
本日のトピックス
週明けのアジア市場では、先週末の海外市場の流れを受けて、日経平均株価が下落して始まるなど、ドル円・クロス円もやや上値の重い動きとなっている。ただ、米雇用統計の改善もあり、ドルは比較的底固い動きが続くと見られている。ドル/円は、再び110円台乗せがあるのか、また先週末の海外市場で付けた安値109.53を下抜ける展開となるのか注目されている。一方、ユーロやポンドは、引き続き上値の重い動きが続く可能性が考えられ、特に対ドルでの動きに注目したい。本日は、日本市場が明日祝日で休場となることや、米国市場では本日主要な経済指標の発表がないことから、積極的な売買が手控えられる可能性も考えられる。